KANA-BOONが若手バンド勢から頭一つ抜けた理由 古賀隼斗のギター演奏から読み解く
もちろん、バンドのフロントマンでありソングライター・谷口鮪の存在も忘れてはならない。彼の作る楽曲は、青臭さを帯びた純度の高いギターロックが多く、歌詞にもどこか成長小説的なヒロイズムを感じさせるものが多かった。“少年が大人になっていく過程”をピュアに描いているからこそ、『NARUTO -ナルト-』の主題歌起用がここまでハマっているともいえるだろう。だが、KANA-BOONは、5thシングル『シルエット』と、そこから続く2ndアルバム『TIME』を通過し、徐々に大人の風格が身についてきた。
また、前作の『なんでもねだり』では、CMソングとしての側面を持たせつつ、ポピュラーな“KANA-BOON像”を打ち出し、幅広いリスナー層へと訴求した。楽曲も初夏の雰囲気に合わせた開放的なもので、彼らがポップスのフィールドでも勝負できることを証明してみせた意欲作でもある。そして今回の『ダイバー』は、叙情的なメロディが映画のエンドロールに相応しいものになっているし、前作の反動もあってか、楽曲に呼応するかのようにパーソナルな言及も増えた。
ちなみに、先に挙げた「結晶星」は、バンドがインディーズ時代から温めていた大切な楽曲で、「生きてゆく」は2014年に地元大阪で開催された一大ワンマンライブ『KANA-BOON野外ワンマン ヨイサヨイサのただいまつり! in 泉大津フェニックス』に合わせてリリースと、いずれもキーポイントで発表された楽曲たちだ。今回は“初の映画主題歌”という節目であり、『ミュージックステーション』への出演、そのあとには『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015』『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO』『SUMMER SONIC 2015』と、夏フェスのメインステージという大舞台が続くベストタイミングでもある。特に『ミュージックステーション』では、これまでアッパーな楽曲ばかりを披露してきただけに、一段と成長したKANA-BOONと同曲が、番組を通じてどのように受け止められるのか、今から楽しみでならない。
(文=中村拓海)
■リリース情報
『ダイバー』
発売:8月5日(水)
価格:【初回生産限定盤】CD+CDサイズ「ドデ缶バッジ」 ¥1,500+税 ※BORUTO特製ステッカー・どうでもいいオマケ007封入
【通常盤】CD ¥1,165+税 ※初回仕様:BORUTO描き下ろしワイドキャップステッカー・どうでもいいオマケ007封入
<CD収録内容>
1. ダイバー(映画『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』主題歌)
2. スパイラル(PS4『NARUTO―ナルト― 疾風伝ナルティメットストーム4』オープニング楽曲)
3. 街色
■ライブ情報
8月8日(土)茨城県国営ひたち海浜公園『ROCK IN JAPAN FES. 2015』
8月14日(金)北海道石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO』
8月16日(日)千葉県QVCマリンフィールド&幕張メッセ『SUMMER SONIC 2015』
8月22日(土)山口県山口きらら博記念公園『WILD BUNCH FEST. 2015』
8月23日(日)香川県国営讃岐まんのう公園『MONSTER baSH 2015』
8月28日(金)山梨県山中湖交流プラザきらら『SWEET LOVE SHOWER 2015』
8月30日(日)大阪府泉大津フェニックス『RUSH BALL 2015』
9月6日(日)愛知県蒲郡ラグーナビーチ『TRESURE 05X 2015』
9月27日(日)東京都TOKYO DOME CITY HALL『“THE KINGS PLACE” LIVE Vol.8』