zoppが語る、これからの作詞家像「キャッチコピー的な歌詞も書ける人が台頭する」

zoppが語る、作詞家に今後求められるもの

「サビは1行1行コピーライトっぽく」

ーーK-POPの場合、歌詞はリズムを重視したものになりますよね。

zopp:彼らにとって歌詞は凝った比喩表現や物語よりも、音やリズムをいかに殺さない言葉を乗せるのかが重要なんですけど、実はそれってすごく難しいことで。以前は作詞で物語を作ることを求められがちでしたが、最近は1行1行にキラーワードを入れてほしいというオーダーも多い。その辺のトレンドはちょっと変わってきたと思います。

ーーたしかに日本のポップシーンにおいても、「FLY」(向井太一)に阿部広太郎さんが参加したり、コピーライターが歌詞を書くことも増えていますね。

zopp:これまでは阿久悠さんや、秋元康さん、宮藤官九郎さんをはじめとした放送作家や脚本家が歌詞を書いて、物語を大事にする作詞をして人気を博していた。今後はセンテンスを重視するようになっていって、阿部さんのようなコピーライターが作詞家として活躍することも増えていきそうです。

ーー職業作家の方たちは物語を書く能力と、インパクトのある言葉を書く能力の両方を求められていくんですね。

zopp:最近はミュージックビデオから楽曲がバズるケースも多いので、いかに映像に寄り添えるのか、リズムを生かせるのかを重視した言葉選びが求められる。僕の場合は歌詞を書くと自然と物語っぽくなってしまうので、そこを生かしながらもサビは1行1行コピーライトっぽくしていくようにしないとな、と思っています。

ーーzoppさんが作詞した「青春アミーゴ」の歌詞はもちろん物語として成立してるんですけど、サビだけ切り取ってもインパクトがありますよね。

zopp:当時は意識していませんでしたが、自然とそうなっていました。作詞家としてはその辺りをもっと鍛えていく必要があるでしょうし、今後台頭してくる次世代の作詞家はキャッチコピー的な歌詞も書ける人だと思います。

(取材=中村拓海、村上夏菜/構成=村上夏菜)

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