RIRIが歌いあげた夢への決意 リリースパーティーで見せた若き才能

RIRI、リリパで見せた若き才能

 今年、2月14日に記念すべきデビューアルバムをリリースした気鋭の女性シンガー、RIRI。あのAIに才能を見出され、すでに国内外でのフェス出場や海外でのレコーディングを経験するなど、そのパワフルで確かな歌唱力に大きな注目が集まっている存在だ。そんなRIRIが、アルバムリリース後間もないタイミングでリリースパーティーと銘打ったライブを開催した。この日は、RIRIと同じく新たな感性でR&Bを歌う若手シンガーソングライターの向井太一、そして、ヒップホップ・クルーのKANDYTOWNのメンバーとしてもデビューし、現在はRIRIとレーベルメイトとなったKEIJU as YOUNG JUJUも参加。若い才能がそれぞれに発揮される一夜となった。

 前2組のパフォーマンスの後に、RIRIが登場。1曲目の「Next to You」を歌い出した第一声目から大きな歓声が響く。まるでオーディエンス全体が一瞬にしてRIRIの虜になったのが目に見えるようだった。「Crush on You」、「Be Alright」、「Promised Road」と、前半はデビューアルバム『RIRI』からの楽曲を駆け抜けるように、だがしかし一音一音を噛みしめるように歌い切る。テクニカルな部分も丁寧に歌い上げているという感じで、序盤は「少し緊張している?」という印象を受けつつも、曲の合間などにふと見せる笑顔で、彼女の等身大の姿を確認しながら進んでいくという印象だった。

 中盤、EP『RUSH』に収録されていた「It Feels」やアコースティックギターとのハーモニーが印象的だった「Heart Can’t Lie」を挟み、「いっぱい話すことがあるんだけど、いつも忘れちゃう。とにかく、皆さんのことが大好きすぎてヤバいです」と、率直な気持ちをMCで伝える場面が。「これから、歌もパフォーマンスも、皆さんのために磨き続けたい」と伝えた後に流れたのは、世の中にRIRIの才能を印象付けた一曲ともいうべき「RUSH」のイントロ。見事、ドラマティックに歌いきり、続けてアルバムのリードトラック「That’s My Baby」へ。この頃には、観客の目をしっかり見るように、自身も十分に楽しんでいる様子でパフォーマンスを行っている姿が非常に印象的だった。ロサンゼルスで撮影したMVもキュートな「That’s My Baby」は、特に歌い慣れた一曲だけあってか、今のRIRIの魅力がすべて詰まったようなステージングになった。続く「Keep Up」では、EDM調の楽曲に合わせて客席を思いっきり盛り上げる。オーディエンスも手を挙げてジャンプするなど、この日一番のハイライトともいうべき瞬間だった。

 サプライズが起こったのは、アンコールに入る直前だ。舞台にスクリーンが降り、そこには制作現場で歌うRIRIの姿、そして、その後に世界的DJ/プロデューサーZEDDからのメッセージ動画が流れた。嬉しいサプライズとして客席にプレゼントされたのは、RIRIによる、ZEDDの楽曲「STAY」のオフィシャル日本語カバー。この曲、元はアレッシア・カーラが歌い、世界中のチャートを席巻しただけではなく、今年のグラミー賞では最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォマンス賞にもノミネートされた大ヒット曲。今回、RIRIはZEDDからのオファーにより、「STAY」のカバーを歌うことになり、この夜に初めて披露することになったのだ。逆らえぬ時の流れに対する切ない気持ちを自作の詩に落とし込んだスペシャルバージョンは、海外で活躍したいというRIRIの夢を後押しするに十分な出来。最後は「これから辛いこともたくさんあると思うけど、どんな時も自分を信じて頑張っていきたい」と前置きして決意表明を行うかのように「I love to sing」を見事に歌いきった。

 この日は彼女にとって、リリースを記念する日であるとともに、高校の卒業式を数日後に控えたという感慨深い日でもあった。ルックス的にも、ダークなアイメイクとヌーディーなリップで、心なしかいつもよりぐっと大人っぽく見えたRIRI。今後の飛躍を大いに期待させるフレッシュなライブとなった。

(写真=Taichi Nishimaki)

■渡辺 志保
1984年広島市生まれ。おもにヒップホップやR&Bなどにまつわる文筆のほか、歌詞対訳、ラジオMCや司会業も行う。
ブログ「HIPHOPうんちくん」
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blockFM「INSIDE OUT」※毎月第1、3月曜日出演

RIRI オフィシャルサイト

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