MY FIRST STORY、初武道館公演で掲げた新たな夢 Hiro「彼らを超えて彼らよりもデカくなる」

 「俺の人生を全てかけるから、超えなきゃいけないやつが1人だけいる。最後の決着をつける相手、もう誰か分かってるよな。人生で最初で最期の敵、5年前必ず超えると誓った、実の兄ーーONE OK ROCKだ」

Photo by HayachiN

 11月18日に東京・日本武道館で開催されたMY FIRST STORYのライブツアー『We're Just Waiting 4 You Tour 2016』ファイナル公演のラストで、Hiro(Vo)はこう言った。2011年の結成から5年、彼らは武道館という念願のステージに立ち、バンドのすべてを音楽と言葉で語った。

 ライブのスタートはSEの「Weapons」から「Nothing In The Story」「ALONE」と最新アルバム『ANTITHESE』をそのままに披露。武道館の中心に建てられたステージには中央でドラムを叩きながら登場したKid'z(Dr)、円形ステージの縁にHiro、Teru(Gt)、Nob(Ba)が立っていた。ステージが回転しながら行われるライブは、武道館にいるオーディエンス全員と3人が正面から対面する。炎が燃え上がるステージで繰り広げられるライブは、始まって間もなくオーディエンスを熱狂の渦に巻き込んだ。

Photo by Kohei Suzuki

 観客のシンガロングを交えた1stシングル曲「最終回STORY」を披露すると、この曲で夢への一歩を踏み出したMY FIRST STORYの結成の原点となった、あるバンドの武道館ライブをHiroが振り返った。

 「6年前の11月28日。武道館で彼らのライブを見た時、本当に衝撃でした。こんな素晴らしい場所で何千人の人を前にして、その全員を熱狂させて。歌ってる姿を見て、僕もいつか人の心を動かせるような人間になりたいとそう思って、このバンドを組みました。そしていつか、彼らと一緒にライブをやるのが僕の夢でした」

 しかし、いくつものステージで堂々と音楽を鳴らし続けた5年間には、色んな苦悩があったと続ける。

Photo by Viola Kam[V’z Twinkle]

 「でも、思い描いてた理想と現実は全く違うものでした。この5年間、彼らには何度も何度も道を潰されて、フェスにも出させてもらえず、他のバンドとの交流もできず、僕らはただ、自分たちでCDを作ってツアーに回るのが精一杯でした。もっと自分たちのやりたいようにやりたかっただけなのに。ただ音楽が好きなだけだったのに。それでも“兄を尊敬して追いかけてる”、“親に頼って生きてる”、そんなレッテルを貼られて、何一つ言い返すこともできず、ただ笑ってやり過ごす毎日の連続でした。正直、今は、名前を聞くだけでも道を塞がれ続けた5年間の思い出が走馬灯のように蘇ってきます」

 そこから、MY FIRST STORYが新たに掲げた夢ーーそれが「彼らを超えて彼らよりもデカくなる」(Hiro)ということ。

 『ANTITHESE』というアルバムは、Hiroが“彼ら”に対し、「全てを凌駕する」という誓いを立て、6年前の当時、武道館公演を成し遂げる前に“彼ら”がリリースしたアルバムと同じ曲調、曲順で制作したものだったことも明かされた。さまざまな葛藤を抱えながらも諦めずに活動を続けてこれたのは、Hiroの背中を押してくれたメンバー、スタッフ、ファンの存在があったからだと、改めて感謝の思いを述べた。

 その後も、マイクを握り締め、鋭い目線で真剣に歌い上げるHiro。彼らの強い思いはそれぞれの楽器で音に反映され、武道館に響いていく。『ANTITHESE』収録曲を中心に披露したあと、各メンバーひとりひとりもこれまでの活動を振り返り、武道館ライブの夢を達成した喜びを語った。

Photo by Viola Kam[V’z Twinkle] Photo by Viola Kam[V’z Twinkle]

 曲間には、Hiroのこれまでの人生を見立てたようなショートムービーが映し出された。映像から流れる「ずっと、ひとりぼっちだった」というメッセージを受け止めるように「君の唄」「「花」ー0714ー」「Love Letter」と愛情をテーマに歌うバラードナンバーを披露。入場時に配られた時計型LEDライトも点灯し、武道館に集まった人々のぬくもりを感じさせる温かい空気に包まれた。

 3曲を終え、Kid'zがどっしりとした重みと厚みのあるビートを叩き始める。拍手を煽った後に鼓動のように響くバスドラのソロ演奏を披露したあと、Nobの強靭なスラップ、Teruの歪んだギターで会場をわかし、3人の音が重なり合う怒涛のセッションに、オーディエンスは最高潮の盛り上がりを迎えた。

Photo by Viola Kam[V’z Twinkle] Photo by Viola Kam[V’z Twinkle]

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