再メジャーデビュー作『ワンダードライブ』リリースインタビュー
ORESAMA、再メジャーデビューへの決意表明 『アリスと蔵六』と運命的に交わった変革作を語る
与えるだけでも受け取るだけでもなく、一緒に楽しみたい(ぽん)
ーーMVもうとまるさんのイラストや、佐伯雄一郎さんと荒船泰廣さんという監督2名のタッグのもと制作されています。これまでORESAMAを助けてくれたクリエイターが集結した、再メジャーデビューにピッタリのMVですね。
ぽん:豪華すぎますよね……。これが色んな人に届いていると思うと嬉しいです。こんなに沢山の人に支えられていたんだなと改めて感じさせられました。
小島:このタイミングだからこそ、皆さんが力を貸してくれたんでしょうし、盛大に妥協のないクリエイティブを発表できたのも嬉しいですね。
ーー「ねえ、神様?」と「ワンダードライブ」という強力な2曲があったうえで、別のベクトルへ挑戦しているのが「SWEET ROOM」です。打ち込み主体のORESAMA楽曲ではこれまで表現してこなかったような、削ぎ落とされた音色や生っぽさが強調されていました。
ぽん:このシングルに入れる曲を話していたタイミングで、「ORESAMAにはバラードがそこまで無いから、バラード曲を作ろう」という話になって、詞先で書いた曲なんです。ライブでは毎回「また明日から頑張ろう」と感じてもらえるようになったらいいなと思っていますが、まさに「SWEET ROOM」はそんな曲で。「色んなことがあるけど、またここに帰ってきて一緒に遊ぼう」という意味合いの歌詞を小島くんに渡して作ってもらいました。
小島:僕は最初にこの歌詞を見た時、希望のほうが強いように感じて。僕の個人的なイメージとして「バラード=ソウル」だったので、音像が暗くなっても自分の好きなソウルっぽさを足したら良い曲になると思って、シンプルにすることを心がけた楽曲ですね。
ーーぽんさんはここまでシンプルでテンポの遅い楽曲が小島さんから手渡されて、どう思いましたか?
ぽん:初めて生ピアノを入れていることもあり、歌詞の意味をストレートに伝える歌い方を心がけています。この曲のレコーディングは初めてフルで録音したものを使っていて、感情の起伏や生々しさが強い歌になっていると思います。
小島:この曲は10年も20年も歌い続けていく曲になるような気がしていて、だからこそどれだけ時間が経っても色褪せないように、時代性の残るシンセの音色を極力控えました。あと、テーマとして「パソコン1台で曲を作れるようになった時代に、人間性をどこまで出すことができるんだろう?」というものもあって。クオンタイズをほとんど使わずに、ソフトフェアでは出せない人間のブレを存分に入れるなど、自分なりに解釈をしながら作っていきましたし、最終的に初めて音源の差し替えをして、ピアニストの方に入っていただいたことで、曲が自分の思っていた“人間味”を帯びてきました。
ーー「バラード=ソウル」という小島さんのイメージがあったということですが、どのあたりのソウル・ミュージックをイメージしたのでしょうか。
小島:そこまで古いものではなく、新しいものにしようと思ってアリシア・キーズ「If I Ain't Got You」など2000年代前半の楽曲を参考にしました。
ぽん:この一枚で振り幅も広がったので、名刺代わりの作品になったと思います。
ーー取材前にはアニメ『魔法陣グルグル』(テレビ東京ほか)のオープニングテーマ決定のニュースも出ました。ますます勢いづいていますね。
ぽん:本当に夢のようです……!家にビデオテープがあって繰り返し見ていたので、そのビデオを与えていた母と二人で喜んでいます(笑)。
ーー再メジャーデビュー以降の活動は、アニメからの広がりを含めてこれまでとは違うフィールドのファンも獲得できそうですね。2人としては新たな力も借りつつ、ORESAMAの可能性をどのように広げていきたいですか?
ぽん:今までとは違うフィールドの人たちとも出会うことができるようになるので、その人たちも含めて一緒に楽しめるライブができるようになればいいなと思います。与えるだけでも受け取るだけでもなく、一緒に楽しみたいので。
小島:新しいものやことが大好きなので、できるだけ取り入れつつも、流されないようにはしようと思っていて。色んなジャンルやテンポの音楽を作っていくなかでも、自分らしさだけは忘れないようにして、どんな曲を書いても「ORESAMAっぽい」と言ってもらえる状態が理想なので、もっと自分自身がORESAMAのことを知っていかなければなと思います。
(取材・文=中村拓海/撮影=竹内洋平)
■リリース情報
『ワンダードライブ』
発売:5月24日(水)
価格:¥1,200(税抜)
<収録内容>
01. ワンダードライブ
02. 「ねぇ、神様?」
03. SWEET ROOM
04. ワンダードライブ-Instrumental-
05. 「ねぇ、神様?」-Instrumental-
06. SWEET ROOM-Instrumental-