KiNGONSの笑いを通り越した格好良さ パンクロック・エンターテインメントの破壊力

KiNGONSのパンクロック・エンターテインメント

 ギターウルフのセンスを受け継ぐように、KiNGONSは海外でも頻繁にツアーをする生粋のライブバンドだ。結成から今日まで年間150~170本のライブは余裕でこなしてきたし、韓国や台湾、ヨーロッパやアメリカでも大盛況のライブをやってきたという。ただ、そんな彼らの拠点はあくまで宇都宮。ここには彼らのこだわりがある。Bee Beeの言葉だ。

「栃木に住んでると、みんな東京出ちゃうんですよ。高校卒業したら東京出てバンドやるとか、バンドの状況がよくなったら全員で東京移住しちゃう。で、すぐ帰ってくるって言いながら全然来ないんですよね。その感じが嫌だったから、ウチらはずっと宇都宮に住みつつ、全国世界を駆け巡りたいと思った。あとは一カ月に一回は地元でイベントやって、東京とか全国各地で活躍してるバンドを呼んでやろうって。そういう目標はあります。ここまで来たらあくまで栃木在住のまま、どれだけ全国に乗り込めるかっていう戦いですよ」

 あくまで地元還元型。そんなD.I.Yの姿勢も好ましい限り。この日のライブは騒音寺と行っている「日本騒乱万博ツアー2017」の後半戦で、互いのキャラクターの濃さがぶつかりあって馬鹿馬鹿しいまでの笑いとエネルギーがフロア渦巻いていた。このツーマン・ツアーのファイナル公演は8月31日の渋谷クラブクアトロで行われる。何か面白いことを探している人は、絶対に見たほうがいい。今のバンドってどれも同じで小粒じゃないか、みたいなことをつまらなそうな顔で言っている人ほど、この破壊力満点のパンクロック・エンターテインメントにヤられてしまえばいいと思う。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

KiNGONSオフィシャルサイト

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