CIVILIANが全国ツアーを通して見出したひとつの答え 『Hello,civilians.』ファイナル公演レポ

CIVILIAN、全国ツアー最終公演レポ

 12月21日、CIVILIANが恵比寿リキッドルームにて全国ツアー『Hello,civilians.~全国編~』を終えた。11月に始まったツアーは北海道から数えて計8公演。全てのライブを大切に巡ってきたという彼らの最終公演には、まるで模索していた答えを見つけ出すような、途方もない暗闇から一筋の光を掴み取るような、そんな過去を肯定しながらバンドのこれからを提示するCIVILIANがいた。

CIVILIAN

 CIVILIANは、2016年7月にLyu:Lyuから改名したバンドだ。今回のツアーは、Lyu:Lyu名義でリリースした2013年の『君と僕と世界の心的ジスキネジア』から数えて、4年8カ月ぶりのアルバム『eve』のリリース記念という意味合いも持っている。微細なエレクトロサウンドによるインストゥルメンタル「eve」をバックにメンバーが登場すると、「一般生命論」「残り物の羊」と『eve』の収録曲順に披露していく。「バカバカしくて涙が止まらない曲です。一緒に歌おうぜ」とコヤマヒデカズ(Vo/Gt)が紹介したのは、メジャーデビューシングル曲「愛/憎」。有田清幸(Dr)のドラムは叩きつけるように、純市(Ba)のベースはゴリゴリに低音が響き、コヤマのボーカルはまるで吐き捨てるように言葉を投げつけていく。

 この日のセットリストは、『eve』の収録曲を中心に構成しながら、Lyu:Lyuとしての楽曲、コヤマがナノウ(ボカロP)として発表した楽曲も組み込まれていた。クラップとファンによる合唱が起こった「ハロ/ハワユ」は、ナノウの代表曲をCIVILIANとしてバンドアレンジにリメイクしたもの。この日演奏された「文学少年の憂鬱」や「3331」もそうだ。

 フロントマンであるコヤマの楽曲には一貫して、彼の過去や日々の中で感じた喜怒哀楽、コンプレックス、劣等感が表現されている。最新のシングル曲「赫色 -akairo-」、3人にとって大切な曲だという「生者ノ行進」にも彼の感情はありありと表れている。コヤマは葛藤の末にできた「生者ノ行進」でマイクをオーディエンスに預け、「勇気をもってみんなの前で歌ってみたら、想像以上に声を返してくれて。この曲を作って本当によかったなと思いました」と叫ぶ。本編ラストのMCでコヤマは、CDを出すこと、ライブをすること、全てが当たり前のことではなかったと振り返った。「それからの俺たちは、ずっと、ずっと明けないような長い夜を彷徨ってた気分でした。いつになったら朝日は照るんだろうとか、いつになったらこの作った曲たちは聞かせられるんだろうとか」「俺たちにとって今までもがいてきた全てと、汗と血の結晶です。1stアルバム『eve』をどうか末長くよろしくお願いします」。そう言って、バンドは「明日もし晴れたら」を演奏した。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる