スガ シカオ、20年のキャリアの“結晶体” ジャンルレスなアーティスト集結『スガフェス』レポート

スガ シカオ、20年のキャリアの“結晶体”

 スガ シカオは5月6日、さいたまスーパーアリーナにて開催した『スガフェス!~20年に一度のミラクルフェス~』のラストで一人ステージに残り、感慨深げに話し始めた。

 2011年に事務所もレーベルも辞め、マネージャーもいない1人の状態で、インディーズから音楽を始めたこと。誰も味方がいなくなった時に、「苦しい時はたくさんの人に甘えろ、いつか恩返しできる時に、精一杯恩返ししろ」とフェスのオーガナイザー鹿野 淳氏からアドバイスを受けたこと。徐々に増えていったスタッフ、周りのアーティスト、ファンに支えられ、このさいたまスーパーアリーナまでたどり着いたことーー。これがゴールではなく、「恩返しの第一歩」であると彼は感謝を込め話していたが、『スガフェス』はスガがこれまでのキャリアで積み重ねて完成した結晶体だ。ジャンルレスのアーティストたちに、一風変わった企画、アーティスト主催のフェスだからこその温かさ。『スガフェス』には、スガの人柄が滲み出た雰囲気があった。

 『スガフェス』は、バンド形式のアーティストが出演する第一部と、kōkuaがハウスバンドを務めノンストップでアーティストを迎えていく第二部で構成された。トップバッターを飾ったのは、1966年生まれのアーティストによるROOTS 66の仲間でもある、増子直純率いる怒髪天。スガと共に、会場に鳴り響くカラオケに乗せ、「夜空ノムコウ」を熱唱した。スガ シカオ with 菅波栄純として夏フェスに出演し、関わりの深いレーベルメイトのTHE BACK HORN。バラード「With You」では、スガを交え優しく壮大な空間を作り上げた。「あと20年やってもこの域に到達できるか……」と、スガが卓越した演奏技術を賞賛したのはUNISON SQUARE GARDEN。滅多にステージ上でコラボはしないと前置き演奏した「シュガーソングとビターステップ」では、アグレッシブなスガの姿にアリーナが大きく揺れる。

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怒髪天 with スガ シカオ(写真=西槇太一)
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THE BACK HORN with スガ シカオ(写真=半田安政)
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UNISON SQUARE GARDEN with スガ シカオ(写真=西槇太一)

 続く、ふなっしー、RADIO FISH、稲川淳二というラインナップにも、一組ごとにスガとの物語があるのだ。けれど、ふなっしーだけは会いたかったからという理由で『スガフェス』に呼ばれたらしい。“武勇伝”で一世を風靡して以来、4年ぶりの再会となる中田敦彦、オリエンタルラジオ率いるRADIO FISHは、「PERFECT HUMAN」で一気に会場の心を掴む。スガの「クライマックス」MVにも出演している稲川淳二は、身の毛もよだつ怪談で会場を一気にクールダウンさせた。

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ふなっしー(写真=半田安政)
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RADIO FISH(写真=半田安政)
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稲川淳二(写真=西槇太一)

 第一部のトリを飾るのは、公私共に仲が良く、『ap bank fes』や映画『Split The Difference』での共演もしているMr.Children。革ジャンにサングラス姿で“スガ シカオ”として登場した桜井和寿。「fanfare」「擬態」とアップチューンで会場を巻き込んでいきながら、「Tomorrow never knows」「終わりなき旅」でグッと距離を引きつける。「最もあの人の匂いがプンプン匂ってくるあの曲を」と桜井が前置きし、スガと共に披露したのは、共演のたびに歌われてきたMr.Childrenの「ファスナー」だ。時折、フェイクを入れ、アレンジしながら熱唱するスガの姿は、まるで自身の曲を披露しているかのようであった。「ミスチルの演奏で歌った、俺!」と無邪気な笑みを浮かべるスガが、何とも微笑ましかった。

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Mr.Children with スガ シカオ(写真=西槇太一)

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