WIZYが打ち出す“共創型クラウドクリエイティング”とは? 新プラットフォームの責任者に訊く

WIZYの打ち出す“クラウドクリエイティング”とは

 株式会社レコチョクが8月22日より、音楽分野に特化した共創・体験型プラットフォーム「WIZY(ウィジー)」のサービス提供を開始。amazarashiやAI、ハジ→など、著名アーティストのプロジェクトを次々とスタートさせている。

 同サービスは、 アーティストが実現したいと考える企画をそのアイデアに共感・サポートしたファンと共に形にするために両者を繋ぎ、実現をサポートするプラットフォーム。「WIZY」というサービス名はアーティストとファンが“一緒”にという意味の「with」、“あなた”も参加できるという「you」を表す「with you」からなる造語とのこと。

 ここ数年、日本でもクラウドファンディングサービスが複数スタートしているが、少し遅れての登場となったWIZYの狙いとは一体なんなのだろうか。同プロジェクトの責任者であり、株式会社レコチョクの配信事業部・新規事業グループでグループ長を務める斎藤勇樹氏を訪ねてみた。

 レコチョクの“本流”といえる配信事業のストア責任者だったという斎藤氏。以前のような勢いがなくなってきたダウンロード配信の状況と、一方で盛り上がっているライブやフェスなどの興行を目の当たりにし「そこでしか得られない、何事にも代えがたい価値や楽しみを提供することが音楽市場の活性化につながるかもしれない」と考えたという。その過程で、海外ではKickstarterなどのクラウドファンディングサービスが盛り上がりを見せており、日本でも音楽業界でクラウドファンディングを使用するアーティストが登場していることを受け「もっと日本向けにアレンジしたものを」とWIZYを立ち上げた。

 斎藤氏は「WIZYは元々クラウドファンディングを目指したわけではありません。ファンとアーティストが一緒に議論し、何かをつくりあげていけるような、クラウドクリエイティングという言葉をつかっています」と、WIZYの打ち出す“共創型クラウドクリエイティング”について説明。サービス開始前に、クラウドファンディングについてヒアリングしたところ、「アーティストによっては『資金集めに見えてしまうことが嫌だ』という意見もあった」そうで、WIZYは「資金集め」ではなく、「ファンと一緒に何かを作りたいアーティストが、それを実現するためのプラットフォームとして運用する」ことを目指しているという。

 その例としては、現在amazarashiが公開中のプロジェクト『アナザーストーリー ピクチャーブック「nothingness」』や、ハジ→の『「おやじ。」ミュージックビデオ制作プロジェクト』が挙げられる。前者はamazarashiの最新ミニアルバム『虚無病』初回生産限定盤に同梱されたオリジナル小説「虚無病」のアナザーストーリーの絵本を作るというもので、後者はハジ→が父に向けて作った楽曲「おやじ。」のMV制作現場に、ユーザーとその父が参加し、ハジ→と共演するという企画。斎藤氏はこれらの企画について「作る過程もそうですし、完成した作品をお届けする過程も楽しみなもの。CDを買って家に帰るまで楽しみで仕方なくて、帰って正座して聴くような興奮を、サービスの力を使って再現させたり増幅させるような取り組みなんです」と解説した。なお、ハジ→は今回のプロジェクト開設にあたって、ブログ(http://ameblo.jp/hazzie/theme-10015334116.html)や動画で丁寧にファンへの説明を行なうなど、“共創型”を体現するような行動に出ている。

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