藤原さくらが明かす「ラヴソング」出演で得たこと「ずっと歌い継がれる曲を作っていきたい」

藤原さくらが語る、新たなスタンス

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「音楽をやっている藤原さくらも愛してもらえたら」

ーーさらにボーナストラックとしてドラマのライブシーンで披露された「Summertime(佐野さくら with 神代広平Ver.)」「500マイル(佐野さくら with 神代広平Ver.)」この2曲は完全に“佐野さくら”として歌っているわけですよね?

藤原:そうですね。オーディションのときから「藤原さくらとは違う歌い方にしてほしい」って言われていて。最初は「うーん…」って思ってたんですよね、じつは。いままでは「その歌い方が個性だから、そのままでいい」という感じだったんですけど、「その歌い方だと、藤原さくらの色が出過ぎる」って。そこはもう、やりながら探っていった感じですね。選曲に関しても、ずっと話し合ってたんですよ。私自身が自然に歌える曲がいいということもあったんだけど、「佐野さくらはどういう女の子だろう?」ということも考えて。まず、「500マイル」は彼女にとってすごく大事な曲なんですよね。ドラマのなかでは(佐野さくらの地元)広島と東京の距離を感じさせる曲だし、それは私が福岡から上京してきたときの気持ちにも重なっていて。

ーードラマで歌われているのは忌野清志郎さんの歌詞によるバージョン。原曲はヘディ・ウェストで、ピーター・ポール&マリーのカバーでも有名なフォークソングですが、藤原さんのルーツとも重なりますよね。

藤原:大好きな曲ですね、ホントに。「Summertime」も昔から好きな曲で、以前からライブで歌ったりもしてたんですよ。ドラマのライブ・シーンでは「音楽業界の人が見に来る」という設定だったんですけど、私も高1のときに受けたオーディションで英語の歌を歌ったから、そこも重なっているかなって。撮影のときは「佐野さくらは英語が上手くないんじゃないか?」という話もしてたんです。だからライブシーンでも、そういう設定での発音にこだわってみました。発音のチェックもあえてしなかったし、「いまのはスムーズすぎるから、もうちょっと下手に歌って」みたいなこともあって。そこはすごく難しかったですね。福山さんがギターのアレンジにすごくこだわってらしたのも印象に残ってます。歌い方がある程度決まったあとも「ギターの録音はもうちょっとかかるから、先にごはん食べてて」と、ずっとギターを弾いてらして。まさにプロフェッショナルだなって思いましたね。

ーードラマの現場を経験することで、得られたものも多かったのでは?

藤原:そうですね……。演技って、まったく自分ではない人になるわけじゃないですか。それって、人の曲をカバーするときの感覚に似てるなって思ったんです。今回のドラマの場合は、佐野さくらと自分の似た部分、重なる部分を考えながら演技させてもらったわけですけど、カバーするときも「ここは共感できるな」というところを意識しながら歌うので。あと、撮影の現場もすごく刺激的だったんです。わからないことだらけだったんですけど、みなさんすごく優しくて、いろいろと教えてくれて。いちばん最初は監督に“手取り足取り”という感じでしたけど(笑)、共演者の方々が自分の芝居に対して、すごく自然に応えてくれるのも楽しくて。セリフは同じでも、声の色や目線の高さを変えるだけで、相手の方の演技も変わるんですよね。もちろん監督やまわりの方とも話しながら、どう演じるか決めていくんですけどね。

ーー決まった段取りがありつつ、本番でしか生まれないケミストリーもあるというのは、ライブに似てるかもしれないですね。

藤原:あ、確かにそうですね。テストの段階で号泣しすぎて、本番で枯れ果てたこともありましたけど(笑)。音楽をやっている方も多い現場だったから、いろんな話を聞けたのも良かったですね。私、宇崎竜童さんの曲が大好きなんですよ。休憩時間も宇崎さんを捕まえて、いろんな話を聞かせてもらって。「曲作りで悩んだときは、こういうことをやってみたら?」というアドバイスをもらったり、ギターの弾き方を教えてもらったり。福山さんともいろんな話が出来たし。

ーーでは、今後の音楽活動について聞かせてください。6月25日(土)に福岡、7月1日(金)に東京でワンマンライブ「『good morning』〜first verse〜」を開催、さらに9月から10月にかけて全国ワンマンツアー「『good morning』〜second verse〜」が行われます。

藤原:“first verse”はドラマが始まる前からチケットの先行予約が始まっていて、いままで私の音楽を好きでいてくれたファンの方々が来てくれると思うんですよ。“second verse”はタイミング的に、ひょっとしたらドラマで私のことを知ってくれたお客さんが多いかもしれないので、ライブの雰囲気もかなり変わるんじゃないかなって。ドラマで初めて藤原さくらのことを知ってくれて、私の音楽にも興味を持ってくれた人たちが来てくれるんだったら、期待を裏切らないようにしたいですね。「音楽をやっている藤原さくらも楽しそうでしょ?」というところを見てもらいたいので。

ーー知名度が上がってファンの幅が広がったことで、ライブも在り方も変わってくるだろうと。

藤原:おかげさまでドラマが放送されてからTwitterのフォロワー数もすごく増えてるんですよ。演技をしている藤原さくらを知っている人のほうが多いのは不思議な感じですけどね。私は音楽が好きで、「こういう音楽はどうですか?」という感じで活動してきたので、そこも愛してもらえたらいいなって。音楽をやっている自分を生で見てもらえるのは特別なことですし、ツアーはすごく楽しみですね。

ーーライブ自体、かなり久々ですからね。

藤原:そうなんですよ。この前、エリック・クラプトンのライブを見に行ったんですけど、そのときも「早くライブをやりたい!」って思ってしまって(笑)。5月にドラマ劇中ヒロイン“佐野さくら”として池袋で路上ライブをやらせてもらったんですけど、本格的なライブはやっていないので……。そういえば、その路上ライブのときもすごくたくさんの方が来てくれたんですよね。高校生もいっぱいいて、やっぱり「いままでとは違うな」って思って。出待ちっていうか、「握手してください」なんて言われるのも初めての体験だったし、ドラマってすごいなって改めて思いましたね。街中で声をかけられて「私のこと、知ってるんだ?」っていう感覚も初めてだし……。私自身はぜんぜん変わってないんですけどね、良いのか悪いのかはわからないですけど(笑)。ドラマだけじゃなくてラジオも始まって、いろんなところから私のことを知ってくれる人が増えて。大きな人生の転機ですよね、ホントに。

ーー一気に状況が変わってますからね。

藤原:あれよあれよという間にワーッと進んでるところもあるんですけどね(笑)。去年ドラマのオーディションがあって、今年1月に決まって。その後、バイクの免許を取って、髪を染めて、整備工場で整備の練習をさせてもらったりもして。自分のアルバムのリリースもあってバタバタしているところで撮影が始まって、「Soup」のレコーディングがあって、放送が始まって……。休みの日もありましたけど、台本を覚えたり、曲の練習をしてたので、すごく慌ただしかったんですよ。インタビューで「今後も女優を続けるんですか?」ってよく聞かれたんですけど、そんなことを考える余裕もなかったんですよね。音楽も演技も、自分が出来ることを精一杯やるっていうだけだったので。佐野さくらは吃音で悩んでいる女の子で、中途半端にやるのは失礼だと思ったし、真剣に役作りに向き合って。その結果、自分に興味を持ってくれる人が増えたのは嬉しいことだし、大事な時期という自覚はありますね。

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