挫・人間『非現実派宣言』インタビュー
挫・人間 下川リオ × 姫乃たま『非現実派宣言』特別対談 「現実を非現実で塗りつぶしていく感じ」
挫・人間が、9月21日にミニアルバム『非現実派宣言』をリリースする。今回リアルサウンドでは、ライブでの共演経験があり、プライベートでも交流があるという地下アイドル/ライターの姫乃たまをインタビュアーに迎え、ボーカル・下川リオへ取材を敢行。幅広くユニークなサウンドアプローチで、下川リオの現在の心境を露わにしていく全5曲の聴きどころから、それぞれの活動スタンスまで、同世代ならではのゆるさのなかに鋭いホンネも交じったトークが展開された。(編集部)
下川「打ち込みはインドアで弱そうな感じがするから、性に合ってる」
姫乃たま(以下、姫乃):ご無沙汰してますー。今日は、いろいろと聞きに来ました……!
下川リオ(以下、下川):あっ、お久しぶりです! 僕、姫乃さんに会う前からFacebookの“友達かも”によく出てきてて、当時のアイコンがえらく扇情的でお世話になっていたので、姫乃さんは何を言ってもセーフな人だと思っています。
姫乃:あっ、あの棒状の飴を舐めている写真。では、安心していろいろ話していただけると!
下川:初めて会った時にエロ本をもらって……。
姫乃:当時私が連載していたエロ本! あの頃はイケイケでした(遠い目)。
下川:でもなんか僕はエロ本をもらったことによって、姫乃さんに連絡をしたりしていいのだろうか、連絡するとしてなんと連絡するのだろうか、「こんにちは! 挫・人間の下川でっす!」とか……いや、そんなことはしてはいけないと思って結局アクションを起こしませんでした。
姫乃:はっ、そういえば私、下川君の連絡先って知らないですね。えーっと、まあ、そんな話はさておき……。『非現実派宣言』リリースおめでとうございます! サウンドが前作の『テレポート・ミュージック』から、さらに打ち込みに寄っていて驚きました。
下川:脱退に次ぐ脱退でついにドラムがいなくなってしまって、最終的に頼れるのは機械だって気が付きました。
姫乃:わあ、想像していたより現実的な理由! てっきりアニメソング好きや、アイドル好きな層に向けて制作したのかと思っていました。
下川:あっ、そういうのはないんです。素直に好きな音楽だけつくりました。打ち込み好きなんです。ピコピコピコピコ……とか、チッチキチッチキ……とか、んふふふ、好きで、聴いてると安心するから、この際、打ち込みをやるチャンスだと思って。ロックバンドの「ガシャーン!」も、格好良いんですけど怖いというか。打ち込みはインドアで弱そうな感じがするから、性に合ってるかもしれません。
姫乃:1曲目の「テクノ番長」も、まさにチッチキチッチキから始まって、「あれっ、このイントロは、まさか……?」と思っていると、超有名なあの曲が、原型が割とごっそりと残っている状態で流れてきて……。
下川:あの曲ってこのくらいまでだったら真似して使って良いのかな?みたいな風潮あるじゃないですか。それでセーフだと思って、最初はもっと使っていたんですけど、アウトでした!
姫乃:わははは。下川君の歌詞も脳にカーン!と響きます。登場する固有名詞にも人柄がでてますよね。
下川:自分に近い言葉を歌うほうが、抜けがいいですよね。普段使わない言葉より、「マジやばい」とかのほうが、わかりやすかったり、印象に残ったり。
姫乃:ほああ、なるほど! 歌詞がキャッチーで強烈なのに、演奏も格好良いので、絶妙なバランスを保っていて、いつもどうやって計算しているのか気になっていたのですが。
下川:えっ、何も考えてない……。歌詞と曲は同時にできることが多くて、こうベースになる曲を打ち込んで、トコトコトコトコトコ……(両手の人差し指でテーブルを叩く音)、それにコードをつけて、その場の勢いで歌います。
姫乃:作曲時の可動範囲が狭い!
下川:めっちゃ狭いです! トコトコトコトコ……。