ななみ、1stアルバムに込めた“人生の感情”を語る 「たぶん一生、愛を叫んでるんだろうな」

【ななみ】「I live for love」(1stアルバム「ななみ」収録)動画作品

「母親のような曲を作りたかった」

――わかりました(笑)。で、このアルバムは曲調に幅があって、そのぶん、いろんな歌い方もしてますよね? とくに次の「出逢えたのはあの店で」は、かなりかわいくて。

ななみ:ああ、そうですね。これは自分のかわいいと思える場所を全部出しました。出しきって、何も残ってないぐらい(笑)。これも経験したことで……田舎娘なので、上京したての頃は東京の人って、みんなカッコ良く見えるんですよね。すごい!オシャレ!カリスマ!みたいな(笑)。で、あるお店に行った時に店員さんがすごいカッコ良くて、ひと目惚れをしたんです。ほんとにひと目惚れをした時って、しばらく考えません? 5日とか1週間とか。

――(笑)1週間も? ……ああー、でも引きずるかもなあ。

ななみ:ですよね? やっぱり魅力的な人って。で、ひと目惚れをして、最初から最後までそのことをずっと歌ってる曲ってなかなかないなと思ったから、今のうちに作ろうと思ったんですよ。ひと目惚れをしてる女の子たちがこの曲でその気持ちを盛り上げてくれたらいいなと思って。でもさっきの人、そのあとも「どこかでまた会えないかな?」「いないかな?」と思ったんですけど……あとで気づいたんですけど、東京では2回目会える偶然は、なかなかないですね。それぐらい一瞬の出会いというか。

――そうですね(笑)。ななみさんに恋の歌って、あんまり多くないですよね?

ななみ:いや、ありますあります! 実はあるんですよ? でも唄いながら、自分でも超恥ずかしいんですけどね(笑)。若い子にも聴いてもらえたらと思います。

――次は「許されざる愛」。これはまた一転して……タイトル通りのね。

ななみ:そうですね。これは最初のメロディを適当な英語で作ってたので、とことん洋楽チックに振り切って作ろうと思いました。洋楽ではR&Bが好きだったので、歌ってて、一番気持ちいいです。この曲は、それこそ女性がツラい経験を……他人から認めてもらえない恋やかなわない恋をしても、キレイになっていってほしいなと思って作りましたね。メイクをする時とかショッピングをする時とか、その人のことを思いながらキレイに、強くなっていけるような……そういう曲にしたかったです。

――そうですか。いやあ、視点が大人ですね。

ななみ:いえいえ(笑)、そんなそんな。

――そう思いますけどね。「ポケットの恋花火」もかわいい曲ですね。

ななみ:はい、自分の中のジャンルで言うと「出逢えたのはあの店で」と同じですね。これは大分にいた時から作っていました。<放課後>とか<グランド>っていう言葉からもわかるように中学時代の思い出なんですけど、花火を見た時に「好きな人のことを思う鼓動を<心の中の花火が打ち上がる>みたいに比喩できないかな」と思ってて。「恋桜」(シングル「I’ll wake up」のカップリング)と一緒で、恋と花火が視点を変えてマッチできないかな、と。その時に歌詞はできてて、かわいいメロディはちょっと大人になってから固めました。

――この<いぢらしい夏よ>という表現には、その頃の自分を今の視点で見て、書いてる感じがします。

ななみ:うん、そうですね。はっきりしない、ウジウジしてる若者の背中をドンと押せるような片思いソングになればいいな、と。まあこの曲は、結局最後は両思いになるんですけどね。だからリア充なんですけど(笑)。

――9曲目の「君という宝物」は、またまた一転して、切実なバラードですね。

ななみ:これは私の親友……というか、友達が地元にはひとりしかいないんですけど。その子がある日、すごく大切な人をこの世から失くしてしまったことがありまして。でもあんまり弱みを出してくれる子じゃないから、なかなか教えてくれないんですよね。それで私は気づいてはいたんですけど、向こうが言ってこないから、言えなくて……で、私にできるのは曲を作ることだなと思って、作りました。それでワンマンライヴにその子が来るのは知ってたので、この曲を歌ったら、最近になって「気づいてたよ」って、やっと教えてくれたんです。命にかかわらず、<君という宝物>はみんなにあると思うので、置き換えて聴いてもらえたらと思います。

――その話はライヴの時にしていましたね。そして10曲目は、「悲しみはありがとう」なんですが。いきなり<嘘つき。やっぱり離れていくのね>から始まるという……。

ななみ:これはもう、このままですね(笑)。これを書いた時の自分は、ほんとに人間が大っ嫌いだったんだなと思います。今思うと、よくもこんなマイナスなことを書けるなって。まあマイナスなように見えて、最後はプラスに行ってるんですけど。

――うん。プラスに思おうとしてるんじゃないでしょうか?

ななみ:そうですね、うん……って、私が気づかされた(笑)。もちろん男女でもそうなんですけど、誰だって裏切られることはあるじゃないですか? 向こうは裏切ってるつもりじゃなくても、全部信じられなくなる時ってあるし……。それで私、悲しい時にはすぐに母親の顔が浮かんで、いつも実家に泣きながら電話するんですよ。そういう存在の曲があったらいいなと思って作りました。私にとってのその歌は、中島みゆきさんの「ファイト!」なんですけどね。誰かが悲しい時にイヤホンつけて「これ聴こう」って、パッて勝手に指が動く、そんな母親のような曲を作りたかったですね。

――うんうん。で、これはあなたにとってのそういう曲にもなっていってます?

ななみ:そうですね。たまにツラいと、聴いてますね(笑)。<嘘つき。やっぱり離れていくのね/分かっていたのに忘れかけてた>……Aメロがそういう「ひどいわ!」っていう、ツラい!悔しい!悲しい!ってところから入ってくれると、聴くほうは楽なんですよね。キレイごとばっかりじゃなく、ほんとにキズをさすってくれるような曲じゃないかと、自分で勝手にそう思ってます。

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