アルバム『ULTIMATE SACRIFICE』インタビュー
GALNERYUSが追求する、ヘヴィメタルとしての“新しさ” 「引き出しが増えていくことが大事」
「メタルを歌ってるという意識じゃなく歌ってる曲もある」(SHO)
ーーGALNERYUSのやっているスタイルーーいわゆるシンフォニックメタルって、ギターもリズムも曲の構成も「こうじゃなきゃいけない」っていうポイントがいっぱいあって、それを全部クリアして曲にしなきゃいけないじゃないですか。
SYU・SHO:はい。
ーーでも前と同じじゃダメなわけじゃないですか。
SYU:ほんとそうですね。
ーー全部クリアして「今回も一緒か」にならないためには、どうすればいいんですか。
SYU:いやあもう、難しい。いちばん難しい課題ですね(笑)。毎回「このアルバムで全部出しきっちゃった、次どうしよう」って思うんですよ。でもなんとかこうして新しいアルバムが生まれてきたっていうのは、どういうことかというと……もう、考えるしかない。とにかく考えるしかない。パソコンの前で何もしない、ただ頭だけが回転してる時間が、もうほんと長いですよ。たとえばデモを制作する時間を2日とってるとして、その間がほとんど何もやってない時間です。ただパソコンの前に座って「これダメだ」「これいいかもしれない」って。ネタさえあれば1〜2時間で終わる作業が、なんにも進まない。それは、「これは前やった」とか「これは前開けた引き出しとおんなじや」とか、もうけっこうなリリースをさせてもらってるから、やっぱりあるんですね。曲の構成にしても、「これ燃える展開やんけ!」って思って作ってみたら、「あ、前の曲と一緒やった」とか(笑)。ただ、音楽って世界中にあるものだから。メタルの枠内、それから自分って枠内で考えると、まだ残っているやれることは少なくなってるように感じちゃうけど、もっと広い視野で音楽に接していれば、違うジャンル、たとえばラップからインスパイアされることもあるし。そうやって自分の引き出しが増えていくことが大事やと僕は思ってるから。特にボーカルのメロディが僕たちにとってはいちばん大事なんですよね。本当に名曲って言われてる曲って、歌がいちばんいいわけじゃないですか。
SHO:まあヘヴィメタルでも、ポップスでも……わかりやすいところで言うと、「Smoke on the water」(Deep Purple)って曲知ってる? って言われると、たいていの人はイントロのあのリフを口ずさむじゃないですか。そういうリフを作る才能も、SYUくんはギタリストとしてすごくあるんですけど、僕が想像するに「GALNERYUSのあの曲知ってる?」って言われたら、サビを口ずさむ人もけっこういるんじゃないかと思うんですよ。それがGALNERYUSの魅力のひとつで、強さのひとつで……まあそれを歌ってる自分が言うのはナンですけど。
ーー確かに、頭の中で曲を思い出そうとすると、Led ZeppelinでもDeep PurpleでもRainbowでも最初にギターリフが出てきますね。
SHO:そうですよね? 歌メロ以外のインパクトのあるとこで覚えてますけど、GALNERYUSは歌メロでコミュニケーションが取れるんじゃないかと思います。
SYU:僕の作曲方法はメタルっぽくないのかもしれないですね。リフももちろん大事なんですけど、それは二の次で。だから、ギタリストとしてとかリフメーカーとして評価されたいとは全然思わなくて。どっちかというと、トータルの作曲者として評価されていきたい。たとえばメタルのアレンジじゃなくても成立する曲を書きたい、自分がいなくても、小野さんの歌とYUHKIさんのピアノだけでも表現できる曲じゃないといけない、と思うので。
SHO:ドキドキしますけどね、それだと(笑)。だから僕、GALNERYUSは曲によっては、メタルを歌ってるという意識じゃなく歌ってる曲もあるんですよね。バンドに加入したばっかりの頃は、バラードの曲なんかを歌ってると、「なんかこれ、ポップス歌ってる時の俺になっちゃってるけどいいのかなあ?」って。でも「いや、そのまま小野正利でいいんです」って言われて。
SYU:小野さんってやっぱりハイトーンがすごくいいっていうふうに言われるじゃないですか? 確かにそうなんですけど、ただ、このアルバムだと6曲目の「WHEREVER YOU ARE」で聴けるような、ちょっとキーを落として色っぽく歌うような部分も、ものすごく魅力的なんですね。すげえ人とやってるんだなって。出そうと思って出る声じゃないからね。このダイナミクスがあるボーカリストって本当に稀だな、と今回も改めて思いましたね。
(取材・文=兵庫慎司)
■リリース情報
『ULTIMATE SACRIFICE』
発売日:9月27日(水)
定価:¥2,800+Tax
<収録曲>
1. ENTER THE NEW AGE
2. HEAVENLY PUNISHMENT
3. WINGS OF JUSTICE
4. THE SHADOW WITHIN
5. WITH SYMPATHY
6. WHEREVER YOU ARE
7. RISING INFURIATION
8. BRUTAL SPIRAL OF EMOTIONS
I. Blinded By Anger
II. Burning Within
III. Soul Carried By The Wind
9. ULTIMATE SACRIFICE
I. Wishing To Liberate
II. The Battle In Desperation
III. The Reality In The End
IV. Phantasmagoria
V. The Living And The Dead
■ライブ情報
『“JUST PRAY TO THE SKY Chapter II”" TOUR 2017』
10月27日(金)仙台 MACANA
10月29日(日)札幌 cube garden
11月11日(土)大阪UMEDA CLUB QUATTRO
11月17日(金)福岡DRUM Be-1
11月20日(月)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
11月21日(火)広島SECOND CRUTCH
11月23日(木・祝)名古屋 ElectricLadyLand
11月25日(土)松本Sound Hall a.C
11月26日(日)新潟 studio NEXS
12月22日(金)東京TOYOSU PIT