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冬将軍が語るTHE SLUT BANKSの現在

“死霊軍団”を名乗る異形のバンド・THE SLUT BANKS  紆余曲折の活動史を紐解く

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「七色ボイス」のボーカリスト・TUSK

 TUSKが在籍したZI:KILLは、エクスタシーレコード出身である。Xを筆頭に、東京ヤンキースやLADIES ROOMといった、派手なヴィジュアルとハードな音楽性を持ったバンドの中で、イギリスのゴシック・ロック、ポジティブ・パンクを取り入れたダークな音楽性と黒ずくめなヴィジュアルを打ち出していた。インディーズながらオリコンチャートにチャートインするなど、この手の音楽性を以てして成功したバイブル的存在でもあり、漫画家・楠本まきによるジャケットワークなど、耽美的、退廃的といったヴィジュアル系の黒服イメージを確立させたパイオニアでもあるだろう。TUSKの艶めかしい低音と伸びやかな高音、儚げな囁きとけたたましく咆哮するシャウトを悠々と使い分ける様は「七色ボイスのボーカリスト」と称された。そしてミステリアスで妖艶な出で立ちとカリスマ性は、ソロ写真集『自滅回路』やXのHIDEとの映像音楽作品『Seth et Holth』(セス・エ・ホルス、ともに1993年)など、アート&ヴィジュアルの側面においてもシーンに大きく影響を与えた。そんなTUSKであるから、バンド解散後、長かった髪を短く刈り、トレードマークの頭に巻いたバンダナは白いタオルになり、従来のイメージを覆すようなスラットバンクスを始めた衝撃は大きかったのである。

 しかし、2000年にTUSKが脱退という形でスラットバンクスは終わってしまう。そして、TUSKは盟友でもあるCRAZEに電撃加入する。これによりCRAZEは板谷祐(TUSK、Vo.)、瀧川一郎(Gt.)、飯田成一(Ba.)、菊地哲(Dr.)という「ギタリストだけが違う一時期のZI:KILL」メンバーとなった。しかし、祐のスタイルはあの頃よりとだいぶ変わった。Tシャツ、短パン、無精髭に坊主頭(最終的にはスキンヘッドになっていた)というラフな風貌で“がなる”ように歌う祐の加入は、硬派で二枚目なビートロックを貫いていたCRAZEのイメージと音楽性に大きく変化をもたらす。そして2005年にCRAZEを脱退。アコースティック・ギター1本の弾き語りスタイル「新宿心音会板谷祐」として活動を開始。「自分にはバンドは向いていない」と口にしていた。だが、2007年12月31日に突如、THE SLUT BANKSは再び蘇生した。

ZIGGY、LANCE、スラット、B6B、ダズボン…

 紆余曲折を経たスラットバンクスであるが、やはり司令塔であるベーシスト、“DUCK-LEE”こと、戸城憲夫の存在が大きい。ベースという楽器の魅力を存分に知ることが出来る印象的なベースラインもさながら、LANCE OF THRILLからTHE SLUT BANKS、そしてTUSK脱退後はHATE HONEYのボーカル、高木フトシを迎え、BAD SiX BABiESとして活動を開始するという、楽器隊をそのままに全く別のバンドとして活動するという対応力とプロデュース力、類稀なるソングラインティングセンスを持ち合わせている。2003年にはZIGGYの森重樹一、SADSの坂下たけとも、満園英二とともに、The DUST’N’BONESも結成している。そして音楽のみならずグッズを始めとするイラスト、アートワークの才能にも長けている、まさに鬼才である。

 スラットを始めとし、入り乱れたバンド相関遍歴をまとめてみると、ジャンル問わず名うてのプレイヤーが集まっていることがわかるだろう。

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Dr:カネタク ※KiDの弟子
▼その他サポートメンバー
Dr:IRON SMOKIN’(菊地哲)※1999年、負傷したSMOKIN’ STARの代理
Dr:四代目Big Mountain(大山正篤)※2013年、KiD不参加時にサポート

 入れ替わりの多いバンド遍歴ではあるのだが、今年6月に弐代目STONE STMACがバンドから離れたときには、そのことに対し戸城が印象的なコメントを残している。

DUCK-LEE(戸城憲夫)より

我々は今更、脱退?解雇?そんなバンドではないので、先代にしろ弐代目にしろタイミングが合い弾くチャンスや機会があればいつでも弾いてもらいたい。
秋は参代目に新たな刺激をもらい転がり続ける。
それがスラットバンクス。
宜しくお願いします。

 そして先日、名古屋と大阪のライブにおいて、新しいギタリストが襲名された。“参代目ACE DRIVER”である。この男は一体誰であるか?実際ライブを観た人やファンなら承知かと思うが、オフィシャルで特に正体が公言されているわけでもないので(とはいえバレバレだが…)、ここではあえて伏せておくことにしよう。

 シーンに抗う形で蘇生したゾンビたちは、相変わらず暴れ回っている。メインストリームで持て囃される音楽をやっているわけではないのはあの頃と同じ。でも少し違うのは、「愛と真心のバンド」と掲げていることだろうか。男臭くて、ゾンビのくせに人間臭い。演奏が上手いとか、歌が上手いとか、そんなところではない。キャリアも実力もある連中がやりたい音楽をやりたいように楽しくバンドをやってる生き様がカッコよくて美しい。そして何より歌が音楽が、グッとくるのである。THE SLUT BANKSは、ハードな音楽なのに心に染み渡る「いい歌」を歌いやがる死霊軍団なのだ。

(文=冬将軍)

THE SLUT BANKS 『缶BEER(Surf Crush Version)』 MV Full

 

      

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