柴那典「フェス文化論」 第11回

2015年、フェスシーンはどう変わった? ヘッドライナーと動員数から見えた“今年の主役”

2015年のフェスシーンの主役は[Alexandros]

 では、そんな2015年のフェスシーンの主役は誰だったのか?

 それを調べるため、2015年に開催されたフェスのヘッドライナーをできる限り調べてみた。『FUJI ROCK FESTIVAL』や『ROCK IN JAPAN FESTIVAL2015』など数万人を動員するメガフェスから、地方の小さなフェスまで。収集がつかなくなるので小さなライブハウス規模のイベントは除外したが、その数はだいたい150ほどとなった。そこでトリを飾ったアーティストを集計して、多かった順に並べると以下のようになる。

 

(※COUNTDOWN JAPANはメインステージの年越しアクトを、オールナイトのフェスに関してはメインアクトが明示されていない場合は最後の出演者をヘッドライナーとした。京都大作戦など複数日開催のフェスで同アーティストがトリを飾る場合は一つにカウント)

 結果は一目瞭然。2015年のフェスシーンの主役は[Alexandros]だった。そのヘッドライナー出演数の合計は10にのぼる。国内最大規模の『ROCK IN JAPAN FES.』でもトリをつとめ、各地の野外フェスにも幅広く出演を果たしてきた。去年と比べても大躍進と言えるだろう。

 [Alexandros]にとっても、今年は勝負の一年だった。昨年に[Champagne]から改名し、ユニバーサルミュージックとグローバル契約を結んだ彼ら。3月リリースのシングル『ワタリドリ』が起爆剤となり、6月にリリースしたアルバム『ALXD』はオリコンチャート3位を記録。そして、12月2日には新曲『Girl A』もリリースされた。ブレイクビーツとデジタルシーケンスを意欲的に導入したサウンドとスケールの大きなメロディが印象的なこの曲は、ライブの場でも新たなアンセムとなるはずだ。

 ワンマンライブの動員数も伸びている。アルバム発売日に代々木公園野外ステージで行ったフリーライブにも1万人以上を動員し話題を呼んだ彼らだが、7月には『[Alexandros]Premium V.I.P. Party』として日本武道館公演を、そして10月から12月にかけては『全国ツアー[Alexandros] TOUR 2015 “ご馳走にありつかせて頂きます”』を開催。12月19日のツアーファイナルでは自身初の幕張メッセ単独公演も決定した。

 さらに、彼らは海外にも活動の幅を広げている。今年は台湾の『MEGAPORT FES』や韓国の『ANSAN VALLEY ROCK FESTIVAL』、イギリスとインドネシアでの『JAPAN NIGHT』にも出演。12月には香港と台湾でのワンマンも決定した。バンドが目指すのは世界一、『Glastonbury Festival』のヘッドライナーだという。はるかな目標を見据え、まずは国内のフェスを足場に天下をとったのが[Alexandros]にとっての2015年だったと言うことができるだろう。

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