ぐるたみんが考えるボーカリストの哲学　「『歌がうまくなりたい』ではなく『いい音を出したい』」

「松明も持たず、洞窟に入っていっちゃった」

――シングルにも収録された「あのねのね」は初の書き下ろしラブソングで、“ぐるたみんがラブソングを書くとこうなるんだ”という納得感がありました。ハードなギターサウンド、コーラスワーク、ヤキモキする気持ちが音として気持よく響く歌詞……と、まさに真骨頂というか。

ぐるたみん：Jロックのシーンに向けて、自分なりのラブソングをどう描くか、というのは課題だったんですよ。実際、これをファンの人たちがどう思うか…というのも怖かったし。でも、みんな気に入ってくれているようでホッとしています。

――＜あのねのね＞のフレーズが大合唱になっていますし、ライブも盛り上がりますね。ちなみに、この歌詞はご自身の体験から…？

ぐるたみん：まあ、そこはナイショということで（笑）。面白いもので、女性のインタビュアーの方だと、「だるまさんが恋をした」の方に引っかかるみたいなんですよね。ここも課題といえば課題で、男性も女性も好きになってくれるラブソングができたときに、また違うステップに進めるのかな、という気もしています。

――本編の最終曲「天使のお手紙」は、別れに際して“旅立つ側”からの視点で描いた、感動的なロック・バラードに仕上がっています。

ぐるたみん：最後に置くと悲しすぎるんじゃないか、と思ったりもしたんですけどね。この曲はメロディ先行で、ストレートなラブソングでもよかったんですけど、ありきたりにはしたくなかったから、一番悲しいシーンを考えて。

――2番がそのまま「手紙」という体裁になっていて、確かにとても悲しい内容ではあるのですが、同時に相手を励ますような温かさがあり、前向きな気持ちにもなれると思います。

ぐるたみん：そうですね。僕はめちゃくちゃポジティブなので、やっぱり「絶対に忘れないでね」じゃなくて、「今までありがとう！　ちゃんと誰かを好きになってくれ！」と思っちゃう。だから、こういう書き方になったんでしょうね。

――ボーナストラックには、ファンにはお馴染みのライブ曲「Judge」が収録されました。不当な“ジャッジ”にノーをつきつけるようなフレーズにカタルシスがあります。

ぐるたみん：昔からライブでやってきて、「いつアルバムに入るんですか？」って何度も言われてきたし、ここで入れようと。サッカーをモチーフにした、イエローカードとレッドカードの話ですね。そんなコアな曲をここに入れてもいいのか！という気持ちもあったので、だからボーナスとして、アコースティックでお届けしようと。

――お得感がありました。

ぐるたみん：お得感、いいですね。そこ、ちゃんと書いておいてください（笑）。

――さて、このように幅広い楽曲が収録されましたが、やはりとてもチャレンジングな作品だという印象です。楽曲のフレーズになぞらえて、今のぐるたみんさんにとって「乗り越えるべき壁」や「立ち向かうべきモンスター」というものが現実にあるとしたら、いったいどんなものでしょうか？

ぐるたみん：大きく、今まで自分が持っていなかったものだと思います。それをどういう風に手にするか、という冒険ですね。

――ネットシーンでブレークした歌い手が、オリジナル曲で勝負していく、というのはほぼ前例のないことで、言わば地図のない冒険ですね。

ぐるたみん：そうですね。松明も持たず、洞窟に入っていっちゃったわけですけど、真っ暗ななかに光が見えた感じです。気がつけば、これまでの冒険で手に入れた武器をもっていたのかもしれない。でも、最悪“デスルーラ”（注：ゲーム用語。力尽きるまで前に進み、死んで自動的に元の場所に戻るの意）になっても、前のめりならファンはよろこんでくれると思う（笑）。

――相変わらずハイトーンの力強いボーカルが冴えていましたが、あらためて、“歌声”に対する哲学を聞かせてもらえますか。

ぐるたみん：僕、昔から普通のボーカリストと違うことをやってきたらしくて、「歌がうまくなりたい」じゃなくて、「いい音を出したい」と考えてきたんですよね。たぶん、そこがこれまでの作品で評価されている部分だし、自信を持っていいところだと思うんです。響きとして伝わる感じとか、あとはコーラスワークとか。

――そういう部分も、新しいリスナーに届いていくと思います。どんなふうに届けていきたいと考えていますか？

ぐるたみん：このアルバムをきっかけに、ライブに来てもらえるようにしたいですね。もともと動画を作ってきたので、音源でなければ表現できない、生の人間が歌えないようなことも突き詰めてきたんです。だからこそ、ライブでそれをどうアレンジするのか、どうグルーヴさせていくのか、というところを楽しんでもらいたくて。ずっとロックをやってきて、オリジナルで挑戦してきた人とはやっぱり違う部分があると思うので、前例がないから難しいところもありますけど、絶対に楽しんでもらえる自信があります。カバー曲を歌っていたころと違って、今は自分の中から伝えたいことがたくさんあるので、ぜひ多くの方に聴いていただけたらうれしいですね。ずっとテーマにしてきた「We are happy」という言葉を武道館まで持っていけるよう、走り続けていきたいと思います。

（取材・文＝橋川良寛）

■リリース情報
ぐるたみん『GRACE』
発売：2016年8月24日（水）
価格：完全生産限定盤A（GOODS付／封入特典：シュシュ全5種ランダム／初回プレス封入特典：本人実写アーティストフォトプロマイド全5種ランダムのうち1種）3,456円（税込）
初回生産限定盤B（DVD付）（初回プレス封入特典：本人実写アーティストフォトプロマイド全5種ランダムのうち1種）3,240円（税込）
通常盤（初回プレス封入特典：本人実写アーティストフォトプロマイド全5種ランダムのうち1種）2,700円（税込）

＜収録楽曲＞
01. GRACE PLACE
02. GIANT KILLING
03. 空想ライン
04. Yell for ※アルバム・リードトラック
05. 飛行少女と僕 [Second Impression]
06. だるまさんが恋をした
07. ESCORT
08. シュリセルドラッへ
09. あのねのね
10. 未来note App
11. サヨナライオンガール
12. 天使のお手紙
-Bonus Track-
13. Judge [Acoustic Style]

チェーン店別特典はこちら

■ツアー情報
『ぐるたみん LIVE-G TOUR 2016-17 GRACE』
10月8日(土)札幌CRAZY MONKEY　開場17:30／開演18:00
10月9日(日)札幌CRAZY MONKEY　開場17:00／開演17:30
10月15日(土)渋谷GUILTY　開場18:30／開演19:00
10月16日(日)渋谷GUILTY　開場18:00／開演18:30
11月12日(土)京都RAD mini　開場17:30／開演18:00
11月13日(日)京都RAD mini　開場17:00／開演17:30
12月03日(土)静岡Sunash　開場17:00／開演17:30
12月17日(土)仙台PARK SQUARE　開場18:30／開演19:00
12月18日(日)福島郡山PEAK ACTION　開場17:00／開演17:30

詳細はこちら

チケット料金
オールスタンディング￥3,990(税込)
※3歳以上有料／3歳未満入場不可
※入場時ドリンク代別途必要

■関連リンク
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