ニューシングル『Forget Me Not』インタビュー
中島美嘉が語る、デビュー15周年を超えた“現在地”「曲ごとに主人公を変えながら歌ってる」
中島美嘉が『花束』以来、約1年ぶりとなるニューシングル『Forget Me Not』をリリース。映画『ボクの妻と結婚してください。』の主題歌として制作されたこの曲は、作詞・作曲を「ORION」「ALWAYS」などのヒット曲を手がけた百田留衣が担当、アレンジを武部聡志が手がけた極上のバラードナンバーに仕上がっている。さらに、C/WにはSALUをフィーチャーした「ビルカゼスイミングスクール feat. SALU」を収録。気鋭のヒップホップアーティストとのコラボレーションも大きな注目を集めそうだ。
今回リアルサウンドでは中島本人にインタビューを行い、シングル『Forget Me Not』を中心に、デビュー15周年を超えた“現在の中島美嘉”について語ってもらった。(森朋之)
「“終わりじゃない”ということは伝えなくちゃいけないと思った」
ーー『SONGBOOK あまのじゃく』(半生を語りつくした自叙伝+新曲「Alone」など全14曲を収録したCD)とても興味深く読ませてもらいました。これまでの人生が赤裸々に綴られていますが、こういう本を出そうと思ったのはどうしてですか?
中島:どうしてだろう? 何も思わなかったからかな。「イヤだな」とは思わなかったから、全部話してもいいかなって。これまでのことはけっこう覚えてるし、あとは家族と「あのときはどうだったかな?」って答え合わせもしましたね。
ーーいままでの人生を振り返ることにもつながりますね。
中島:そうですね。まあ、自分では普通だと思ってるんですけどね。もっといろんな経験をしている方もいるでしょうから。
ーーさらに今年の夏は、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』や『氣志團万博』に出演。いままではあまりフェスに出演してこなかったので、これも大きな変化ですよね。
中島:正直「私(バラード)で大丈夫かな?」という気持ちでした。だけど「すごくありがたいな」って思うんですよね。ずっと出ていなかったのに、声をかけていただけて。夏フェスのイメージがないですからね、私。夏の歌もあまりないし(笑)。
ーー『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』でいきなり1曲目に「雪の華」を披露したことも話題になりました。
中島:それ、私が急に変えたんです。1曲目は「雪の華」にしようって。それが正解だったというか、すごく良かったと思いますね。
ーー『氣志團万博』も楽しそうでしたね。綾小路翔さんのインスタグラムに特攻服を着た美嘉さんが森山直太朗さんと一緒に写ってる写真がアップされてたり。
中島:楽しみ過ぎました(笑)。あのピンクの特攻服はファンの子が作ってくれたんですよ。ライブもすごく楽しかったです。白い学ランを着た氣志團のファンの男の子たちがすごく喜んでくれて。何か通じるものがあるんじゃないですか?(笑)
ーーそして11月2日にニューシングル『Forget Me Not』がリリースされます。『花束』以来、約1年ぶりのシングルになりますが、今年は人前に出る機会が多かったせいか、そんなに期間が空いている感じはないですね。
中島:そう、私も1年ぶりという気はしてなくて。今年はMIKA RANMARU(中島美嘉、土屋公平によるロックユニット)のライブ、アコースティック・ツアーもありましたからね。15周年ということで、スタッフからも「今年はやろう」って言われていたので(笑)。
ーー『Forget Me Not』は優しさ、温かさ、切なさが同時に伝わってくるバラードナンバーです。中島さんはどんな印象を持っていますか?
中島:すごくいい曲だし、「またこういう曲が来たな」と思いましたね。もちろんバラードは好きなんだけど、ときどき自分でも「あれ? どの曲だったかな」ってわからなくなったりするんですよ(笑)。ライブでイントロが始まって、「あれ?」と思って、チラッとセットリストを確認したり。特に百田さん(「Forget Me Not」の作詞作曲を手がけた百田留衣)にはこれまでに何曲も作っていただいているし、特徴がありますからね。声で始まるところだったり、メロディが駆け上がっていく感じだったり。だからレコーディングのときは「どうやっていままでのバラードと違いを出そうか」って考えましたね。
ーー具体的には?
中島:制作スタッフからは「あまり悲しくしないでほしい」という要望があって。もともとバラードは切なく歌う方向に持っていきがちなんだけど、今回はディレクター、プロデューサーと相談しながら、切なさを出し過ぎないように意識してましたね。
ーーひとつひとつの言葉を丁寧に伝えるようなボーカルですよね。最近は「メッセージを伝えるのが自分の役割」とおっしゃってますが、「Forget Me Not」の歌い方はまさにそうだなと。
中島:ちょうどアコースティック・ツアーが終わった後にレコーディングしたからかもしれないですね。普段とは違うツアーだったし、「やっぱりこういうアレンジで歌うのは好きだな」と思えたし。
ーー<君と交わした約束 叶え続けたい/終わりじゃない>という歌詞も印象的でした。
中島:この歌詞は映画(『ボクの妻と結婚してください。』)のために書かれていると思っていて。歌っていても“曲=映画”というイメージが強かったんですよね。ただ切なくて悲しいだけではなくて、“終わりじゃない”ということは伝えなくちゃいけないなと思ってましたけど。