ニコラス・ケルゴヴィッチ、LUNA……村尾泰郎が選ぶ、メロウな秋の新作5枚

Luna『A Sentimental Education』

 元Galaxie 500のディーン・ウェアハムが率いるバンド、Lunaも、しばらく活動休止していたが遂に再始動。実に13年振りの新作『A Sentimental Education』をリリースした。今回は全曲カバーで、ボブ・ディラン、The Rolling Stones、デヴィッド・ボウイ、The Velvet Undergroundなど、有名アーティストのあまり知られていない曲を選曲。そこにディーン独自のセンスが伺える。例えばLunaはヴェルヴェッツと比べられることも多いが、彼らが今回カバーした「Friends」は、いまだ日本盤化されていない(そして評価が低い)ラストアルバム『Squeeze』収録曲。ディーンはダグ・ユールが書いた甘いメロディを愛おしむように歌い、ほんのりとサイケデリックなフレイバーで包み込んでいる。そのほか、どの曲もまるで新曲みたいにLunaのイメージにぴったりだ。

Luna – Friends
メラニー・デ・ビアシオ『Lilies』

 最後は女性ミュージシャンを。ベルギー出身のメラニー・デ・ビアシオは、ジャイルス・ピーターソンやフィリップ・セルウェイ(Radiohead)が絶賛するジャズシンガー。『モントルー・ジャズ・フェスティバル』に出演するなどジャズシーンでも注目を集めてきた。そんななか、3作目となる新作『Lilies』は、パソコンとプロツールズ、そして、100ユーロの安いマイクだけを持って、暖房もない部屋にこもって彼女ひとりで制作された。ミニマルなビートを刻む手作りのトラックは、宅録のトリップホップのよう。そんななか、深い闇のなかから浮かび上がってくるようなメラニーの歌声が強烈な存在感を放っている。アルバムを貫く凍てつくほどクールなメロウネス。この歌声、一度、ナマで聴いてみたい。

Melanie De Biasio – Your Freedom is the End Of Me «the arena of failed obsessions» (Official Video)

■村尾泰郎
ロック/映画ライター。『ミュージック・マガジン』『CDジャーナル』『CULÉL』『OCEANS』などで音楽や映画について執筆中。『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』『はじまりのうた』『アメリカン・ハッスル』など映画パンフレットにも寄稿。監修を手掛けた書籍に『USオルタナティヴ・ロック 1978-1999』(シンコーミュージック)などがある。

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