花澤香菜が新作『ざらざら』で見せた表現の深化「身体と心にリズムがある」

花澤香菜が語る表現の深化

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「もっともっといろんな人と組んでみたい」

ーーカップリング曲の「クラッシュシンバル」と「IN LOVE AND IN TROUBLE」は岩里祐穂さんが作詞を手掛けています。

花澤:はい。

ーー実はReal Soundでは『Ms.リリシスト〜岩里祐穂作詞生活35周年Anniversary Album〜』のタイミングで岩里さんのインタビューを行っていて。岩里さんは花澤さんとのお仕事について「かつて今井美樹さんと一緒にお仕事したときと同じで、その人のリアルな女性像を描き出す、内面を掘り下げる仕事として、今の自分にとってすごく大きな位置を占めている」と仰っていて。(参考:岩里祐穂が語る、作詞家としての歩みと矜持「時代を超える言葉を編み出したい」

花澤:嬉しい。

ーー花澤さんも岩里さんとの共同作業にそういう実感はありますか?

花澤:はい、あります。しかも、掘り下げるだけじゃなくて、「こういう道もあるよ」って光を照らしてくれるような、そんなふうに書いてくださるので、歌っていて励まされることが多いんです。この2曲もそうですけど、私はわりとストレートに自分のざらざらした気持ちとか、ただただじっとしている様子を直接的に書いてしまっているんですけど、岩里さんは「香菜ちゃん、こういうふうに書くんだぜ」って教えてくれてるようで。

ーー特に「クラッシュシンバル」は表題曲「ざらざら」へのアンサーソング的な感じもありますね。

花澤:そんな感じ、ありますよね。最初に「ざらざら」ができていて、そのことで岩里さんに相談したりしてたので、それもあるんじゃないかなと思います。

ーー「クラッシュシンバル」は末光篤さんの作曲ですが、これはどんな風に歌いましたか?

花澤:末光さんと一緒にお仕事するの初めてなんですけど、もうとにかくピアノが鳴り止まなくって、すごいパワーのメロディーで。これ私も軽やかに歌いたいんですけど、これは腹筋の修行だなって思います(笑)。音程の上がり下がりもすごく激しいし、とっても技術のいる歌だなって。

ーー曲全体がダイナミックですよね。

花澤:すごいんですよ。最終的には楽しく歌えたんですけど、最初は「これをどう笑顔で歌えと言うのだ」くらい難しかったです(笑)。でも岩里さんの空元気というか、「まあいろいろあるけど、大丈夫だよ」って言ってくれてるようなこの歌詞に励まされながら、レコーディングしてました。でも終わってみたら、元気ないときに聴いたら励まされる、すごい軽やかなものになっていると思います。でも、これライヴで歌うときどうしようって思いますね。

ーー「IN LOVE AND IN TROUBLE」はナカムラヒロシ(i-dep)さんの曲ですけど、これはどうでしたか?

花澤:ナカムラさんとも初めてご一緒させてもらったんですけど、感触としては北川(勝利)さんと同じような感じというか、すごくおしゃれな感じで。ナカムラさんがレコーディングに来てくださったんですけど、おおらかで気さくな方で、直接指示もしていただきながら、和気あいあいと進めていきました。

ーーレコーディングはどんな感じでしたか?

花澤:レコーディング自体は楽しく進んでいったんですけど、これも歌うテンション感がちょっと難しくて。12月の白い息を吐いてる姿を想像しながら、ちょっと吐息交じりな感じがいいかなとか、でもパートごとにとかに歌い方変えてみるとか、いろいろやりながら歌いました。

ーーちゃんと冬の曲になるようなイメージを持って歌っていった。

花澤:そうですね。それに、〈泣いてる顔も 笑った顔も どれもが私〉っていうフレーズもあって、こっちもこっちで「ざらざら」へのアンサーソングな感じもしています。

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ーーミュージックビデオのお話もお伺いできればと思うんですけど、「ざらざら」のMV、絵を持って旅するという映像は撮影していてどんな感じでしたか?

花澤:『あたらしいうた』のときは酒井(麻衣)さんという女性の映画監督、ちょっとファンタジックなものを撮る監督の方といっしょにやらせてもらいました。そのときは女性スタッフも多かったから私の顔がほころんでるなって。

ーーははは(笑)。

花澤:やっぱり女の子たちに囲まれてると、にやにやしちゃうようなところがあるので、「今回も女性監督にお願いしたらいいんじゃない?」っていう感じになって、松本花奈さんという映画監督の方にお願いして、やらせてもらいました。

ーー撮影はどんな感じで進んでいったんですか?

花澤:松本監督が現役大学生の監督で、もう何本か撮られてて。こう撮りたいっていうのもハッキリされてて、素敵な監督だなって思いました。松本監督自身がすごくかわいい方なんですよ。いつも目がキラキラしていて、その目で映る素直できれいなものがしっかりフィルムに出ているんだろうなと思うので、そういう方とお仕事できてよかったですね。

ーー映像作家さんとか小説家さんでも、同世代の女性で花澤さんと同じような感覚を共有している人とのお仕事が増えていくと、また今までとは違う可能性が広がっていきそうな気がします。

花澤:私もそう思います。同世代の方たちのがんばってる姿とか、いいものを見ると刺激にもなりますし、もっともっといろんな人と組んでみたいなって思います。

ーーこの『ざらざら』で4thシーズンとしては3枚のシングルがリリースされました。おそらくリスナーの人たちはそろそろアルバムを期待しているんじゃないかと思いますが。

花澤:そうですね。もう思われちゃってますよね(笑)。

ーー花澤さんはどんな風に今の音楽活動を捉えていますか?

花澤:本当に充実した活動をさせてもらっていると思います。特に4thシーズンの最初の方だと空気公団の山崎(ゆかり)さんからすごい刺激受けて。特に山崎さんの歌詞が大好きなんです。ああいう誰にでもわかる言葉を使いながら、なんて奥の深いこと言うんだろうって思います。それに背中を押されながら「あたらしいうた」を書いたり、秦さんに楽曲提供いただいたりして。いろんな素敵な人たちに出会えていて、ますますがんばらねばなと思ってますね。あと、あんまり4thシーズンはまだライヴをやれてないので、これからライヴはがっつりやりたいなと思ってます。

(取材・文=柴 那典/撮影=三橋優美子)

■リリース情報
『ざらざら』
発売:2016年11月30日
【初回生産限定盤】 ¥1,728(税込)
『ざらざら』ミュージックビデオDVD付
撮りおろし16Pブックレット封入
〈DISC 01〉
1. ざらざら
2. クラッシュシンバル
3. IN LOVE AND IN TROUBLE
4. ざらざら(Instrumental)
〈DISC 02〉
1. ざらざら (Music Clip)
【通常盤】 ¥1,296(税込)
〈DISC 01〉
1. ざらざら
2. クラッシュシンバル
3. IN LOVE AND IN TROUBLE
4. ざらざら(Instrumental)

■ライブ情報
『『ざらざら』リリースイベント』
〈お台場ヴィーナスフォート2F 教会広場〉
日時:2016年12月3日(土)14:00~
場所:東京・お台場ヴィーナスフォート2F 教会広場
出演:花澤香菜
内容:トーク&ミニライヴ
観覧フリー ※ステージ前方エリアでのご観覧は「「優先観覧エリア入場整理券」が必要。

〈タワーレコード渋谷店〉
日時:2016年12月3日(土)集合17:30 / 開始 18:00
場所:タワーレコード渋谷店 B1F「CUTUP STUDIO」
出演:花澤香菜
内容:トーク&ミニライヴ
参加券配布店舗:タワーレコード渋谷店・新宿店・秋葉原店・池袋店

〈アニメイト大阪日本橋〉
日時:2016年12月10日(土) 開場 14:30 開演 15:00
場所:アニメイト大阪日本橋5Fイベントホール
内容:ミニライヴ&ポスターお渡し会
イベント応募券配布店舗:全国のアニメイト (オンライン含む)
対象商品:2016年11月30日発売 花澤香菜『ざらざら』(初回生産限定盤/通常盤)

〈リリース記念スペシャルイベント〉
花澤香菜トーク&ミニライヴ
日時:2016年12月11日(日)
一部 開場 14:30 / 開演 15:00
二部 開場 17:00 / 開演 17:30
場所:都内某所(当選メールにて案内あり)

※各イベントへの参加方法の詳細は下記HPにて

■オフィシャルHP
http://www.hanazawakana-music.net/

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