踊ろうマチルダ、T字路s……“生身と楽器一つ”で衝撃を生み出すアーティストたち

“生身と楽器一つ”で衝撃を生むアーティスト

 口コミでライブがすごいらしいと評判を呼び、実際、大型フェスでその年の裏ベストアクトと評されるアーティストは他にもいる。今年のフジロックで前夜祭(フジロックの前夜祭出演アーティストは当日夕方発表で最後のサプライズなのだ)に登場し、伊東妙子(Vo / Gt)と篠田智仁(Ba)の二人だけで5000人を熱狂のブルースの渦に叩き込み、初見のオーディエンスをその後、2回目のステージにも足を運ばせたT字路s。レトロなワンピースにハイヒールで大きなフルアコを抱え、ダイナミックに人生を歌う伊東の説得力の前にジャンルや国籍は無化する。

 シャンソンやケルト音楽を人懐こい自らの資質に融合させ、今や日本のロックシーンに風を送り込む姉妹デュオ、チャラン・ポ・ランタンしかり(姉の小春はMr.Childrenのツアーに帯同、また彼女たちの楽曲「かなしみ」にはMr.Childrenのメンバーがアレンジと演奏で参加。彼らが他アーティストの作品にアレンジや演奏で参加したのは初)、参照している異文化の音楽への造詣や愛情はもちろん、まるでそれを歌い、奏でるために存在しているような音楽家に一瞬で心と体を持っていかれる体験を多くの人に味わってほしい。

■石角友香
フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Skream!」「PMC」「EMTG music」「ナタリー」などで執筆。音楽以外にも著名人のテーマ切りインタビューの編集や取材も行う。

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