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THE ORAL CIGARETTES、初武道館公演で巻き起こした“エネルギーの渦”

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 THE ORAL CIGARETTESが6月16日、日本武道館で3rdアルバム『UNOFFICIAL』を携えた全国ワンマンツアー『UNOFFICIAL DINING TOUR 2017』の最終公演を行なった。この日が彼らにとって、初の武道館。チケットは即日完売したといい、鈴なりの観客で3階の立ち見席までいっぱいになっている。開始前から観客の熱気が高く、この日を待ちわびていたことはそれぞれの表情や会場内のざわめきからも感じられた。凝ったオープニングの映像から繋がるように、ステージ上に山中拓也(Vo/Gt)、鈴木重伸(Gt)、あきらかにあきら(Ba/Cho)、中西雅哉(Dr)のシルエットが浮かび上がると、すさまじい歓声が巻き起こって会場を揺るがした。1曲目の「5150」から大合唱となって、バンドと観客とが高い温度でぶつかっていく。そして特効の炎が、その化学反応を促進させて一気に爆発させた。「THE ORAL CIGARETTES、6月16日、日本武道館はじめます」。山中の宣言から、怒涛のライブが幕を開けた。

撮影=鈴木公平

 2014年7月、シングル『起死回生STORY』でメジャー進出をしたTHE ORAL CIGARETTES。ロックシーンへ打って出る意志を、バンドにとっての座右の銘と言える“BKW”(番狂わせ)のロゴに封じ込めデビューから猛進してきた彼らは、高い上昇志向を持ちながらも、つねに目の前の観客を見つめてきたバンドだ。そして、時に悔しさや不甲斐ない姿を晒してしまっても、それを自力でドラマに変えてきた。2015年に行なわれたツアー『唇ワンマンJAPAN TOUR 2015〜おまたせBKW‼ 9カ所行脚でエリア拡大、改めまして「ジ」オーラルシガレッツです!の巻〜』の東京公演、7月14日のZepp DiverCityでのライブで、山中が声帯ポリープの影響で声が出ず歌えなくなってしまった。客席にも不安が広がったが、舞台裏で治療する間に普段はあまりMCをしないメンバー3人がステージを盛り立てた。3人の人柄が見えたいい場面でもあったけれど、ライブとしてはいくつかの曲を削ったステージとなった。悔しさに舞台に突っ伏し、メンバーに抱えられてこの日を終えた山中の後ろ姿に、ファンは精一杯拍手を送るほかなかった。その後、声帯ポリープの手術をし、数カ月ライブ活動が休止された。デビューから1年。バンドとしての勢いもあり、各地、会場が大きくなってきたところでのブレーキは、4人のうちでも大きく響いたと思う。

撮影=Viola Kam(V’z Twinkle Photography)

 この日のリベンジライブが、2016年1月4日、2ndアルバム『FIXION』のリリース前日に同会場で行なわれた。前ツアーでの内容に加えアルバム『FIXION』収録曲のお披露目という2部構成のライブが、アクセル全開だったのはいうまでもない。とはいえ、感動に浸るような復活劇ではない。攻めのモードに振り切った鬼気迫るアンサンブルで、観客を丸ごと抱えて次のステージへと歩を進めるライブをした。それが4人の正攻法だった。楽曲に磨きをかけTHE ORAL CIGARETTESの王道を作り上げたアルバム『FIXION』では、狂気にふれていくようなロックミュージックの危うさと色っぽさが表現され、初のオリコン10位内を記録。この武道館公演でも、「カンタンナコト」、「A-E-U-I」「気づけよBaby」といった曲が、セットリストでのいい起爆剤となっていて、会場を熱気で包んだ。

 そしてTHE ORAL CIGARETTESの存在感を確かにしたアルバム『FIXION』の余韻のなか、バンドはさらに新たに仕掛けていく。ヒップホップやダンスミュージックのヴァイブを、オーラルの文法でスリリングで重厚で、かつ少々奇天烈なロックに落とし込んだシングル「DIP-BAP」や、大きな力を持った自分の闇と対峙するシングル「5150」で新たなリスナーをつかみ、夏のロックフェスでは大きなステージを任される、タフで頼もしいライブバンドとしてたくさんの人を巻き込んでいった。フェスなどでは「時代を変えたいし、時代が変わってきているのを感じる」とMCのトーンも踏み込んだものになった。

 チケットの入手も難しくなってきており、じつはこの6月の武道館公演よりも前に、会場のスケジュールが空いているし、どうかという話もあったという。嬉しい話だが、そのルートで上がる武道館のステージには意味がないと思ったと、以前インタビューをした時に語っていた。同時期にデビューし、先に武道館を成功させた仲間のバンドもいたが、4人は相変わらず対バンでしのぎを削り、ワンマンでツアーをし、そこで蓄積してきた熱気を『UNOFFICIAL』という3rdアルバムに昇華した。捉えがたい感情のうねりや情感を音に転写し、聴き手の感覚を刺激していく、デビュー当時にあったその猛烈な衝動感や馬力みたいなものも感じる強い作品であり、彼らならではと言えるパワフルなバラードも大きく響かせるアルバムだ。一歩一歩、確実に足跡を残してこの武道館でのライブを迎えた。

撮影=鈴木公平

 ライブ序盤で、いろんな歴史を刻んできたこのステージに立てるのが嬉しいと、山中はMCで語った。「でも、この1回だけじゃない、これから2回、3回、4回とやっていくバンドだと思う。でも、初めては特別やろ」と観客を煽る。アルバム『UNOFFICIAL』の全10曲と、代表・定番曲、20代のロックバンドとしてはなかなか珍しい王道のバラード、そしてオーラルのライブでは欠かせない“キラーチューン祭り”を盛り込んだセットリスト。ライブハウスで抜群に映える、フィジカルな曲「STARGET」や“キラーチューン祭り”のパートで披露された「Mr.ファントム」「起死回生STORY」、最新作からなら「悪戯ショータイム」や「CATCH ME」なども、会場のスケール感にフィットして大きなエネルギーの渦を巻き起こせる曲だと再認識できたのはよかった。

      

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