ギタリスト伊東真一の「祭典」を観た
HINTO、Killing boy、fresh!、木下理樹新バンドTuesday…異色のイベント『伊東祭』レポート
1月29日、新代田FEVERにて『伊東祭』が開催された。同イベントは、HINTOのギタリスト・伊東真一をフィーチャーしたもので、彼がギターを務めるバンド5つが出演し、様々なパフォーマンスを繰り広げた。
冒頭、安部コウセイと伊東真一のユニット・堕落モーションFOLK2が登場。「安部です」「伊東です」『伊東祭です』という漫才のような掛け合いをしたのち「ブラッドシェア」を演奏。安部の癖のある声も、フォークサウンドだとまた違った温度感に聴こえる。2曲目であり、伊東が愛猫のことを歌った「hoo」では、彼のアルペジオが演出する切なげな空気感を、安部が消え入りそうな掠れ声で歌い上げた。そして、安部が「先輩の曲やから」と前置きし、井上陽水「氷の世界」のカバーを披露。伊東は高速カッティングで演奏したり、2番では二人で井上陽水のモノマネを見せるなどし、ステージを後にした。
続いて登場したのは、この日の出演者としてはアナウンスされていない「Tuesday」というバンド。ステージ上には、秋山タカヒコ(ドラム)、伊東真一(ギター)、木下理樹(ギター)、as(ボーカル)、仲俣和宏(ベース)という5人が登場し、木下が「新バンド始めました。バンド名はTuesdayです」と語ったあと、1曲目を演奏した。asのボーカルはキッチュかつ舌足らずで、どこかYUKIを思わせる甘さだった。2曲目は、疾走感のあるSarah系のギターポップに太い出音のリズムが合わさったもの。伊東はエコーの掛かったギターで、バンドを包み込む丸い空気感を作り出していた。asは途中歌詞が飛ぶハプニングもあったが、木下は「大丈夫だよ」とやさしく声を掛けていた。最後に演奏した3曲目では、秋山がThe ROOTS顔負けのジャズ・ヒップホップドラムを鳴らしてスタートしたかと思えば、一気に横ノリのギターロックへと展開し、観客を大きく驚かせた。
三番手に登場したのはfresh!。ハトヤのテーマ調のSEを皮切りに始まった「ハイビスカス」では、サックスとツインギターとリズム隊の熱いセッションが展開された。1曲目が終わり、1バンド30分少々というこの日の持ち時間について、藤井友信(ギター)が「僕らの大好きなMCができない」と嘆きのコメントをして観客を笑わせ、楽曲で高めた緊張感を一気に解きほぐした。続けて披露した2曲目「やさしさサヨナラ」では、秋山タカヒコ(ドラム)と仲俣和宏(ベース)によるハードなリズムと、中村浩(サックス)のピッチの早いサックスが絡み合い、激しい高揚感を生み出した。1曲1曲が長いこともあり、早くも最後の曲となった3曲目「北の長男坊」の前には、藤井が観客に対し、同曲で中村のソロパートがあること、そのタイミングで「押忍!」という掛け声をすることを求め、実際に楽曲が披露された。各楽器のせめぎ合いと観客の掛け声でスパートの掛かったfresh!はそのまま最後まで勢いよく突き抜け、ステージを後にした。