柴那典「フェス文化論」 特別編『Bowline』

タワレコ主催イベント『Bowline』が目指す“繋がり”とは?「なかった線が見えてシーンになっていく」

池谷航氏

「キュレーターによってテーマも変わっていくので、一回一回違うイベントを作っているようなもの」(池谷)

――『Bowline』はフェスではなく、あくまでイベントという打ち出しをしているわけですが、そこについてのこだわりもあるんでしょうか。

大幡:キュレーターの選んだアーティストを全部観せたいという思いがあるんです。今までは1ステージでやっていたし、BRAHMANの時もタイムテーブルがかぶらないようにした。秋のDragon Ash、クリープハイプも2ステージになるんですけど、今回も全部観れるタイムテーブルにします。『Bowline』がフェスじゃなくイベントであるというところには、そういうところがあると思います。

池谷:大きいフェスだと、いくつもあるステージからお客さんがどのアーティストを観るのか選ぶわけです。だけど、僕らはせっかくアーティストをキュレーターに迎えているので、きちんと全部を観せたい。

大幡:フェスやイベントの醍醐味は、やっぱり今まで観たことのないアーティストのライブを観て「よかった」と体感するところにあると思うんです。フェスやイベントが新しいアーティストと出会う場所になっている。でも、大きなフェスだと知っているアーティストかどうかで何を観るかをお客さんが事前に取捨選択しちゃっているようなことも多い。

池谷:そういう大きなフェスも個人的には好きですし、もちろんあっていいと思いますけどね。

大幡:ただ、『Bowline』としては、タイムテーブルが被らないようにすることで、出演するアーティストを全員観れるようにするというところにこだわりを持ってやっていきたいと思っています。たとえ知らないアーティストでも、自分の好きな人が「これいいよ」と勧めているわけですから、お客さんにとっても「観てみよう」「聴いてみよう」となりやすいと思うので。

――そこが他のフェスとの差別化になっている。

大幡:『Bowline』と他のフェスの違いで言えば、アーティストによって色も変わるし、場所も毎回違うというのは大きいですね。僕らにとっては毎回新しいイベントを作ってるような感覚はあります。

池谷:大抵の場合、フェスは毎年決まった期間に同じ場所でやっているものですよね。フェスのカラーによってラインナップが決まり、今年はこのアーティストがヘッドライナー、来年はこのアーティストがヘッドライナーという風にある程度ラインナップの想定が決まったなかで作られている。でも『Bowline』はキュレーターによってテーマも変わっていくので、一回一回違うイベントを作っているようなものなんです。「こうやったら正解」っていうのが毎回違う。

――毎回違う大変さがあるわけですね。

池谷:そのぶん、毎回キュレーターのアーティストへの思い入れは強くなります。僕ら個人としてもそれだけで一晩飲めるくらい(笑)。

大幡:絆が深くなるというか、深い繋がりが生まれる。

――まさに『Bowline』ですね。

大幡:そうかもしれない(笑)。僕らとキュレーターアーティストは、イベントの主催者と出演者ではなく、共に一つのものを作り上げる相手になる。だから、必然的に濃い関係になるんです。

(取材・文=柴 那典)

 

■公演情報
『TOWER RECORDS presents Bowline 2015 curated by Dragon Ash & TOWER RECORDS』
開催日時:9月26日(土) OPEN 9時30分/START11時
会場:幕張メッセ 国際展示場 9-11 ホール
出演:Dragon Ash、AIR SWELL、Xmas Eileen、group_inou、the telephones、四星球、10-FEET、山嵐、ROTTENGRAFFTY & more

『TOWER RECORDS presents Bowline 2015 curated by クリープハイプ & TOWER RECORDS』
開催日時:9月27日(日) OPEN10時30分/START12時
会場:幕張メッセ 国際展示場 9-11 ホール
出演:クリープハイプ、銀杏 BOYZ、私立恵比寿中学、04 Limited Sazabys、フジファブリック、BLUE ENCOUNT、miwa & more

『TOWER RECORDS presents Bowline 2015 curated by HEY-SMITH & TOWER RECORDS』
開催日時:10月12日(月・祝) OPEN12時30分/START13時30分
会場:Zepp なんば大阪
出演:HEY-SMITH、POTSHOT & more

〇チケット
・9月26日(土)公演:オールスタンディング 6,900 円(税込)
※入場整理番号・場内ブロック指定無し ※小学生以上有料/未就学児童は無料(保護者同伴の場合に限る)
・9月27日(日)公演:オールスタンディング 6,900 円(税込)
※入場整理番号・場内ブロック指定無し ※小学生以上有料/未就学児童は無料(保護者同伴の場合に限る)
・10月12日(月・祝)公演:1F スタンディング 4,500 円(税込)
※ドリンク代別途 500 円必要 ※小学生以上有料/未就学児童入場不可

●オフィシャル 2次先行
受付期間:7月3日(金)18時~20 日(月)23時59分
・9/26(土)「Dragon Ash」受付 URL:http://pia.jp/v/bowline15hpdr2/
・9/27(日)「クリープハイプ」受付 URL:http://pia.jp/v/bowline15hpch2/
・10/12(月・祝)「HEY-SMITH」受付 URL:http://pia.jp/v/bowline15hs2/

関連記事