メジャー1stシングル『You』インタビュー
雨のパレード・福永浩平、新しい“歌のあり方”を語る「日本のポップスを更新していきたい」
「自分たちで日本のポップスをかっこよくしようと思ってやってる」
ーーもちろん、「You」からはサウンド面でも前作以上のこだわりが感じられます。
福永:今回は入れたい音を全部詰めれてたんで、満足してます。例えば、最初にパッドで流れてる音は、デイヴ・スミスのProphet'08の和音を揺らして、ピッチが揺れてる感じが最高だなって思うし、あと僕の好きなエレクトロハウスとかエレクトロR&Bの人って、スネアのところにスナップを入れる人が多くて、それもやってみたらすごくハマったし、あとギターのリヴァーブはストライモンのBigSkyを使ってて、声リヴァーブっていう、リヴァーブが声みたいに聴こえる音にしてみたり、あと2Aで使ってるベースの音はシンベっぽい感じにして、それこそジャック・ガラットはベースの音で攻めてる曲が結構多いんで、そこも意識したのと……。
ーーサウンドの話になったら途端に止まらなくなったね(笑)。
福永:今回はホントにいろいろハマったんですよ。2Aのトントンって木を叩いてる音はクラベスをサンプリングして使ってて、あれはAstronomyyが新曲で使ってたのを聴いて、自分たちもやってみたらハマったり……音的には、自分たちが今できる最高のものだと思ってます。
ーーこの勢いで、カップリングの「In your sense」と「morning」についても話してもらえますか?(笑)
福永:「In your sense」はギターのリフを最初に作ったんですけど、Japanese Houseみたいな、80年代っぽい、コーラスとかリヴァーブで深い感じを出す曲にしたくて、ギターにコーラスっぽいのをかけたりしてます。「morning」は挑戦として、ピアノを使ってみようと思った曲ですね。うちのギターが弾いてて、ピアノは初心者なんですけど、いいピアノでレコーディングさせてもらいました(笑)。もともとLåpsleyみたいなイメージで、ギターだとクサく感じるコード進行でも、ピアノならハマるかなって。結構レコーディングで伸びた曲ですね。
ーー「morning」はアレンジ的にはシンプルと言えばシンプルで、ここまで歌が前に出てるタイプの曲はあんまりなかったですよね。
福永:そうですね。そういう挑戦でもありました。
ーーだから、もちろんサウンド面での挑戦もありつつ、やっぱりメジャーからの1stシングルってことで、これまで以上により広くに届けるってことが前提となっていて、「いい歌」っていう部分を大事にしたシングルであることは間違いないのかなって。
福永:より多くの人に聴いてもらいたい気持ちはもちろんありつつ、でも譲れないところもあるので、サウンド的には自分たちがかっこいいと思ってることしかしないっていう、そういう曲になってると思います。前に別の方と話をして再認識したんですけど、ポップスは更新していくものだと思っていて、僕らは自分たちで日本のポップスをかっこよくしようと思ってやってるんです。これがメインストリームになるようにするために、メロと歌詞でしっかり寄り添いつつ、サウンド的には自分たちがかっこいいと思うことだけをやって、それが新しい日本ポップスになればなって思います。
ーーでは最後に、ライブについても訊かせてください。新しい日本のポップスをアピールするには、ライブという場所ももちろん重要で、シングルのリリース後には夏フェスも控えています。まず、現状ではライブの手応えをどのように感じていますか?
福永:やっぱり、列伝ツアー(『スペースシャワー列伝15周年記念公演 JAPAN TOUR 2016』)で大きく成長できたと思うし、ライブっていいなって思いが今は強いですね。楽しいし、意外と自分たちがライブバンドだなって思いました。そんなことないと思ってたんですけど(笑)、スペシャのチームからも「雨のパレードはライブバンドだよね」って言われたり。
ーーフレデリック、夜の本気ダンス、My Hair is Badと、列伝ツアーでは周りに盛り上げるタイプのバンドが多い中、どう対峙するのかっていうのはあったんじゃないですか?
福永:意外と、気持ち的にはすんなり馴染めたかなって。周りから見ると浮いてたかもしれないし、音的にはもちろん浮いてますけど(笑)。
ーーでは、パフォーマンスにおける今の課題は?
福永:歌ですかね、やっぱり。冷静にちゃんと歌うのか、熱量を持って、外してでも歌うのか、どっちかになっちゃってるんで、どっちもちゃんと成立するような歌を歌うために、日々鍛錬です(笑)。あと最近思ってるのは、流れていってしまうようなライブはしたくないと思っていて、一曲一曲本気で伝わるようにっていうのは意識してます。発表会みたいなのはいかんなって。
ーーその「本気で伝える」という意味でも、「You」という曲がこのタイミングで生まれたことはとても意味のあることだったと思います。9月にはワンマンツアーもありますし、下半期の活動も楽しみです。
福永:次のステージに行きたいというか、もう1ランク上のライブがしたいですね。最強のバンドになりたいです(笑)。
(取材・文=金子厚武/写真=石川真魚)
■リリース情報
雨のパレード 1st Single『You』
発売:2016年7月20日(水)
価格:初回限定盤(CD+DVD)¥1,800(+税)
通常盤(CD)¥1,000(+税)
<収録曲>
1.You
2.In your sense(「Happy Rainy J-WAVE」キャンペーンソング)
3.morning(NHKアニメ「ほのぼのログ」テーマ音楽)
初回限定盤DVD(Live at clubasia 2016.4.9)
1.epoch
2.Tokyo
3.Petrichor
4.bam
5.new place
■ツアー情報
雨のパレード ワンマンライブツアー『You&I』
2016年9月15日(木)愛知・名古屋CLUB UPSET
OPEN 18:30/START 19:00
2016年9月17日(土)東京・渋谷 CLUB QUATTRO
OPEN 17:15/START 18:00
2016年9月22日(木・祝)大阪・阿倍野 ROCKTOWN
OPEN 17:30/START 18:00
チケット 前売り:¥3500 当日:未定(ドリンク代別)
一般発売日:7月31日(日)
■関連リンク
雨のパレードオフィシャルサイト