NormCore 2ndシングル『傷だらけの僕ら』インタビュー
NormCore Fümiが語る、“歌ってみた”と“クラシック”で培われた音楽家としての精神
「日本は“何でもあり”と言ってくれる大人が少ない」
――FümiさんはNormCoreでの活動と並行して、今でも「歌ってみた」動画の投稿を続けられてます。やはりご自身の活動の原点としてこだわりがあるのでしょうか?
Fümi:まず辞める理由はないというのが大前提としてありますし(笑)、あとはそういう活動を継続しながらちゃんとメジャー感を確立したいというのがあります。特にハチさんはいま米津玄師として活躍されてますけど、米津さんが初音ミクのアニバーサリーイヤーのときに「砂の惑星」を発表したのは、たぶんそういうことだと思うんですよ。僕もボカロやユーザー自身が作っていくカルチャーへのリスペクトがありますし、それを素人の集まりという言い方で括ってしまうのは嫌いで、いまや素人もプロ級だったりしますし、アイデアがプロであれば、餅は餅屋がやればいいわけで。だから海外のDJランキングに載る人の年齢もだんだん下がってきて、マーティン・ギャリックスもランキングに載り始めたころはまだ10代でしたからね。テクノロジーとネットの発達によって、何歳だろうがどこに住んでいようが関係ない時代だし、そういうマインドもあって今も続けてるんです。
――ボカロPや歌い手として有名になった人のなかには、新しい表現方法を見つけたことでそちらに集中する方もいらっしゃいますけど、そのなかでFümiさんは「歌ってみた」文化への愛着が強いんだろうなとも思いました。
Fümi:正直カツカツのときは辛いこともありますけど(笑)。日本は「何でもありなんだよ」って言ってくれる大人が少ない国だと思うので、自分は結果を残しながら好きなことをやる大人になりたいという思いもあるんです。「やらない」という決断で未来を拓くのではなく、「やる」ことで叩かれることがあっても、そちらの方が良かったと証明したいと思ってるので、やれる限りはやり続けたいですね。
――「歌ってみた」で培ってきたもののなかで、いまの活動に役立ってることはありますか?
Fümi:「歌ってみた」で自由な発想をずっと新鮮に続けられてるのは、他の活動とも相互作用があると思います。例えば、タイアップに沿ってずっと考えて制作をすると行き詰まることもありますけど、そのなかで「歌ってみた」をやると気分転換にもなりますし、特にボカロ曲は何でもありの世界なので常に新しいんですよね。王道を繰り返す人がいれば、海外で流行ってる音色をポップスの中に無理やり入れ込んでくるような方もいて、「ああ、何でもありってことを忘れかけてた」ってハッとすることが多いんですよ。
「主人公と一緒に限界を目指した」
――一方でFümiさんは音大でアカデミックな教育も受けたわけですが、クラシックの世界で学ぶ声楽の歌と、ポップスで万人に共感を得られる歌とでは、根本的に違う部分があるじゃないですか。
Fümi:そうですね。そもそもクラシックはマイクを使いませんし、ゴールが全然違うというか。特に音大での教育というのは、審査員が並んでいる前で歌唱して点数をつけられるシステムなので、その場所が在籍してる生徒たちのステージであり、獲得していく評価なんですね。でもいざ学校の外に出ると、お客さんは別に点数をつけるわけではなくて、楽しい気持ちになったり感動したくて歌を聴きたいわけで、どこの大学で有名な先生に師事しようが別に関係ないわけですよ(笑)。クセを取るのはクセをつける倍かかると言いますし、テクニカルな部分もマインド的な部分も含めて、そこは今でも大変だしがんばってるところです。僕は在学中に声楽の先生につきながらも、ポップスのボイストレーニングにもずっと通ってたので、中和されてた部分はあると思いますけど。
――ただ、声楽で学んだ技術は表現の幅のひとつとして活かせますからね。
Fümi:そこは出さな過ぎてももったいないし、かといって出しすぎて聴く人を置いてけぼりにしても仕方ないので、さじ加減が難しいですよね。
――共感を得られる歌という意味で心がけて取り組んでることはありますか?
Fümi:現在制作中のプロジェクトでは普段よりキーを下げてみたり、上げるけど高い部分の分量を減らしたりして、単純に歌いやすい曲という要素も考えたりしてます。
――たしかに技術的な難度の高い曲だと、カラオケで歌えなかったりしますものね。
Fümi:そうなんですよ。かといってみんながB'zさんの曲を歌わないのかと言うとそうではないので、そこは難しいところなんですけどね。「どうにかして歌ってやりてえ!」ということもあると思うので(笑)。そこは試行錯誤しながら新しいことができればと思ってます。ただ、今回の「傷だらけの僕ら」はそういう要素を考えず、僕も主人公と一緒に自分の限界をめざそうと思って、「僕はボーカルブースで死にます」という覚悟で作りました(笑)。
――ぜひFümiさん渾身の絶唱をみなさんに聴いてほしいですね(笑)。個人的にはFümiさんのEDM好きなパーソナルが見えるタイプの曲も聴いてみたいです。
Fümi:今、一番やりたいことはそれなんです(笑)。EDMはシンフォニックな音ともハマりがいいと思うんですよ。それこそClean Bandit はストリングスを使ってますし、EDMでヴァイオリンが入ってる曲も多いですから。1stと2ndは同じ制作スタジオが作ったアニメ作品のタイアップというご縁もあって共通性を持たせたんですけど、また次に違ったタイプのタイアップがあるとすれば、新しい何かが見せられるよう悪だくみしてます(笑)。
(取材・文=北野創/写真=三橋優美子)
■イベント情報
NormCore「傷だらけの僕ら」リリース記念イベント
※詳細はオフィシャルサイトより
アニメイト池袋本店
日時:2018年4月18日(水) STRAT 19:00~
会場:アニメイト池袋本店9Fイベントホール
住所:〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-20-7
観覧フリー
Space emo 池袋
日時:2018年4月21日(土)
1部START 13:00~ 2部START 17:00~
会場:Space emo 池袋
住所:〒171-0021東京都豊島区西池袋3-29-4 ジェスト7ビル1F
観覧フリー
※当日は入場時に別途ドリンク代金500円が必要となります
ニコニコ本社
日時:2018年4月22日(日) START 14:30~
会場:ニコニコ本社B1 ニコぶくろスタジオ前
住所:〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-50-35 池袋P’PARCO B1F
※こちらの会場は特典会のみ実施となります
■配信情報
ニコニコ生放送特番「NormCoreメンバー生出演『傷だらけの僕ら』リリース記念特番」
放送日時:4月22日(日)13:00~
番組視聴URL:http://nico.ms/lv312102789
※公式生放送は観覧フリーとなります。
■リリース情報
NormCore 2nd Single『傷だらけの僕ら』
4月18日(水)リリース
【初回限定盤】(CD+DVD)¥1,389+税
<CD収録内容>
1. 傷だらけの僕ら
2. 永遠の記憶
アニメイラストステッカージャケット仕様
<特典DVD収録内容>
「傷だらけの僕ら」MV
「傷だらけの僕ら」MV オフショット
【通常盤】(CD)¥926+税
<CD収録内容>
1. 傷だらけの僕ら
2. 永遠の記憶
■オンエア情報
テレビアニメ『一人之下 羅天大醮篇』
TOKYO MX 毎週火曜25:40~放送中
BS12 毎週土曜27:00~放送中
『一人之下 羅天大醮篇』オフィシャルサイト
■関連リンク
NormCoreオフィシャルWEBサイト
UMI☆KUUNオフィシャルYouTubeチャンネル
UMI☆KUUNオフィシャルTwitter
UMI☆KUUNオフィシャルInstagram
UMI☆KUUNオフィシャルFacebook
Fümi サイン入りチェキプレゼント
NormCore Fümiのサイン入りチェキを2名様にプレゼント。応募要項は以下のとおり。
■応募方法
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※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
<応募締切>
2018年5月1日(火)まで