『SWEET LOVE SHOWER 2017』ライブレポート
マキシマム ザ ホルモンのライブには“熱い幸福感”がある 4年ぶりSWEET LOVE SHOWERレポ
スペースシャワーTVが主催する野外ライブイベント『SWEET LOVE SHOWER 2017』が、今年は8月25~27日の3日間にわたって山梨・山中湖交流プラザ きららで開催中だ。リアルサウンドでは、同イベントのライブレポートを掲載。本稿では、4年ぶりの登場となるマキシマム ザ ホルモンのライブの模様をレポートする。
外の空気が冷たくなってきた夕方18時頃。初日のLAKESIDE STAGEも、残すところ2アクトというタイミングで登場したのはマキシマム ザ ホルモン。本人たちは途中で「25年ぶり?」と冗談を言っていたが、実際のところは、2013年以来4年ぶりの出演。久々の出演ということもあり、また、そもそも彼ら自身が2年ぶりにライブ活動を再開したこともあり、オーディエンスの期待度の高さを開演前からうかがうことができた。後ろの方まで人がみっちり。幅広い世代の、いろいろなTシャツを着た人が足を止め、彼らの登場を待ち構えているのだ。
「SWEET LOVE SHOWER! 『恋のメガラバ』!」とダイスケはん(キャーキャーうるさい方)によるシャウト混じりのタイトルコールを機に、フィールドは熱狂の渦へ。2年間のブランクなど微塵も感じさせない、濁流のような音。待ってましたと言わんばかりにあちらこちらで手拍子が起こり、歌声が上がり、オーディエンスがグッチャグチャに入り乱れる。ステージ上から見たその様子は、おそらく相当すごいことになっていたのだろう。ナヲ(ドラムと女声と姉)は思わず「ちょっとすごいんじゃないかい!? SWEET LOVE SHOWERってこんなんだったっけ?」と一言。そのまま、いすゞのトラックCMソングを熱唱し始めたり、「スカパラではなく俺らは単なる豚バラ」「Suchmosじゃなくて幸薄」と出演者をネタにした自虐を挟んだり……と小ネタ満載のMCに移るが、このやりとりだけですでに現時点での演奏時間を超えている。ライブ後半にはマキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)が思わず「もうええで」とツッコミを入れる場面もあったが、気合い漲る演奏だけでなく、そういうところからも、4人の好調ぶりを読み取ることができた。
ホルモンといえばハードなサウンドのみならず、美しいメロディも持ち味であるため、例えば夕焼けの中で聴くマキシマムザ亮君弾き語りによる「鬱くしきOP~月の爆撃機~」がかなりグッときたりするのだが、切なくなっている暇など一切なく、「鬱くしき人々のうた」で繰り広げられるのは、上ちゃん(4弦)を筆頭にした弾丸のような猛攻。そこから大運動会のようにオーディエンスがフィールドの上を走り回った「ロッキンポ殺し」へと繋げ、ライブは急展開。そしてラストに待っていたのは「恋のスペルマ」による爆音の大団円。ステージ上とフィールド上、全力でやりあった者同士が堅く握手を交わすような熱い幸福感の中に、ホルモンのライブが多くのロックファンに求められ続ける所以を目の当たりにしたのだった。
(文=蜂須賀ちなみ/撮影=浜野 カズシ)
■セットリスト
マキシマム ザ ホルモン
『SWEET LOVE SHOWER 2017』
2017年8月25(金)山梨・山中湖交流プラザ きらら
1. 恋のメガラバ
2. シミ
3. 鬱くしきOP~月の爆撃機~ / 鬱くしき人々のうた
4. ロッキンポ殺し
5. メス豚のケツにビンタ(キックも)
6. 恋のスペルマ
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