VAMPS、でんぱ組.inc、藍井エイル……アーティスト海外展開が広がる背景は?

 ネットを通じたファン層の広がりが下地となり、各国でのイベント出演、さらにはワールドツアーへと発展したという見立てだ。続けて、同氏は海外イベントの出演によってアーティストが得る付加価値をこう解説する。

「海外エキスポはアーティストにとって、動画や配信ビジネスはもちろん、単独ライブへの集客など、良いプロモーションの場となっています。ファンにとっても海外での人気の動向は気になり、国内へのニュースなどのフィードバックによってブランディング的な相乗効果が認められることでしょう」

 また、同氏は音楽視聴メディアの発展に伴い、海外で活躍するアーティスト像にも変化が生まれつつあると語る。

「7月にフランス・パリで開催される人気イベント『Japan Expo』に出演するBACK-ON、藍井エイルらは、海外でも人気な『機動戦士ガンダム』シリーズなど、アニメ主題歌での起用をきっかけに知名度を高めています。ちなみに、海外活動において最近気になるアーティストはmoumoonです。昨年出演した『Japan Expo』でのフランス人気を皮切りに、今年はオースティンSXSWでのライブ、先日はパスピエと対バンでイギリス公演を成功させています。面白いのは、アニメやヴィジュアル系、アイドル文化でもなく、海外のインディーロックと並列で楽しめる音楽性のクオリティの高さが評価されていることに注目したい。日本アーティストの海外エキスポ系イベントへの出演は、流通の問題もあってか、すぐには作品セールスへは反映されません。しかし、今後サブスクリプション・サービスの国境を越えた世界的な普及が進めば、リアルな現場における良きアピールの場となることでしょう」

 現在は特定ジャンル中心に盛り上がる海外進出であるが、今後はより多様なジャンル・アーティストが活躍の場を広げそうだ。

(文=宮澤紀)

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