『ももクロ夏のバカ騒ぎ2017-FIVE THE COLOR Road to 2020-』8月2日レポート
ももいろクローバーZ、スタジアムライブで示した新しい青春の形 『夏のバカ騒ぎ2017』レポート
ももいろクローバーZが8月5日と6日、味の素スタジアムで『ももクロ夏のバカ騒ぎ2017-FIVE THE COLOR Road to 2020-』を開催した。4年ぶりの開催となった同ライブでは、両日あわせて約10万人の観客を動員。「スポーツとももクロの融合」をテーマに、ライブパフォーマンスとスポーツ競技を同時に行うユニークな形式でライブは行われた。本稿では、2日目の公演をレポートする。
タイトルにある通り、2020年の東京五輪を意識した同ライブ。国内で活躍するトップランカーやオリンピック経験者といったスポーツ選手が多数参加し、陸上、体操、高飛び、さらにはスポーツクライミングや空手など、多種多様な競技が展開された。ここまで本格的にスポーツをフィーチャーしたライブは、おそらくアイドル史上初であろう。そんな前代未聞のステージは、華やかなマーチングバンドの演奏とスポーツ選手の入場から始まる。それと同時に「バカになれ」というプラカードを手にしたももいろクローバーZが、聖火風のオブジェが飾られたメインステージの頂上に登場した。
オープニングSE「overture ~ももいろクローバーZ参上!!~」が流れ、頂上からリフトで下降してきたももクロ。「ダウンタウンももクロバンド」の軽快なサウンドが鳴り響くと、高城れにがセンターを務める「境界のペンデュラム」から「天手力男」と2曲続けて勢いのあるパフォーマンスを披露。さらに「ゴリラパンチ」では、有安杏果が放つ「怒りのゴリラパンチ」にあわせて、アリーナに仕掛けられたジェット噴水が、天にめがけて勢いよく噴射する演出も。興奮で上がりすぎた体温を冷ますように、スタンド席やアリーナに霧状になった水が降り注ぐ。
ファーストMCでは、高城が「緊張したー!」と「境界のペンデュラム」を振り返り、普段センターを務める百田に「(百田)夏菜子ちゃんってすごい!」とコメント。無邪気な姿を見せた後は、百田のラップから始まる最新シングル「BLAST!」でラップをクールにキメたももクロ。「ザ・ゴールデン・ヒストリー」ではメインステージを降り、観客を煽りながらアリーナ中央にあるセンターステージへ。センターステージで歌った「ココ☆ナツ」では、ココナツダンスを客席と一緒になって踊ったかと思えば、散水ホースを手に取り客席に水をまき始め、歌唱後には客席とメンバーがびしょ濡れになる一幕も。
また、メインステージへと戻ったももクロが「何時だって挑戦者」を歌うと、同時に男子ハーフマラソンもスタート。メインステージもマラソンのコースになっており、踊るももクロの後ろをランナーが駆け抜けていく、通常のライブじゃ見られないシュールな風景が繰り広げられる。また、メインステージの両サイドに設置された大型ビジョンには、ステージ上の映像とマラソンのリアルタイム映像がそれぞれ映し出され、観客の前にドラマチックな光景が広がった。
ももクロが一度ステージから退場した幕間で、「全空連男子空手形演武」「男子100m走(予選)」「男子1500m走」が行われると、ライブとは違った迫力が会場を包み込み観客を盛り上げる。「男子100m」では、タレントの井手らっきょが選手として登場。スタートと同時に身につけた服を脱ぎ捨て、ダチョウを模したパンツ一丁で走るというサプライズ演出が行われ、会場に笑いが溢れた。
「1500m走」にあわせて、衣装チェンジしたももクロが再びステージ登場。「1500m」に臨む選手にエールを送るように「Chai Maxx」を歌唱し、ゴールにたどり着いた選手一人ひとりの健闘を讃えた。さらに「JUMP!!!!!」を関東学院中学校高等学校マーチングバンドとのコラボレーションで披露。フラッグを使用したパフォーマンスも参加した豪華なステージングで会場を大いに盛り上げていく。ポップチューンの連続に興奮冷めやらぬ中、ももクロが花車に乗ってメインステージからセンターステージへ移動し、「D'の純情 」「ワニとシャンプー」を続けて披露した。
さらに高跳びのパラリンピック代表を経験している鈴木徹が、観客とももクロの応援を背に受けながら、175cmの高跳びにチャレンジ。成功を見届けた後には「もっ黒ニナル果て」を経てメインステへ。続けて池谷直樹とサムライ・ロック・オーケストラが体操の鉄棒や床などの演目を展開する中、「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」with SAMURAI ROCK ORCHESTRA」を歌唱。ライブとスポーツ競技が織りなす特別なステージを実現し、ラストは池谷を中心とした決めポーズで曲を締めくくった。
今回のライブを体感する中で、ももいろクローバーZにとっての“青春”の形が更新されたように感じた。いつでも挑戦を忘れない天真爛漫な活動スタイルや映画『幕が上がる』への出演、さらに今年の4月から全国ツアー『青春』を行っているももクロは、常に“青春”というキーワードと一緒に活動を重ねてきた印象がある。前回『ももクロ夏のバカ騒ぎ WORLD SUMMER DIVE 2013 8.4 日産スタジアム大会』でもスポーツとライブの融合は実践しているが、今回は2020年の東京オリンピックを視野に入れ、より本格的な取り組みになっていた。2018年には結成10周年を控え、各メンバーも年齢を重ねて心身共に成長したももクロ。「バカになれ」という精神は踏襲しつつも、一歩大人へと歩みを進めた彼女たちが、より大きなスケールでももクロ流の新しい“青春の形”を示したのではないだろうか。