森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.39
SECOND、ブンブン、KANA-BOON、ドレスコーズ、CIVILIAN…困難を乗り越えて掴んだ“表現”
短髪、スーツ姿のニュースタイルも斬新だったが、『平凡』と名付けられた5thアルバムを聴き、ドレスコーズの表現が完全に新しい地平に到達したことを確信した。“カルチャー、生活レベルがほどよく統一された未来の社会”を舞台にしたコンセプトアルバムとして制作された本作は、所有から共有へと移り変わり、すべてが急激に均質化されつつある現代を冷徹に照らし出しながら、志麿遼平というアーティストの圧倒的な特異性を浮き彫りにしている。ゴンドウトモヒコ(METAFIVE)が編曲家とキーボードとして参加、POLYSICSのハヤシ(G)、ZAZEN BOYSの吉田一郎(Ba)、skillkillsのビートさとし(Dr)による“ファンク×ノー・ウェーブ”なサウンドメイクも凄まじい。
2016年7月にLyu:Lyuから改名、同年11月にシングル『愛 / 憎』でメジャーデビュー。新たなフェーズに突入したCIVILIANのニューシングル『生者ノ行進』の表題曲はアニメ『ALL OUT!!』(TOKYO MX)OPテーマ。自らの存在意義を根本から問うような楽曲を生み出してきたコヤマヒデカズ(V/G)と青春ラグビーアニメの組み合わせは意外だったが、“生きる理由ばかり探さず、とにかく一歩を踏み出そう”という意志を込めた歌詞、切実な思いをシンガロングにつなげるメロディがぶつかり合うこの曲は、コヤマの作家性を(おそらく初めて)ポップに昇華した楽曲に仕上がっている。“Lyu:Lyuでやるべきことはやり切った”という理由で新しいバンドに生まれ変わった3人は、CIVILIANとしての軸を確立しつつあるようだ。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。