ゲスの極み乙女。ワンマン公演に見た、“さらなる進化”への予兆
まさに今のバンドの勢いを体現するかのような一夜だった。2015年2月15日、新木場STUDIO COASTでワンマンツアー「ゲスでいこかvol.3」の追加公演ファイナルを迎えたゲスの極み乙女。。2014年のロックシーンを破竹の勢いで駆け抜けた彼らは、文字通りオーディエンスの大熱狂に迎えられた。
オープニングナンバーは「猟奇的なキスを私にして」。のっけから最高潮の盛り上がりを見せるオーディエンスを尻目に、川谷絵音(Vo.Gt)はクールな表情を崩さない。どこか会場を俯瞰で見ているような雰囲気を纏ったまま「デジタルモグラ」になだれ込み、爆音に乗せられるオーディエンスのジャンプで会場は揺れる。「こんばんは、ゲスの極み乙女。です。よろしくお願いします」という川谷の挨拶のあと、演奏されたのは「パラレルスペック」の“ファンキー”バージョン。サビの歌詞とボーカルラインをはじめとして、大胆にアレンジが施されたこのファンキーバージョンは、ブルージーなギターソロ、うねりまくるベースが原曲と違う表情を見せる、意外性のあるアレンジ。アウトロではほな・いこか(Dr)のパワフルなドラムソロも披露される。
ゲス名物(?)の長いMCのあと「ラスカ」からは一転し、バンドの独自の音楽性をしっかりと聴かせていく構成に。ちゃんMARI(Key)の切れ味の鋭いソロが印象的な「サリーマリー」、ジャジーで少々物憂げな「ハツミ」が続き、バンドの音楽的な手数の多さ―もっと言えば、変わったバンド名やメンバーのキャラクターといったトピックを忘れてしまうような―音楽で軽々と勝負する彼らのステージングを堂々展開していく。