寺嶋由芙×姫乃たまが語る、それぞれのアイドル活動 寺嶋「ファンには幸せになってほしい」

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(C)Kunio Hirayama

 地下アイドル兼ライターとして活躍する姫乃たまが、初の単著『潜行 ~地下アイドルの人に言えない生活』を9月22日に発売した。(購入はこちらから

 リアルサウンドでは本書の発売を記念し、書き下ろしコンテンツである寺嶋由芙と姫乃たまの対談記事を掲載する。インディーズ期間を経て、メジャーシーンに駆け上がった寺嶋由芙と、いまも“地下”に生きる姫乃たまが、おたがいのアイドル活動について語り合う。

「私たちが初めてステージに立った時って、ちょうどアイドルシーンの過渡期だった気がする」(姫乃)

姫乃:由芙ちゃんとの出会いは、たしか……。

寺嶋:新大久保で……地下アイドルのレコ発だよね?

姫乃:そうだ、そうだ! そうでした。

寺嶋:私はちょうどアイドル活動がやりたいと思い始めた頃で、ある作曲家さんに連れていってもらってて。姫乃ちゃんはほかの子より断然、歌がうまくてステージも上手だったから、まず印象に残ったんだよね。

姫乃:わぁ……なんだかすみません。

寺嶋:その後に会ったのはたぶん「勝ち抜け! ピスタチーオ」じゃないかな。(注:観客の投票によって順位が決まる月一開催のアイドルライブ。「たまご組」から始まって、勝ち上がっていくと「ひよこ組」「ピスタチーオ組」と、最後はなぜか豆になるのが不思議。「ピスタチーオ組」で3ヵ月連続優勝すると、賞金10万円がもらえます)

姫乃:そうだよね。由芙ちゃんのステージにものすごく感動して、つい作曲家さんに「天使みたいですね」って言っちゃったよ。

寺嶋:いやいや、私の方は「あの時のあの子だ!ってドキドキしたよ。当時の姫乃ちゃんはすでに“売れている人”だったから。

姫乃:その私がいつからこうなっちゃったんだろう……(苦笑)。というのは置いておいて、いまはメジャーにいる由芙ちゃんも、最初は駆け出しのアイドルが沢山いるところから始まったんだよね。

寺嶋:そう。「ピスタチーオ」に出ていた時は、アニソンを知らないとヤバい!とも痛感して、平野綾さんの『Godknows…』とか練習したんだよ。

姫乃:『Godknows…』! (笑)これすごい地下あるあるだよね。中川翔子の『空色デイズ』もそうなんだけど、場が盛り上がるっていう理由で歌わざるを得ないという。ところで、由芙ちゃんがアイドルを始めたのっていつ頃なんですか?

寺嶋:10年。私が大学1回生で、姫乃ちゃんが高校3年生か。

姫乃:同級生にはライブアイドルっていた?

寺嶋:いなかったなぁ。

姫乃:うちは高校の同級生に何人かいたんだよね、みんな隠れて活動してたけど。

寺嶋:オーディションもないし、曲も、オケさえ持っていけばステージに立てるから。みんな趣味感覚で始められたのかな。

姫乃:それがAKBのブレイクをきっかけに、グループアイドルが続々と派生することになって。

寺嶋:当時はAKBにインスパイアされたようなグループアイドルより、“手作りアイドル”みたいな人が多かった気がするなぁ。私たちがアイドルを始めたくらいの時期から、何に属さなくても、形にはまっていなくても、アイドルを名乗れるようにはなったね。

姫乃:そう思えば、私たちが初めてステージに立った時って、ちょうどアイドルシーンの過渡期だった気がする。AKBがブレイクした後も、オケで歌うことに対して嫌な顔をするライブハウスは多かったけど、それも変わっていったね。

寺嶋:ロック系のライブハウスでは一部のスタッフから「アイドル? ハァ?」みたいに言われたし。当時に比べればライブハウスも社会も、優しくなったなぁ。

姫乃:由芙ちゃんはそんな下積み時代からBiS加入・脱退、そしてインディーズでのソロ活動を経て今年メジャーデビューしたけど、デビューはどう決まっていったの?

寺嶋:いや、突然(笑)。知らされるのも結構ギリギリのタイミングで。

姫乃:地下の頃からずっとメジャーを目指していたんだよね?

寺嶋:いや、全然。

姫乃:あれっ、そうなの?

寺嶋:うん。BiSを脱退してインディーズになってからの1年がすごく楽しかったから、絶対にメジャーにいきたいとは思ってなかった。それに流通がユニバーサルミュージックというのはインディーズの時から変わらないから、対外的な変化も正直なくて。ファンも感じていると思うんだけど、メジャーデビューした時に「大きくステップアップしたぞ!」というテンションを出し切れなかったりもして(笑)。

姫乃:(笑)。でも私は「ピスタチーオ」で観た時から、この子はここにとどまる人じゃないな、と感じていたよ。地下って、部活の延長線とかみたいな感じで活動してる子もすごく多いし。

寺嶋:「昼は保育士なんです」とかね。

姫乃:そうそう「銀行員なんです」とか。趣味としてコスプレが好きで、できたらちょっと歌いたいな、みたいな人。由芙ちゃんは、その中で圧倒的に上昇志向があるように見えた。

寺嶋:ずっと、これを仕事にしたいとは思ってたから。

姫乃:それはすごい! 

寺嶋:並行していろんなオーディションも受けて、そのうちの1個が決まってBiSに入ったんだよね。

姫乃:もうだって、由芙ちゃんと私じゃあどう見ても心構えが違うもん。由芙ちゃんが高跳びしているバーを私はくぐってる。しかもリンボーダンスで、みたいな。

寺嶋(笑)。

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