1stミニアルバム『神様、僕は気づいてしまった』リリースインタビュー

神様、僕は気づいてしまったが掲げる“アンチテーゼ”とは?「まずやるべきことは10代の洗脳かも」

「『大人になってゆくんだね』がキーパーソン的なアルバム」(東野)

──だからこのミニアルバム『神様、僕は気づいてしまった』を通して聴いたあとに、クレジットを見て2人のソングライターが関わっていることに驚かされるんです。本当に統一感が強くて、「これを見せたいんだ、聴かせたいんだ」という思いが核にあることが強く伝わってきました。この7曲はどういう基準で選んだんですか?

東野:トラックリストでいうと、最後から1つ前の6曲目「大人になってゆくんだね」という曲のみアルバムを見据えて書いたものなんですけど、それ以外の曲はストックとしてすでにあったもので、純粋に良い曲だから1stアルバムに自信を持って入れようと思ったものばかりなんです。ただ、6曲目に関してはアルバムでけじめをつける曲が1曲ぐらいあってもいいのかなと、個人的に思っていたので。

──その「アルバムでけじめをつける」というのは?

東野:やっぱり音楽って時間の芸術だと思うので、変化がないと意味がないと考えていて。例えば「俺はもうダメな人間だ」という曲から始まって、最後まで全部「俺はダメな人間だ」で埋め尽くされると人間的な成長が見えないじゃないですか(笑)。そういう音楽は芸術としてどうなの?というポリシーが個人的にはあって、アルバムを通して作者の心情の変化を色濃く表してナンボだと思っていて。そういった変化が出せる1曲が、このアルバムでは「大人になってゆくんだね」なんです。でも、曲順を決めるときに、それを最後に置くのか、最後から1曲前に置くのかですごく悩んで。「大人になってゆくんだね」はネガティブから始まるけど、最後は光が差して終わる楽曲で、それを最後に置けばポジティブな終わり方になる。でも、神僕のもともとのコンセプト的には「ざまあみろ」的な毒の強いアルバムにしたかったので、ラストから1曲前にして、最後は神様、僕は気づいてしまったとして初めて発表した楽曲の「だから僕は不幸に縋っていました」という曲にしたんです。

──なるほど。

東野:例えば、リスナーがトラックリストを特に気にしないで、このCDを手に取って聴いたとするじゃないですか。1曲目から聴き始めて「大人になってゆくんだね」にたどり着くと、光に向かっていくようなこのバラードを最後の曲だと思うんですよ。で、どんどん前向きになっていく歌詞を受けて、ハートウォーミングなアルバムなんだという読後感を得たと思ったら、もう1曲残っていて。しかも速くて、ひたむきに暗い曲が最後に残っていた。バラードが最後の1曲前にあることで、ラストの「だから僕は不幸に縋っていました」のダークヒーロー感が高まるので、そこも考えつつ曲順も決めたんです。なので、「大人になってゆくんだね」をアルバム用に書けたことは、すごく良かったなと思いました。

和泉:熱い展開だよね。

東野:実は「大人になってゆくんだね」がキーパーソン的なアルバムだよね。求められているものとは違うのかもしれないけど、この曲の必要性みたいなものを感じ取ってもらえたら、僕たちとしては嬉しいです。

「『CQCQ』ではタイアップの歴史を大事にしたかった」(東野)

神様、僕は気づいてしまった - CQCQ

──本作にも収録されている1stシングル曲「CQCQ」は、TBS系 火曜ドラマ『あなたのことはそれほど』(2017年4〜6月放送)の主題歌に採用され、ドラマ同様に話題となりました。皆さんもその反響は耳にしていると思います。そういったリアクションに対して、何か感じるものはありましたか?

和泉:「CQCQ」の取材で「ドラマのメッセージにも触れつつ、でも神僕の歌詞でもありつつ、二面性のあるものを意図して書いた」という話があったんですけど、わりとそれを感じ取ってくれた反応が多かったなと、僕個人は思っていて。

東野:確かにね。

和泉:ドラマを観ている人には「この歌詞は、ドラマのこのことを歌っていたんだな」と受け取ってもらえたし、「だから僕は不幸に縋っていました」から僕たちのことを知っている人には神僕の1曲として受け取ってもらえた。しかもドラマも観ていて、その二面性も感じ取ってくれていたので、そのあたりはわりと東野の意図したとおりなのかなと思うと、嬉しかったですね。あと、友達のお母さんが「CQCQ」を良い曲だと言っていたのも聞いて、本当に面白くて(笑)。ドラマの影響で歌詞に共感できたと思うんですけど、サウンド的には「これ、おばちゃんが聴くかなぁ?」という楽曲だから、歌詞を重視しているとそういう現象が起きるんだなというのが興味深かったです。

──神僕にはこれまでもタイアップ曲がいくつかありますが、ドラマの脚本を読んでから制作したのは「CQCQ」が最初でしたよね。

東野:そうですね。そこは他の歌詞を書くこととは圧倒的に違いました。ドラマのタイアップでありながら「自分が自分が」と神僕っぽさを出すのも、ロックバンドとしてはカッコイイとは思うんですけど、タイアップってすごい歴史があるじゃないですか。タイアップから生まれたヒットソングもたくさんあるし、そういった先輩方の歴史を「ロックバンドは反骨精神を持ってナンボだ」みたいなスタンスで壊すのは個人的にいただけないというか、それはさすがに子供すぎるんじゃないかと。僕はそういう歴史を大事にしたかったので、ドラマサイドの方が求めているイメージどおりの楽曲を提供して、「この曲にしてよかったな」と感じてもらいたいと思った。だったら、どっちも求めてやろうと欲張りな手法を取ったので、その整合性をつけるのは他の曲より大変でした。和泉が言ったとおり、リスナーにはそこをちゃんと感じ取ってもらえていたので、頑張った甲斐があったなと思いましたね。

「初ライブは目論見の成功率をどこまで高めていくか」(和泉)

──8月には『SUMMER SONIC 2017』にも出演。これが初ライブですよね。

東野:はい。目論見どおりにいくのか未知数ですけど。まぁライブってそういうものですしね。それが最初かそうじゃないかだけの違いなので、練習をちゃんと重ねて……受験と一緒だよね。

和泉:なるほど(笑)。

東野:コンスタントに練習して、リハーサルどおりにできたら、良い結果に繋がると思いますし。

和泉:でも、ちゃんと目論見はあるので。その成功率をどこまで高めていくかですね。

──神僕はビジュアルコンセプトもすごくしっかりしているので、エンタテインメント性を強めた見せ方もできるし、逆に言葉や表現をストイックに追求するやり方もできると思うんですが。

東野:純粋なライブ力というところでは、僕たちはライブで叩き上げてきた他のバンドとは違うし、そこに参入していこうという気は最初からないので。僕たちは僕たちにしかできないことを武器にしていこうと思っている。例えば、覆面であることの意味をちゃんとライブにも持たせられるような演出にしたり。でも今回はフェスなので、すべて自分たちの思いどおりにはいかないかもしれないけど、それが最大限良い方向に向かえるよう頑張りたいと思います。

(取材・文=西廣智一)

■リリース情報
1st Mini Album 『神様、僕は気づいてしまった』
2017年07月26日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD) 2,500円(tax out)
通常盤(CD)2,000円(tax out)

<CD収録内容>
1.わたしの命を抉ってみせて
2.宣戦布告
3.CQCQ(TBS系 火曜ドラマ「あなたのことはそれほど」主題歌)
4.僕の手に触れるな(TVアニメ「ちるらん にぶんの壱」主題歌).
5.天罰有れかしと願う
6.大人になってゆくんだね
7.だから僕は不幸に縋っていました(SQUARE ENIX「スターオーシャン:アナムネシス」主題歌).

<DVD収録内容>
1.だから僕は不幸に縋っていました MV
2.Making of だから僕は不幸に縋っていました
3.僕の手に触れるな MV
4.Making of 僕の手に触れるな

<チェーン店別特典>
Loppi・HMV:未公開音源CD「CQCQ」(Acoustic Ver.)+ステッカー
Amazon:神僕アクリルストラップ(4種ランダム配布)
TOWER RECORDS:神僕オリジナルクリアファイル 
TSUTAYA:神僕ピンバッジ(4種ランダム配布)
サポート店:神僕うちわ(4種ランダム配布)
※特典は数量限定、一部店舗を除きます。

※SINGLE『CQCQ』+Mini Album『神様、僕は気づいてしまった』
連動購入特典 神僕オリジナルB3ポスタープレゼント

■ライブ情報
『SUMMER SONIC 2017(サマーソニック2017)』
2017年8月19日(土)/20日(日)ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
開場AM9:00/開演AM 11:00
※神様、僕は気づいてしまったは8月19日RAINBOW STAGEに出演。

■関連サイト
SUMMER SONIC 2017 公式サイト
オフィシャルサイト
オフィシャルtwitter(@_kamiboku)
オフィシャルYouTubeチャンネル

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