2016年は欅坂46の年だった 彼女たちがアイドル・シーンを席巻した理由

 さて、私がこのチャート連載を担当するのも、2016年は今回が最後になりました。その今回、欅坂46を取りあげていることには、ある種運命的なものも感じます。なぜなら、2016年のアイドル・シーンを振り返ると、「2016年は欅坂46の年だった」と言えるほどだからです。

 私個人はアイドルに関してインディーズ志向ですが、そんな人間のところまで欅坂46の「サイレントマジョリティー」の衝撃波は届いてきました。8月に開催された『TOKYO IDOL FESTIVAL 2016』で初めて欅坂46のライブを見たときの圧倒的な視覚的快楽は忘れられません。それは、AKB48グループ、そして乃木坂46の成功を踏まえたうえで、入念にコンセプトが練られ、欅坂46のメンバーがそれをフィジカルに表現していたからでした。

 歌詞の面では、「サイレントマジョリティー」のリリース時から、「大人たちに支配されるな」といった歌詞がアイロニーの対象になることもありました。欅坂46は大人にプロデュースされているわけですから、確かに皮肉ではあります。しかし、大人たちからすると「人を食っている」と感じるほどのメッセージのストレートさが、欅坂46を若者たちにリーチさせた事実もまた直視すべきでしょう。「二人セゾン」とそのカップリングも、どの歌詞も驚くほどテーマ設定が明確です。

 「サイレントマジョリティー」に象徴されるように、秋元康はときにポリティカルな要素も意識させますが、それはあくまでひとつの「素材」に過ぎません。そこに、衣装が社会問題化したような「危うさ」も内在しているように見受けられます。欅坂46という存在の本質は、いわばノンポリ(政治的無関心層)の極致であることでしょう。しかし、歌詞は一貫してシンプルにしてストレートなメッセージを発しています。このアンビバレンツこそが、2016年において若年層に対してもっとも有効な表現であったことは記憶しておきたいです。

 それでは皆さん、良いお年を。まだ12月前半ですが。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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