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『    』インタビュー

・・・・・・・・・運営×For Tracy Hydeが語り合う、アイドルの“記号性”と“音楽的挑戦”

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 「都市」をコンセプトに掲げた、東京を中心に活動する女性アイドルグループ・・・・・・・・・が、1月12日に1stアルバム『    』をリリースした。同グループは、公式の呼び名はなく、メンバーの名前も全員「・」。メンバーはサングラスのようなもので顔を隠し、シューゲイザー×アイドルという音楽性を持つなど、複雑な要素と楽曲で一躍話題になった。今回は、・・・・・・・・・の運営に携わるみきれちゃんと、アルバム曲を手掛けたFor Tracy Hydeの管梓・Mavの対談を行い、音楽的な工夫やアイドルの「記号性」などについて、じっくりと話を聞いた。(編集部)

「女の子がシューゲイザーを歌って踊ることが正しいという感覚」(みきれちゃん)

ーーそもそも、どうして・・・・・・・・・はシューゲイザーなどのジャンルを取り入れるようになったのでしょうか。

みきれちゃん:前提として、・・・・・・・・・は運営としてコンセプトを考える人間とテクノロジーに強い人間、そして僕の3人がメインで携わっているんです。僕以外の2人がアイドルグループを運営しようとなったときに、音楽面を担当する人間として、バンドマンだった僕に声がかかったという流れですね。最初の顔合わせをした際に、2人から「アイドルシーンで音楽的に新しくて面白いものはないのか」という話になり、「シューゲイザー的なエモさがいいんじゃないか」と勧めたところ、くらいつきがよかったのでその路線になったんです。

ーーでは、なぜ数あるジャンルのなかで、シューゲイザーにスポットを当てたのでしょう。

みきれちゃん:当然ニッチを突くという打算的な戦略もありましたが、個人的な感覚としては女の子がシューゲイザーを歌って踊ることが「正しい」という感覚があって、そんな姿を見たいと思ったんですよね。

ーー楽曲制作に関してはご自身も関わりつつ、色んな方に提供をお願いしていますよね。今回対談相手に迎えたFor Tracy Hydeの2人もそうですが、彼らをブッキングしようと思った理由は?

みきれちゃん:For Tracy Hydeは管さんと出会うところから交流が始まるんですが、まずは管さんがうちに興味を持ってくれたみたいで、間に人を1人介して「・・・・・・・・・に曲を作りたい」ということを伝えてきてくれたんです。それもあって、僕が「ぜひお願いします」という形で依頼したのが初めてのやりとりですね。ちなみに、その間に入ってくれたのは『千葉SHOEGAZER』というイベントのオーガナイザーであり、ネットレーベル<きいろれこーず>の辻さんでした。

ーーなるほど。端から見ていてFor Tracy Hydeはアイドルというジャンルにそこまで興味を示していなかったように思えるのですが、どうでしょう?

管梓:そうですね、必ずしも熱心に追っているわけではありませんでした。ただ、単純に自分が裏方として曲を作ってみたかったというのは大きいですね。ちょうどその時期に辻くんから「・・・・・・・・・がソングライターを探している」と聞いて、名乗り出ない手はないと思って自分から連絡しました。僕自身がシューゲイザーアイドルを手がけたいと高校時代に漠然と思ってたので、10年越しに夢が叶ったんです。

ーーMavさんはどのタイミングから関わるようになったんでしょうか。

Mav:みきれちゃんと管の連絡は、バンドのメールアドレスを介して行なっていたんですけど、やり取りの中で「COALTAR OF THE DEEPERSの『Hyper Velocity』みたいなのをやりたい」と書いていて。僕もCOALTAR OF THE DEEPERSが好きなので興味を持って、我々のリリースパーティーに・・・・・・・・・に出ていただいた際に「ぜひ書かせてください」と伝えたんです。

ーーFor Tracy Hydeが関わったのは、管さんの書いた「スライド」が初めてのタイミングですよね。これは実際どういうやりとりがあって制作した曲なんですか?

管:確か、・・・・・・・・・は僕が「スライド」を描くまで、ラブソングらしいラブソングがなかったんですよ。逆に自分がラブソングしか書かない人なので、「・・・・・・・・・初のラブソングを書くというのはどうでしょう?」と提案したんです。サウンド面の指定はありましたっけ?

みきれちゃん:結構抽象的でしたね。そこそこの疾走感があって、For Tracy Hydeの1stアルバム『Film Bleu』のような90年代UKっぽいキラキラしたギターサウンドを入れたくて、サビはとんでもなく切なくしてほしいとお願いしました。

ーーその結果、New Order×Rideといえるサウンドが完成したと。

管:そうですね。やっぱりNew Order的なシンセポップ感は、従来のアイドルっぽいイメージに近いようなものがあるなと思ったんです。そこにシューゲイザー要素として、少しノイジーでキラキラしている90年代UK然としたギターを入れてみたんです。

ーーFor Tracy Hyde的にも、「スライド」で表現したサウンドは1stアルバム『Film Bleu』と2ndアルバム『he(r)art』の間に位置付けられるのかもと思いました。

管:言われてみると確かにそうかもしれませんね。『he(r)art』を作るにあたって、音数を減らして無駄をなくそうという意識が強かったんですけど、「スライド」はその手始めといえる曲でした。無駄な音を一切入れず、ドラムとベースにバッキングギターとリードギター、シンセを3本くらいしか乗せていなくて、コーラスもシンプルで、今までで1番音数が少ないぐらいの曲になったんです。そういう試みをバンドから離れて違和感なくやれたことは、2ndアルバム『he(r)art』制作にあたって大きかったと思います。

みきれちゃん:『he(r)art』は、『Film Bleu』でも表現していた物語性、統一感のようなものがさらに細かくディレクションされているような気がしていて。かつ、音の作り込みもかなり細かくなりましたよね。

管:ありがとうございます。音の細かさについては、自分たちというよりエンジニアを担当してくださったトリプルタイムスタジオの岩田純也さんの力による部分がかなり大きいと思います。録音環境とミックス環境が変わったことで、一気に色んなディティールが見えてくるようになりました。

For Tracy Hyde – Underwater Girl (Official MV)

ーーなるほど。2人は今回・・・・・・・・・の楽曲を制作するにあたって、他のアイドルを研究しましたか?

管:そこまで熱心に研究したわけではないのですが、Maison book girlやsora tob sakana、ヤなことそっとミュートといった音楽的に攻めているアイドルグループの曲はある程度聴き込みましたね。特にMaison book girlはRingo Deathstarrの前座をやっていて、その時に面白いと感じたのでアルバムを買っていたんです。ゆるめるモ!とは前ボーカル時代に2回フェスでご一緒したし、その内ぐるぐる回る2014に出演させていただいた時はRHYMEBERRYやバンドじゃないもん!などのライブを観ることもできました。あと、欅坂46は個人的に結構ハマっていますね。

Mav:僕もMaison book girlは聴いていました。

ーー先ほど管さんが話していた「裏方としてやってみたかった」という部分をもう少し掘り下げたいのですが、いわゆる自分たちのバンドの文脈に依存しない音楽をやってみたかったということですよね。

管:ええ。やっぱりバンドのイメージを意識するとやれることは限られてくるし、メンバー自身が演奏することにも技術や志向の面で制約があるので、いつもは良くも悪くもそこに気を使わないといけないんです。ただ、今回の・・・・・・・・・の曲については、そこを気にしないで好き勝手やれたので、自由な創作ができました。あと、届く対象がバンドとアイドルで全然違うというのも大きいですね。自分の曲が今のインディーロックの文脈から切り離されて別の層に提示された時に、自分が思っているような強度が本当にあるのかというのを検証してみたかった。・・・・・・・・・に曲を書いてみたら、ファンの方からも好意的に受け取っていただけたので、安心すると同時に、もっとみなさんの気持ちに応えられるようなものを幅広く追求していきたいと改めて思いました。

Mav:概ね管と同じ意見ですね。うちのバンドは音源でシンセをたくさん入れていて、ライブではそれを同期で流しているんですが、そのことについて「邪道なんじゃないか?」という気になってしまう時はあるんです。とはいえ僕は曲を足し算しまくって書きたいタイプなので、どんどん音数を増やしたくなったり楽器を増やしたくなったりしても、後ろめたさを覚えずに作れるというのは大きかったです。

ーーちなみに、歌詞についてはその再現性とは別の捉え方になってくると思うのですが、2人ともどうでしょう?

管:そうですね、『Film Bleu』の収録曲の多くは学生時代に作っていて、それまでの自分の歌詞は妄想っぽいというか、良くも悪くも想像で物事を書いてるなと自他共に思っていて。今の僕は「生活に寄り添う音楽」を目標にしているんですが、そのためにはまず自分の音楽が自分の生活に寄り添ってないといけないんですよ。なので、『he(r)art』では自分や周囲の人々の実体験に基づいた、リアリティのある歌詞を追求してみたんです。その反動というわけではないですが、・・・・・・・・・の方は妄想全開で書いたほうが曲のフィーリングやアイドルというフォーマットにも合うし、ファンの方にも受け入れやすいだろうし、バンドから離れた自由な創作という方向性ともマッチするなと思ったので、何も気にせず書きたいものを書くという感覚でした。

Mav:うちのバンドの歌詞は基本的に管が全部書いていて。1曲だけ自分名義の歌詞はあるんですけど、それも実際のところはメンバー内でもらったモチーフを組み合わせて書いた歌詞なんです。なので、「バンドの歌詞との差別化」という観点はなかったですし、結局自分の書きたいものをそのまま書きました。

ーーなるほど。アルバム収録曲で管さんとMavさんが手がける「ソーダフロート気分」「きみにおちるよる」についても聞かせてください。まずは管さんの手掛けた「ソーダフロート気分」から。この曲はThe 1975を意識して書いた曲ですよね。

みきれちゃん:「ソーダフロート気分」は、管さんから出てきたアイデアをほぼ丸呑みしましたね。

管:でも、「シューゲイザーをがっつりやるのではなく、聴かせる感じのスロウな曲があってもいい」という話はしていただきましたよ。そこからThe 1975や、彼らの影響を受けつつJ-POPに仕立て上げている札幌のCoupleの名前を挙げたんです。The 1975ってダンサブルな印象が強いと思うんですけど、実際はアンビエント感のある、奥行きがあってリバーブの効いたドリーミーな音を聴かせてくれる側面がかなりあって。そこを引き出そうとした曲ですね。日本のインディーシーンでもこういう音がすごく流行っているので、そこを初めて突くアイドルになることで、一気にそのファン層を取り込めたら面白いだろうな、という期待もあります。

ーー「きみにおちるよる」はMavさんの手がけた楽曲ですね。

みきれちゃん:先ほど話した「ソーダフロート気分」の打ち合わせにはMavさんも同席していて、その時に色々相談しながら「きみにおちるよる」を作りました。COALTAR OF THE DEEPERSの「Aquarian Age」という、図太いシンセがゴリゴリに鳴っている曲があるんですけど、Mavさんがソロで作っている曲がそれに近くて。「この路線でいけば間違いない」と思ってお願いしました。

Mav:打ち合わせに行く途中に「どういう話をしよう、どういうイメージの曲を出したら面白いだろう」と考えながら、過去に作った「Aquarian Age×シューゲイザー」な曲を引っ張り出してきて打ち合わせに臨んだんです。実際の打ち合わせで意見も合致したので、そのままスムーズに曲ができました。

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