ゆず、小林武史ワークス、竹原ピストル、BTS、超特急……多角的に“歌”を楽しめる新作

BTS『FACE YOURSELF』(通常盤)

 瞬く間に世界的な人気を誇るグループに成長したBTS(防弾少年団)のニューアルバム『FACE YOURSELF』には、「血、汗、涙」「Not Today」「Spring Day」などのヒットシングルのほか、新曲「Don’t Leave Me」(カンテレ・フジテレビ系ドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』主題歌)、The Chainsmokersとの共作(!)による「Best Of Me」なども収録。オルタナR&B、ネオソウルをさらに進化させたトラックメイクも本気で素晴らしいが、本作の魅力の中心にあるのは、先鋭的なビートを乗りこなしながら放たれるボーカル、ラップ(特にRM、SUGAによる鋭さと滑らかさを共存させたフロウは本作の大きな軸になっていると思う)。韓国語、日本語、英語の特性を活かしながら独自のボーカルメソッドを更新し続けていることが、BTSの快進撃を支えているのだ。

BTS (防弾少年団) 'FACE YOURSELF' TV SPOT

 2018年1月にメインダンサー&バックボーカルグループ・超特急からバックボーカル(メインボーカル)の一人であるコーイチが脱退。6人体制で初となるシングルの表題曲「a kind of love」は、シンプルな4つ打ちビート、華やかなエレクトロサウンドともに「この先の未来/君と描いて行きたい」というラインがまっすぐに伝わってくるアッパーチューン。ラブソングとしても成立しているが、歌詞全体がファンに向けられていることは明らかで、“6人になっても超特急は走り続ける。ついてきてほしい”という意志表示とも言える楽曲に仕上がっている。ひとつひとつのフレーズを丁寧に伝えながら、心地よい解放感を描き出すタカシのボーカルも印象的。歌を担う立場としての決意に思わずグッと来てしまう。

超特急「a kind of love」MUSIC VIDEO

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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