AKB48は『恋チュン』を超える国民的ヒットを生み出せるか? 新曲『Green Flash』のポテンシャルを検証

 一方で、シングルには複数のタイアップ曲がカップリングとして収録されている。NHK『みんなのうた』に起用された「履物と傘の物語」、日本テレビ系ドラマ『マジすか学園4』主題歌の「マジすかFight」に、同ドラマのエンディング・テーマ「ヤンキーロック」だ。

 特に「マジすかFight」は四つ打ちのビートと80年代の歌謡曲を彷彿とさせるマイナーキーのメロディに乗せて《1秒でフルボッコ》《瞬殺でフルボッコ》と刺激の強い歌詞が歌われる一曲。楽曲の持つキャッチーさ、フックの強さは「Green Flash」以上と言っていい。「ヤンキーロック」もその世界観を踏襲した、やはりマイナーキーのメロディが印象的なナンバー。《ぶっ倒れるまで うちらの夕焼け!》というサビのラスト一行が耳に残る。

 今回のシングルは「Type A」「Type S」「Type N」「Type H」の4種類の仕様があり、カップリングも含めると全部で9曲が収録されている。それを全部聴いた正直な感想としては、今回のタイミングではむしろ「Green Flash」よりも「マジすかFight」を表題曲にし、TVの歌番組でもこちらをメインに披露して意図的なヤンキー・アナクロニズムを打ち出していった方がロングヒットに繋がったのではないか、と感じてしまうのだ。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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