山下智久が見せてきた変幻自在の個性 初のベストアルバムを機に、表現の変遷を振り返る

 山下智久が1月27日、自身初のベストアルバム『YAMA-P』をリリースする。同作はソロデビュー10周年を記念した一枚で、「抱いてセニョリータ -2014 version-」「愛、テキサス」など10曲に加え、ファンからの支持の高い未音源化曲「Dreamer」のセルフカバーも収録する。
 
 Jr.時代から「山P」の愛称で人気を博した山下の活動には、多くの節目があった。2003年にNEWSの中心的メンバーとしてCDデビュー。2006年にはグループに在籍しながらソロデビューを果たし、2011年にはNEWSの脱退を発表、以降はソロ活動に専念してきた。こうしてデビューシングル『抱いてセニョリータ』から10年が経った今、新たな節目を迎えてリリースされる『YAMA-P』はどのような作品になるのか。ジャニーズに詳しい芸能ライターの佐藤結衣氏が、彼の個性から順に解説する。

「山下さんは、ストイックな体質でありながら、どこか飄々とした雰囲気を醸し出している不思議なタイプ。自身のイメージも頻繁に変化できてしまう人で、Jr.の時は『女の子のようにきれいな男の子』だったのが、NEWSでは『王子様』っぽくなったり、最近では『エロさ』を打ち出したりする。活動の柔軟性の高さは、他のジャニーズにない魅力です。初のベストアルバムで楽しみなのは、そうした彼の10年間の音楽活動と、表現の変遷が一気に追いかけられること。またファン以外の方にとっても、ドラマ等から初めて『山Pってどういう人なんだろう?』と興味を持った場合に手に取りやすく、彼の活動にとって意義のある作品になるでしょう」

 今後の山下の“名刺”ともなりうる同作には、ドラマ主題歌にもなったヒット曲が多数収録されている。なかでもファンにとって嬉しいニュースとなったのが、長らくリリースが待たれていた「Dreamer」の音源化。同曲のMVは、アリゾナの秘境まで足を運び撮影したというほどの力の入れようで、単なるファンサービスのみならず、制作サイドの思い入れの強さも伺える。

「以前から人気の高かった『Dreamer』がこのタイミングで収録されるのは、いま特に聴いてほしいのがこの曲、という意識の表れだと思います。曲はジャニーズ王道の雰囲気を持つメッセージソングで、ファンにとっては、山下さんや大切な誰かとともに、前を向いて歩いていることを感じさせてくれるもの。これまでの10年を総括しているようにも聴こえ、次の新たな一歩を示唆する曲とも受け取れます。さらに、今回の音源化にあたっては亀田誠治さんがアレンジに参加。初回盤Bには気鋭のDJ/トラックメイカーbanvoxによるリミックスが収録されるなど、楽曲としてのクオリティにも期待が高まります」

 また、同作のジャケットデザインには、かつてない山下の決意が感じられると佐藤氏は話す。

「冒頭で『山下さんはひとつの場所に止まる人ではない』と話しましたが、そうした意味でも、今回のジャケットは興味深く見ることができます。これまでは自身の顔写真を使用したデザインが多かったのですが、今回はあだ名そのままに『△(山)』と『P』の字を使ったストレートなデザインが採用されています。これは、『山P』といえば山下智久のことだ、という自信の表れであると同時に、このアルバムを節目として、彼がアイドル的な歌手活動から次のステップを目指そうとする決意表明のように感じました」

 従来よりテレビドラマ・映画、バラエティなどで活躍し、ジャニーズファン以外にも高い認知度を誇る山下智久。彼の音楽活動について詳しく知る人にとっても、そうでない人にとっても、『YAMA-P』は大いに歓迎される作品になるだろう。そして次のステージで見せてくれるのは現在のセクシーキャラの発展形か、それとも全く別の姿か。今年31歳になる彼の活動に、引きつづき目が離せない。

(文=遠藤良美)

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