SWANKY OCEAN ACOUSTIX、アコースティック界の“異端児”登場?「俺たちのフィルターを通すと、結局はパンクになる」

SWANKY OCEAN ACOUSTIXへ初取材

 SWANKY DANKが別プロジェクトとしてスタートさせたアコースティックバンドSWANKY OCEAN ACOUSTIXが、初のアルバム『THE OCEAN』を完成させた。本作にはメロディアスなポップパンクを鳴らすSWANKY DANKとは一線を画す、ポップスやサーフミュージック、R&Bなどからの影響が強く感じられるオーガニックなサウンドと、伸びやかで心地よい歌声をたっぷり堪能することができる。なぜバンド名を変えてこのプロジェクトを始動させたのか。メンバーのKOHDY(Vo)、YUONE(G, Cho)、TACO(G, Ukulele)、ITI(Per)にその理由を聞いた。(西廣智一)

「酒を飲みつつ演奏して楽しむことの延長線上にあるもの」(YUONE)

──SWANKY DANKとして2015年にフルアルバム『Magna Carta』を1月に、シングル『One of a Kind』を7月にそれぞれリリースして、今とても勢いに乗っている印象を受けていたんです。そこで次の展開はどうなるんだろうと気にしていたら、いきなりこのプロジェクトが始まって「おやっ?」と。

4人:(笑)。

YUONE:「なんでやねん?」と(笑)。

──はい(笑)。なので、まずはこのSWANKY OCEAN ACOUSTIX結成のきっかけから聞かせていただけたらと思います。そもそもなぜSWANKY DANKではなく別名義で活動しようと思ったんですか?

KOHDY:俺たちはいつもアコースティックで曲作りをしていて、そこでいろんなタイプの曲ができるわけです。そうやって曲作りを続けていくと、SWANKY DANKでは表現できないような曲も生まれるわけで。そういった曲をSWANKY DANKではなく名前を変えて演奏してみるのも面白いんじゃないかってことで、だったらアコースティックで1枚作ってみようということになったんです。なので昔からこのプロジェクトがあったというわけではなくて、曲作りを続けていくうちにできていった形ですね。ちなみに、今回のアルバムでいうと4曲目「After」と5曲目「River」は10年前にYUONEが作った曲で、ずっとレコーディングせずに残していたんです。

YUONE:この2曲は10年ぐらい前、SWANKY DANKの前身バンドVOXPOPで作った曲で。SWANKY DANKになって一気に音楽性も変わったし、ちょっとこれは置いておこうかってことになったんですけど、今回SWANKY OCEAN ACOUSTIXをやることになったときに「SWANKY DANKとしてはやれない曲をやってもいいんじゃないか」ってことで、あの2曲はいい曲だったから引っ張り出してこようということでやってみました。

──なるほど。それをアコースティックスタイルでリアレンジして。

YUONE:そうです。このSWANKY OCEAN ACOUSTIXは俺たちSWANKY DANKが海辺とかでキャンプファイヤーをしながら、酒を飲みつつ演奏して楽しむことの延長線上にあるものだと思っていて。もともとのきっかけは、合宿に行ったときにみんなで酒を飲んで酔っ払って、ワチャワチャしながら歌い出したこと。それ以前からアコースティックでもライブをやっていたし、俺とKOHDYの2人だけのときもずっとアコースティックで活動していたから、OCEANとして活動することもすんなり受け入れられたんです。ちなみに今回のレコーディングでは事前にいろいろアレンジを考えてたんですけど、レコーディングちょい前ぐらいに全部まっさらに戻して。「一回スタジオに入って、そこで作ろう! あの合宿のノリでやってしまおう!」みたいなノリで作ったので、全員レコーディング初日はソワソワ感がハンパなかったんですよ(笑)。

KOHDY:(SWANKY OCEAN ACOUSTIXの頭文字を取って)SOA……「ソアソア感」ね(笑)。

4人:(笑)。

YUONE:で……今の「ソアソア感」で何を言おうとしてたか忘れたわ(笑)!

「遊び心でやったのに、逆に周りが困惑してしまって」(KOHDY)

──(笑)。スタジオに入って4人で合わせたときの音が、このアルバムに生かされていると。

YUONE:そうなんです。しかも今回はみんな、自分のパートじゃない楽器にもいろいろトライしているんですよ。例えばボンゴだったりカホンだったり鉄琴だったり。中にはボツになった楽器もあって、特にITIが買ってきたものはかなりボツになりました(笑)。

──ITIさん、ちなみに何を買っていたんですか?

ITI:実は木魚や鈴を買いまして。

YUONE:「チャチャチャチャー」って歌ってるところに、いきなり「ポコ、ポコ、ポコ、ポコ」って木魚の音がするんですよ。なんかイライラしてきて、思わず「返品してこい!」って言っちゃって(笑)。

ITI:僕は良かれと思って用意したんですよ?

YUONE:さらに夏を意識して作った曲ばかりなのに、鈴が鳴ると一気に冬感が出るんです。

TACO:雪山感がね(笑)。

YUONE:そうやっていろいろ試しながら作ったアルバムなんです。

──SWANKY DANKが昼のビーチだとしたら、SWANKY OCEAN ACOUSTIXは夕暮れから日が落ちてのビーチという印象で。名前が違うものの、4人で集まって楽しみながら演奏するというところでは一本筋が通ってるんですね。

YUONE:そうですね。音楽の幅を広げる意味ではOCEANは非常に重要かなと。

──いろいろ納得できました。このプロジェクトが最初に発表されたとき、ちょっと覆面的な雰囲気でしたよね。皆さんの名前も変名ですし。

KOHDY:あれはちょっとした遊び心でやったんですけど、逆に周りのみんなが困惑してしまったという。「なんで? いや、誰だかわかるけど、なんで?」って(笑)。

──名前に「SWANKY」と入ってる時点で、みんな気づいていましたし(笑)。で、お披露目という形で『PUNKSPRING 2016』に出演しましたが、お客さんのリアクションはいかがでしたか?

KOHDY:すごく良かったと思います。それこそSWANKY DANKとしてはまだ出演したことのない『PUNKSPRING』に……。

YUONE:OCEANが先を越しましたからね。そういう点では、SWANKY DANKには申し訳ないなと(笑)。

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