丸本莉子が語るメジャーデビューにかける思い 「自分が楽しまないと、しっかり届かない」

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 シンガーソングライターの丸本莉子が、ビクターエンタテインメントが設立した新レーベル「AndRec」より1st配信シングル『ココロ予報』でデビューした。6月10日にはハイレゾ音源での配信デビューを飾り、7月8日から通常配信がスタートしている。同レーベルのレーベル長・今井一成氏にインタビューを行い、掲載したコラム「ビクター・デジタル部門の新レーベル「AndRec」は何を目指すのか? レーベル長・今井一成氏に聞く」ではレーベルの意義やスタンスについて訊いたが、今回は丸本莉子本人にインタビュー。一聴しただけで強い印象を残す特徴のある歌声をもつ彼女が歌い始めたきっかけや、日本各地を回り音楽活動を行ってきたインディーズ時代、プロとして今作の「ココロ予報」と向き合うことで明確になった自身のアーティスト像など、じっくりと話を聴いた。

「あの時、自分が納得するものができあがっていなかったら、私は今ここにいない」

――丸本さんはビクターエンタテインメントの新レーベル「AndRec」の第一弾アーティストとしてデビューを飾りました。1stシングル「ココロ予報」は、インディーズ時代から歌い続けてきた楽曲で、7月8日の一般配信に先駆け、6月10日よりハイレゾでの配信が始まっていますね。

丸本莉子(以下、丸本):本当にうれしいです。私は高校2年生から音楽活動をしていて、卒業後は音楽を続けながら、就職して介護の仕事をしていたんです。そんななかで、メジャーデビューは無理だろうな…と諦めかけていて。でも、いろんな方に「人生一度きりだから、東京でチャレンジしたほうがいい」と勧めていただいて、4年前に上京しました。当時はデビューなんて遠い夢でしたが、その夢がついに叶ったという気持ちです。「特徴のある声だから」と、ハイレゾという高音質で、また新しいレーベルの第一弾アーティストとしてデビューできたこともすごくうれしかったですね。やっとスタートラインに立てた、頑張ろう!という決意を新たにしています。

――「ココロ予報」という楽曲が生まれたのは、まさに上京した時なんですね。

丸本:そうなんです。上京する前に、広島のテレビ局の方から、「番組の主題歌を歌ってみないか」と声をかけていただいて。「つくってみる?」という軽い感じだったんですけど、上京して一ヶ月も経たないうちに番組のプロデューサーと音楽プロデューサーの方にお会いすることになって、お会いしたその場で「曲を聴かせて」と言われたんです。その時点では曲が全然完成していなくて、その状態のまま歌ったら、「こんなんじゃダメだから3日以内に3曲つくってきて」と。その時、プロを目指すというのは、今までのように好きなときに歌うこととは違うんだと気づきました。プロとして、どうにか曲をつくらなければと泣きながら頑張ったのですが、どうしてもサビができなかったんです。

それから3日後、プロデューサーを目の前にして即興で歌ったのが「ココロ予報」のサビです。そこで「メロディはいいね」と言ってもらえて、次は歌詞を書き直すことになりました。ノート3冊分くらいの歌詞がボツになったんですけど、今思うと初めてのチャンスだったし、どこか“主題歌”ということを意識しすぎて、カッコつけた言葉になっていたんですよね。「今のありのままの自分を書きなさい」とアドバイスをいただいて、等身大で書いたのが、今の歌詞です。“雨のち晴れ”というテーマで、「雨があがって晴れ間が見えるように、つらいことを乗り越えたら、きっと何かが開けるんだ!」と自分に言い聞かせてつくった曲です。

――初めて「プロ」として、曲づくりに向き合ったんですね。

丸本:たった3日間で、もう曲を一生つくりたくないってくらい嫌になっちゃって(笑)。曲をつくるのは大好きなのに、こんなに苦しいことなんだって思いました。上京したてでお金もないから、家具もそろっていなくて、ただただ机に向かってずっと曲を書き続けて。アルバイトもしながらだったので、つい電話でお母さんに弱音を吐いたこともありました。「いつでも帰っておいで」という優しい言葉が返ってきたことに奮起して、とにかく頑張ったんです。

――それだけ苦しい思いをした「ココロ予報」は、丸本さんにとって原点となる曲と言えるのでは?

丸本:そうですね。あの時、自分が納得するものができあがっていなかったら、私は今ここにいないと思います。これからもずっと大切な曲です。何回も負けそうになりながら今までやってきて、その時の状況は違っても、歌って自分自身が励まされてきた曲ですね。

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