メジャー1stアルバム『Smokes』インタビュー
SWANKY DANKが語る、メジャーデビューと理想のライブ像 「俺らのイメージを叩きつけたい」
SWANKY DANKが、9月27日にメジャーデビューアルバム『Smokes』をリリースした。今年3月に47都道府県をまわる大型ツアー『it is WHAT it is TOUR』のファイナルを迎えた同バンド。そのほか、音楽フェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』や『SATANIC CARNICAL 2017』、韓国の大型フェス『INCHIEON PENTAPORT ROCK FESTIVAL』などにも参加し、着実に活動の幅を拡大している。
今回、リアルサウンドではSWANKY DANKのメンバーであるSHUN、KO-TA、KOJI、 YUICHIの4名にインタビュー。メジャーデビューがバンドに与えた影響や『Smokes』の製作エピソードをはじめ、『it is WHAT it is TOUR』や大型フェスへの参加で生まれたライブにまつわる発見、10月7日からはじまる『Smokes TOUR』への意気込みなどをたっぷりと語ってもらった。(編集部)
俺らのイメージを叩きつけたい(YUICHI)
ーー『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』でライブを観させてもらったんですが、すごく良かったです! あのときは吹っ切れたパフォーマンスでしたね。
KOJI:ありがとうございます。スタッフの方からもいいと言ってもらえたし、自分たち的にも楽しくできたんですよ。
ーーそうだったんですね。今作の話の前に、昨年から始まった47都道府県ツアーファイナルを今年終えましたよね。全公演をやり遂げた感想から聞かせてもらえますか?
KOJI:過酷でしたね。回っていたときは1本1本のライブを死ぬ気でやることがテーマだったんですよ。メンバー間の衝突もありつつ、絆も深められたなと。悔しい思いもたくさんしたから、バンドとして成長できました。
YUICHI:ファイナルが終わって、達成感もあったけど、すぐ今回のレコーディングに入ったんですよ。47都道府県回ってるときは、前作『it is WHAT it is』のことをずっと考えていたし、自信のある作品だったけど、消化し切れなかった部分もあったから。そういう思いを二度としたくないと思って、今回のレコーディングに臨みました。
ーーなるほど。
YUICHI:今年もライブは真剣にやってるけど、ふと立ち止まる瞬間があって。勢いだけのままでいいのかなって。俺らはポップパンクでエモの要素もあるけど、2ビートのめっちゃ速いビートで押すバンドでもなければ、ブレイクダウンもあるわけじゃない。そこに振り切らないでやってきた自信はあるけど、シーンの中ではハジかれてきたのかなと。だけど、『SATANIC CARNICAL 2017』に出れたことで、俺たちがやってきたことを認めてもらえた気がして。
ーー『SATANIC CARNICAL 2017』出演も自信に結び付いたと。
YUICHI:そうですね。ただ、ライブに対してはまだ迷いもあって。自分たちのツアーではすごくいいライブができるけど、人のライブに呼ばれたときはサラッとしたライブになっちゃって。『SATANIC〜』は気合いが入っていたけど、気持ちがグチャとなってしまって。いろいろと考えている中で、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』に出たんですよ。冒頭で「吹っ切れた」と言ってもらえましたけど、あのライブは心の底から楽しめて、まさに吹っ切ることができたから。47都道府県で築き上げたものを大事にしつつ、もっと心に刺せるライブをやりたくて。今作の曲を織り交ぜたら、もっと魅せるライブができるんじゃないかと思っています。
KOJI:自分たちがどういうライブをすればいいのかを深く考えるようになったのも、47都道府県ツアーをやったおかげですね。
ーー今、バンドが思い描く理想のライブ像は?
YUICHI:言葉にするのは難しくて、すげえ泥臭いライブをやりたいけど、それとはギャップがある気がして。そこをきっちり埋めて、俺らのイメージを叩きつけたいなと。でも俺たちは泥臭くないし……。
KO-TA:今YUICHI君が言ったように、俺たちの出したいイメージと、お客さんが持つイメージにギャップがあるから。今はお客さんにどう発信していくのか、話し合ってるところなんですよ。
YUICHI:自分たちがお客さんにどう見られているのか、これまで知らなすぎたのかもしれません。
ーー自分たちではお客さんにどういう風に見られていると思ってます?
YUICHI:なんて説明したらいいんだろう。モダンでスマートなバンドというものを求められているし、そういう楽曲もやってますからね。これからどうしようかなって……赤裸々すぎて恥ずかしい話なんですけど。精神面では泥臭いライブをやりたいけど、もっと伝え方があるんじゃないかと。自分たちが好きな音楽はポップパンク、ポップス、ラウドだったりするから、バックボーンが見えずらいのかなって。だからこそ、ライブで泥臭くしたくて。KOJIのR&B風やフェイクを入れた歌い方も、日本のメロディックではやってないアプローチだと思うんですよ。だけど、どう伝えたらいいのかなって。
ーー今作を聴いても、SWANKY DANKの魅力はポップパンクが軸にありつつ、それだけじゃなくて、R&Bやバラードナンバーもできる。それがほかのバンドにはない強みだと思うんですよ。泥臭い気持ちのまま、自分たちらしく表現すればいいと思うんですが、そう簡単にもいかないと?
YUICHI:そこに辿り着くまでが逆に難しくて(苦笑)。
KOJI:今回のアルバムはそれをしっかり表現できてる気がするんですよ。過去を振り向くんじゃなく、未来に向かってる1stアルバムですからね。自分たちが経験した10年を持って、今作ができたし、音作りやアレンジも自分の好きなことができたから。
YUICHI:難しく考えすぎていたけど、ナチュラルに吹っ切ることができました。
ーーSHUNさんはどうですか?
SHUN:メジャーデビューということで、気合いはすごく入ってます。今やりたいことはすべてできた作品ですね。新しいことにもチャレンジできたし、特に「Colors」はすごく力がある曲だと思ってて。ライブでもやってるんですけど、曲自体も成長してますからね。このツアーが始まると、ほかの新曲や過去曲も一段とかっこ良くなるだろうし。俺たちの表現も自然に変わってくるのかなと。
ーー少し話を広げますけど、現在の音楽シーンについてはどう感じてますか?
KOJI:日本の音楽シーンを眺めると、ポップスがナンバー1で、ヒップホップもそれに近いくらい勢力を強めてるじゃないですか。パンクシーンもそうなってくれたらいいなと。今回エイベックスからチャンスをもらえたので、もっとより多くの、ライブハウスに来たことがない人たちを取り込んで、大きなシーンにしてたくて。こないだ『a-nation 2017』にも参加させてもらったんですけど……。
ーー実際にやってみて、どうでした?
KOJI:すごく不思議な体験でした(笑)。でも、そこで勝負しなきゃいけないというか、そういう奴がいなきゃいけないと思っています。シーンを引っ張るとまで言わないけど、ライブハウスを代表して、大きな場所にも出ていきたいなと。俺らが出ていくことで、後輩バンドも追随してくれたらなと。アメリカだと、いろんなジャンルがビルボードでも占めてるじゃないですか。日本でもパンクがポップスのような存在になったらいいなと思っています。
YUICHI:昔はメロディックが好きだったら、アイドルは聴かないというイメージがあったけど。今のシーンはフェスが先行しているから、お客さんは流行りのものやコミカルな音楽、ほかにアイドル、メロディック、ミクスチャーみたいな音楽も好きだし。俺らが仲のいいバンドだと、CRYSTAL LAKEはラウドで特殊な音楽だと思うけど、彼らは人気があるし、どんどん動員も増えてますからね。今はシーンが面白い感じで混ざってるし、俺たちはこういうジャンルとつるんでやるぜ! みたいなことがほぼなくなってるから。いい意味で幅広くチャンスがあるし、いろんな人に観てもらえるメリットもあるから、シーン自体は面白いんじゃないかなと。
ーーその意味ではSWANKY DANKもポップパンクだけじゃなく、多様な音楽性を持っているので、今の音楽シーン的には追い風が吹いていると思います。極端な言い方をすれば、自分たちの音をお茶の間に届けたいという意識もあります?
YUICHI:めちゃくちゃでかいことを言えば、お茶の間に届けられるバンドでもありたいなと。
ーーポップパンクの入口になれるようにバンドに?
KOJI:大きなところに出て、面白いことをやりたいですね。
ーープラスマイナスは付き物ですが、より大きなフィールドに打って出ようと?
KOJI:そうですね。切り拓くじゃないけど、こういう風にやってるバンドもいるのかって、見てもらえればいいかなと。その生き様を見て、俺たちもバンドをやろう! と思ってくれる子がいたら嬉しいですよね。そしたら、面白いパンク・シーンが生まれるんじゃないかとも思います。