森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.25
RADWIMPS、桑田佳祐、三浦大知…ヒットを後押しする、他ジャンルとの“意味あるコラボ”
「“ドラマとかアニメのタイアップ取れて良かったね”みたいなカルチャー、まだあるんですか?」と、とあるバンドのメンバーに言われたのはもう5年ほど前で、当時は「確かにそうだよな」と同意したのだが、ここ数年はタイアップの有効性を実感させられるケースが頻繁に起こっている。ドラマ、映画、イベント、スポーツ、ゲームをはじめとする他ジャンルと意味のあるコラボレーションができれば、その作品の浸透度がアップする可能性は十分にあるのだ。
というわけで、最初はRADWIMPS。今週のおすすめというより、まちがいなく2016年を代表する1枚であるニューアルバム『人間開花』の資料には「RADWIMPS史上、最も開いたアルバム。」「2枚目のデビューアルバム」という言葉が記されているが、それは言うまでもなく映画『君の名は。』のサウンドトラックを手がけたことの効果である。「前前前世[original ver.]」を収録した本作は、エレクトロ、ヒップホップなどの要素を自由に取り込みながら、映画『君の名は。』にも通じるような“君と僕”の物語がどこまでもピュアに描かれている。過去最高にポップに振り切ったと言っていい本作は、映画によってRADWIMPSと初めて出会った10代のリスナーにも強くアピールするはずだ。
前作『ヨシ子さん』に続く、2016年2作目となる桑田佳祐のニューシングル『君への手紙』は映画『金メダル男』の主題歌。監督の内村光良から主題歌のオファーが手紙で届き、それに返事を書くように制作されたというエピソードからもわかるように、このロッカ・バラードには“大人の男の友情”というテーマが根底に流れている。フォーキーかつビートルズ風のアレンジとともに聴こえてくる<キミに捧げる 歌がある>というフレーズによって、思わず涙腺が緩む年配のリスナーも多いはず。夢を追いかけた若き日を思い、悲喜こもごもの日々を送る市井の人々に寄り添う桑田の歌には、すでにスタンダードナンバーとしての風格が備わっている。
今年『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に初出演し、そのパフォーマンス能力に注目が集まるなど、シンガー/ダンサーとしての評価が(ようやく!)高まっている三浦大知の新曲「(RE)PLAY」は“1on1”(ブレイクダンス世界大会「Red Bull World Final 2016」)のテーマソング。クラシックなスタイルであるブレイクビーツを現代的なダンスチューンに導くサウンドメイク(三浦の盟友とも言えるUTAはこういうアレンジが本当に上手い)、“(RE)PLAY”というキャッチーなフレーズを交えたボーカルがひとつになったこの曲からは、現在の三浦大知の充実ぶりが感じられる。ブレイクダンス、ホッピングなどのスペシャリストが出演したMVもぜひチェックしてほしい。