石井恵梨子のチャート一刀両断!
RADWIMPS、“頼もしい覚悟”が伝わる新作『人間開花』で2作連続首位獲得
話は変わりますが、今週は大物〜中堅のベスト盤が多いことも特徴のひとつ。年末商戦の始まりって感じがしますね。久保田利伸のコラボベスト『THE BADDEST〜Collaboration〜』が初登場5位、大黒摩季の『Greatest Hits 1991-2016 ~All Singles + ~』が4位など奮闘が目立ちますが、特に強いのは2週連続で2位を記録した中島みゆきの21世紀ベストセレクション『前途』。
安易なベスト盤が増えた時代においても、彼女はほとんどベストを出さなかったので(そのぶんライブ盤は多い。現役&現場主義のシンガーなのですね)、これはなんと20年ぶりのベスト・アルバムとなります。「地上の星」「宙船(そらふね)」「麦の唄」などなど、メロディを脳内再生するだけで腹が熱くなり拳がわなないてしまう名曲たち。それらをまとめたタイトルが『前途』というのも凄いパンチ力です。70年代のフォークシーンから飛び出した中島みゆきが、ニューミュージックやJポップの時代をひた走り、60代になった今も現役で全国民の背中をぐいぐい押し続けていること。本当に国宝級の存在だなと改めて感じ入りました。
■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。