香月孝史が全国ツアーファイナル公演を分析

lyrical schoolがZeppワンマンで見せた“幸せな予兆” 過去最大キャパでのライブを徹底レポ

 

 ヒップホップアイドルユニットとして「アイドルラップ」というジャンルを切り拓き、その先頭を走ってきたlyrical schoolが7月25日、Zepp DiverCity TOKYOのワンマンライブで初の全国ツアーを締めくくった。5月31日の沖縄公演から始まった“date spot”ツアーのファイナルであると同時に、昨年11月の恵比寿リキッドルームライブからさらにグループとしての大きさとファンからの支持を獲得してきた、そのひとつの集大成がこの、グループのワンマン史上最大の会場でのライブである。

 

 「アイドルラップ」の矜持を謳う昨年10月リリースの「PRIDE」からその直後のリキッドルームライブ、今年に入って発表されたアルバム『SPOT』、そして全国ツアーと軌を一にしてリリースされた「ワンダーグラウンド」へと、lyrical schoolは昨年終盤以降、リリース音源の充実とライブの規模拡大の両輪を理想的なペースで積み重ねてきた。開催発表当初はグループとしての体力的に不安もあったはずの昨年のリキッドルームライブを気づけばごく自然にクリアしていたlyrical schoolは、今回のZepp DiverCity TOKYOというさらなる高みもまた、気負いなく自分たちのものにしていた。

 

 アルバム『SPOT』同様に、この日のワンマンもアイドルラップのハードコアサイドを強調する「I.D.O.L.R.A.P」「PRIDE」からスタートした。これらはキャリアを積み上げてきた現在の彼女たちだからこその力強さを感じる楽曲群だが、もちろんそれはグループ全体が強面の方向へと舵を切るものではなく、彼女たちがナチュラルに身につけてきた幅広さのほんの一側面である。MCを挟んでのパートでは「レインボーディスコ」に始まり、グループ最初期曲「ルービックキューブ」のFragment remix、泉水マサチェリーが手がけた名曲「Maybe Love」へと、オリジナルメンバー時代の楽曲も織り込んで5年目に入るキャリアの奥行きを見せていく。これらの楽曲に象徴されるように、この日のワンマンはファンがそれぞれにlyrical schoolとの歩みを振り返ることのできる局面がいくつもある。「S.T.A.G.E」やアンコールで披露した「tengal6」などの楽曲は、現行メンバー6人によってリニューアルされた最新形の姿とかつてのオリジナルバージョンの記憶とが交錯して展開されていくし、「photograph」はライブ終盤の定番曲として何年も揺るぎない強さを持ちつつ、スキルを著しく向上させた現在の彼女たちの2015年現在の代表曲としても楽しめる。

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