razokuが語る、結成20年史と理想のバンド像「俺たちにとっては歌も楽器も一緒だ」

razokuが語る、結成20年史と理想のバンド像

 1996年に地元・藤沢で結成したrazoku。スリーピース・ロックバンドであり、フジロックや朝霧JAMなどの野外フェスにも多数出演している。自由自在かつダイナミックなサウンドやグルーブには、バンド結成20年の歴史やその中で幾度となく重ねてきたセッションの軌跡を感じるが、一方、朗々とした美しいメロディや越野竜太(Vo・G)の歌声は、色褪せることない瑞々しさを放っている。

 今年7月20日にリリースした『tsuki de aetara』は6年ぶりのオリジナルアルバムとなる。2010年から2012年にかけて2年ほどの活動休止期間を経て制作された同作は、かつてないほど叙情的で、優しさと懐かしさを併せ持ったひとつの物語のように展開される。言うまでもないが、20年という歴史はとても長い。その間に起こった音楽やバンドに対する向き合い方や時代、生活の変化が、この最新アルバムに大きな影響を与えているようだ。高校生の時に出会ったというバンド結成当初から最新作までに至る道のりを、越野と大角兼作(Dr ・Cho)に語ってもらった。(編集部)

「3人がやりたい音を鳴らして、俺が歌ったらrazokuの音楽になった」(越野)

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ーー まず、バンド結成の経緯からお聞きしたいと思うんですが、みなさん高校の時に出会ってるんですよね?

大角兼作(以下、大角):そうですね。今日は来ていないベースの加藤健一っていうのがいるんですけど、彼と僕が同じ高校の音楽部で一緒にやっていて。そこに越野がライブを見に来てくれたのが最初の出会いです。

越野竜太(以下、越野):文化祭でライブやってるよって友達に誘われたんだよね。で、観に行って2人をナンパしたみたいな。学校の先生もいい人で、俺部外者なのにすげぇウエルカムな感じだったから、楽器たくさん触らしてくれたりしてね。やることもないのによく放課後に集まってた。

ーー当時はこういうバンドをやりたいっていうビジョンはありましたか?

越野:JUDY AND MARY。“JAM”バンドって、そこからきてるからさ(笑)。

ーーJUDY AND MARYが出てくるのは意外です。

越野:ジャムバンドがかっこいいと思ってそれでいこうかってなってるけど、本当はね、ずっとJUDY AND MARY目指してやってるからね。嘘みたいに思えちゃうかもしれないけど(笑)。

大角:ジャムバンドって言われることも多いけど、僕たちとしてはそんなに意識した覚えはなかったと思うんだよね。

越野:何も意識してないよね。俺たちにとっては歌も楽器も一緒だし、どっちが大切だとかはないから。3人がやりたい音を鳴らして、それに合わせて俺が歌ったらrazokuの音楽になったっていうだけで、ジャンルとかはないよ。

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越野竜太

ーーたとえば湘南といえば、レゲエとかダブバンドとか独自の音楽カルチャーが発展している地域だと思うんですが、razokuにもその地域性は受け継がれてると感じますか?

越野:うん。でも、メロコアみたいなのやってるやつらもいるし、おじさんたちもいっぱいいるから。俺たちは結成20年だとか言ってるけど、この間藤沢の飲み屋で「俺たち35年だけどいまだに元気にやってるから(笑)」みたいなおじさんたちに会ったりして。そういう環境だから、シーンとかっていうよりも縦社会であり横社会であるっていう感じかな。人とのつながりが他のとこより強いかもね。湘南で俺たちが盛んにやってた時って、バンドでぐいぐいやってるのは俺たちしかいなかったよね。レゲエの人たちは横浜のほうに行ってたし。でも、俺たちの快楽的にやってる部分ーーたとえばソロパートが長いとか曲がどんどん変わってっちゃうとか、そういうのが今の世代に受け継がれているっぽい感じはする。

ーー1996年に結成して、今年で20周年になります。長い間一緒に音楽をやってきて、メンバー間のコミュニケーションに変化はありましたか?

越野:うーん、どうだろう。変わったと言えば、この20年でインターネットが普及したからね(笑)。90年代からだいぶ変わった。昔はチャリンコでメンバーの家の前まで行ったりしてたもんね。リハどうする? みたいな。今メールだもん(笑)。でも、一度活動休止みたいになった時期にメンバーに家族ができたりしてみんなの暮らしが変わってきたから、会える時が本当に貴重になってきちゃって。一緒にやれる時間を大切に使っていかないとね、っていう意識がお互いにあったりして。いい感じですよ(笑)。

大角:音楽に関しては、音以外で話し合ってこなかったですからね。言葉で何か説明したりっていうのはほとんどなかった。

越野:でも、そろそろ言葉が必要になってきたよね(笑)。ちょっと話そうかって。

大角:そうだね。ようやくね(笑)。

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