音楽、映像、ノベル、コミック……nowiseeが発信するJ-POPの進化形「背骨になるのは音楽」

nowiseeが発信するJ-POPの進化形

「主人公のアイはちょっと自分に似ている」(Strange Octave)

——2016年8月10日に、1stアルバム『掌の戦争』をリリースされてみて、いかがでしたか? 

Root:2つあります。自信作でありよく頑張ったねっていうのと、あまりそう思いたくないのと。次のアルバムで本作を超えなきゃいけないことを考えるのがすでにプレッシャーですね。普通のアーティストでいうシングル3曲アルバム1枚で考えたら、1年で、4年間分やった気分なんです。徹底的にシングルを狙っていったから。その集大成がこれです。そして来年また超えるんですよ(苦笑)。

Octave:いろんなものが凝縮されています。制作に当たっては、もちろんお互いにストレスたまることも多々あったし、腑に落ちないこともあったんですけど、アルバムとしてまとまることでチャラになったというか。やっぱりアルバムをリリース出来るって嬉しいことなんですよ。

Root:みんな真剣だから喧嘩するんですよ(苦笑)。

——こだわりまくってますよね。畳み掛けるような情報量を持ちながらも、キャッチーなポップさを合わせ持つ先進性あるJ-POPサウンド。1stアルバム『掌の戦争』を誰かにオススメしたいとき、Rootさん的にはどの曲をじっくり聴いて欲しいですか?

Root:やっぱりミュージックビデオを観ながら頭から全部聴いてほしいですね。やはりnowiseeの強みといえば映像のパワーも大きいので、当然音楽だけで勝負できる楽曲を作っていますが、映像と音楽を一緒に見たときの感動を味わって欲しいですね。

——「バイブレーション」など、音楽の情報量に負けないような映像の情報量というか、演出がすごい入っていますよね?

Root:バンドメンバーに映像を作るメンバーがいるからこそなんです。映像を作るメンバーがバンドにいないと絶対そうはならない。たとえばドラム・トラックが出来たら映像チームに渡して、音に合わせて動画にエフェクトをかけたりするんです。視覚的な気持ちよさと音の気持ちよさを同時に作っているんですね。

Octave:動画でまつげが一瞬映るところがあるんですけど、その一瞬の中でもふわっと揺れるみたいな、こだわりがすごいんですよ。その何気ないカットが気持ちを掴むんだと思います。

Root:音楽だけで考えた最強の推し曲は「confusion」と「VIEWER」ですね。あと、J-POPとしてポピュラリティがあって絶対に聴いて欲しいのは「ナノ」と「会いたい」。

nowisee『バイブレーション』#01/24

——「会いたい」はある種代表曲でもありますね。「confusion」でのロック感もかなりもってかれました。個人的には「完全性世界に宿る死角」が好きで、このドラマティックさも気持ちよいですよね。

Root:噛めば噛むほど味が伝わるタイプの曲ですね。

Octave:暗い部分をとことん出してしまったので好き嫌いはわかれる曲だと思ってました。その曲名が出てくるとは思ってませんでした。嬉しいです。

Root:ミュージックビデオの最後の衝撃もすごいよね。はじめてみたとき泣きそうだった。

nowisee『完全性世界に宿る死角』#08/24 (YouTubeバージョン)

——音楽シーンを見渡してみても、進化が止まったかのように思えるJ-POPをアップデートしようという心意気が詰まっているなと。Octaveさん的に思い入れのある曲はどれですか?

Octave:全部です(笑)。でも、いまだに歌詞を書くときに初心に戻るというか、このときの気持ちってとても大事だなと思うのは「バイブレーション」ですね。いろいろ考えすぎていない感じ、響く言葉ってこういうことなんだろうなって思えた自信作は「バイブレーション」と「孤犬」と「ナノ」と「confusion」。映像もノベルもあるし、いろんな情報を交えて歌詞を書くと考えすぎてしまうところもあるんですよ。でも、これらの楽曲は初期衝動感が強いので自分でも鳥肌が立ちますね。

Root:心の中の棘を、そのまんま出している感じがあるよね。

——歌詞はすべてOctaveさんが?

Octave:そうですね。

——いろんな世界観をお持ちですよね。言葉のインスパイアはどんなことから?

Root:タイプの違うトラックメイカーがいるからこそ、言葉で生み出す情景が変わるっていうのは大きいかもしれません。

Octave:「プラタナス」という楽曲のトラックをもらったとき、瞬間的にメロが浮かんだんです。もともと、マライア・キャリーやホイットニー・ヒューストンなど王道な洋楽が好きだったんです。なので、でたらめ英語でメロをつけて、後で歌詞をつけていくんですね。

——なるほどです。この王道感ある洋楽センスって、たしかに感じられるんですよね。ちなみにノベルとして展開されていく『52Hz』。こちらはどのようにして生まれていったんですか?

Root:人って絶対に死ぬじゃないですか? 寿命や病気、事故など原因はそれぞれかもしれません。でも、人は命に限りがあるからこそ幸せを感じるんじゃないかなって漠然と思っていて。痛みと快楽みたいなもので、痛みがわかるから気持ちよさがわかるというか。たとえば突然変異で死なない人間がいたとします。でも、その人に愛する人ができても、先に死んでいく人間を愛するしかないですよね? 死んで涙を流してっていうのを永遠に繰り返していたら幸せという感覚は鈍くなっていくと思うんです。死なない人間から見たら幸せってなんだろうってところから、残酷toneといろいろ話し合いながら物語のプロット、設定、キャラクター像を作っていきました。

Octave:キャラクターの絵も最初はメンバーの容姿から生まれていたんです。だんだん変わって、物語上のキャラクターは今は別物になってますね。

——こうしてこのプロジェクトは引き続き、続いていくと。

Root:なんか人生と一緒ですね。俺はカート・コバーン大好きなんです。自分が好きなアーティストは刹那的で、はかなく生涯を終える人が多かったんです。人間が死に物狂いで頑張れるのって終わりが本能的にわかっているからだと思うんです。俺が会ってきた本気でやっているヤツらは、絶対今を大事に生きるという価値を知っていて、今日やることは絶対今日やるんですよ。

——強烈なメッセージ性が、実はnowiseeにはコンテンツに刻み込まれているのですね。

Root:アニメ的なビジュアルを採用したことで偏見を持つ音楽ファンもいると思うんです。でも、だまされたと思って一回音だけでも聴いて欲しいですね。聴いてくれたら絶対楽しんでもらえる自信があります。ノベル、コミック、ミュージックビデオや楽曲が相互作用していくコンテンツならではの楽しみがあるので。普通だったら、ミュージックビデオのイメージを監督さんに伝えて、間にたくさんの人が入り、キャッチボールしてできあがっていく。もちろんその良さもありますが、nowiseeの場合、映像はメンバーの残酷toneが作るので、音を聴いて勝手にリアクションしたり、その逆もあったりバンドのセッションで映像も音も作り上げている感じなんです。だからこそ感性の純度を保ってダイレクトに届けられると思っています。

——動画と絡み合う声の存在感もすごいですよね。ある種匿名性があるプロジェクトなので、Octaveさんは、どんなスタンスでボーカリストとして作品と向き合っているんですか?

Octave:主人公のアイってキャラクターがちょっと自分に似ている感じもあるんです。なのでそんなに意識すること無く、自分は自分という感覚で歌っています。あと「孤犬」という曲は、中心的なキャラクターであるアイとユウのことを書いている曲なので、アイだったらどう思うかなってことを考えたりします。ユウってどんな子だったんだろうとか。他のキャラクターの気持ちを考えながら感情移入して歌ってますね。ノベルや映像に刺激されることも多いんですけど、そこだけにおさまると面白くないので自分なりに広げて解釈しています。

Root:nowiseeは壮大なプロジェクトなんですが、背骨になるのは音楽なんです。それにノベルやニュージックビデオ、コミックなどがついてくる。こっちが表現していることが弱いと映像もよくならない。ごくまれなんですけど残酷toneがこれじゃぜんぜんぐっとこないって言ってくるときもあるんです。信頼感があってこそ、本音でぶつけあうから良い作品になると思っています。ぜひ、あと12ヶ月続いていくnowiseeの世界観を共有して、俺たちからの拡散を楽しんでもらえると嬉しいです。

(文=ふくりゅう(音楽コンシェルジュ/Twitter))

■リリース情報
『掌の戦争』
発売:2016年8月10日
【初回限定盤】
[CD] 全14曲
[Blu-ray] Music Video 全12曲
[特典]
・nowisee 公式アプリ連動特典 「バイノーラル音源ダウンロードシリアルナンバー」封入
(ダウンロード期間:2016/8/9(火)12:00~2016/11/8(火)23:59 ・三方背クリアケース特殊仕様 ・豪華別冊「nowisee handbook(全 40P)」付き ・タイムカプセルポストカード封入
(キャンペーン期間:2016/8/9(火)〜2017/5/31(水) 当日消印有効)
¥4,630(税抜)

【通常盤】
[CD] 全12曲
[特典]
・nowisee 公式アプリ連動特典 「バイノーラル音源ダウンロードシリアルナンバー」封入
(ダウンロード期間:2016/8/9(火)12:00~2016/11/8(火)23:59

[ CD ]
1. バイブレーション
2. ハードボイルド
3. bluemoon
4. 孤犬
5. プラタナス
6. ナノ
7. confusion
8. 完全性世界に宿る死角 9. 美学
10. VIEWER
11. オルタナティブ・ラヴ
12. 会いたい リードトラック
Bonus Track ※初回限定盤のみ収録
13. Lux Fugio
14. goodnight
[ Blu-ray ] ※初回限定盤のみ
・バイブレーション
・ハードボイルド
・bluemoon
・孤犬
・プラタナス
・ナノ
・confusion
・完全性世界に宿る死角
・美学
・VIEWER
・オルタナティブ・ラヴ
・会いたい

■オフィシャルサイト
http://nowisee.jp/

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