TWICE『One More Time』が想起させる、K-POP日本進出史 日韓でヒット生む作家陣に注目

 「One More Time」の作家陣は、全員が日本で活動する人々。作詞は渡辺なつみとYHANAEL。YHANAELは、ジャニーズWESTのシングル「Ya! Hot! Hot!」の作詞にも参加していました。作曲に名を連ねているのは、作詞も担当したYHANAELに加えて、NA.ZU.NA、小久保祐希の3人。NA.ZU.NAは編曲も手がけています。

 NA.ZU.NAは、乃木坂46やE-girlsなどのほか、2PMやKARAといったK-POPグループにも楽曲提供をしてきたプロデューサー/ソングライター。また、小久保祐希は、ジャニーズWESTやGOT7などの楽曲を手がけてきたソングライターです。そして、NA.ZU.NA、小久保祐希、YHANAELは、全員がobelisk inc.(オベリスク)という作家事務所に所属しています。

 オベリスクの社長である伊藤豪英は、「One More Time」では日本側のレコーディングスタッフのミュージックディレクターとしてクレジットされている存在。そして、注目すべきは伊藤豪英が、BIGBANGの日本進出時にはスーパーバイザーとして、KARAの日本進出時にはプロデューサーとして参加していた人物であることです。

 最近のオベリスクは、WOOYOUNG(From 2PM)、Dream Ami、インス(from MYNAME)などを手がけており、日韓の国境を越えてヒットを生みだしているチームです。こうした実績を踏まえれば、オベリスクが制作に携わった「One More Time」の1位獲得もごくナチュラルに感じられました。

 伊藤豪英をはじめとするオベリスクの制作陣が、J-POPとK-POPの双方の「文脈」を理解していることは想像に難くありません。TWICEの「One More Time」は、実はK-POPアーティストの日本進出の歴史の上に成り立っている1位獲得曲なのです。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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