『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』公開記念インタビュー
SKE48松井玲奈と大矢真那が語る、激動の6年間とこれからの課題「今はグループを立て直す時」
2月27日より、SKE48の初ドキュメンタリー映画『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』が公開される。同作は、『DOCUMENTARY of AKB48』シリーズの最新作で、姉妹グループのなかでも最も早く結成したSKE48に密着し、1期オーディションから撮り続けられてきた膨大な記録映像と今回新たに収録されるメンバーインタビュー、舞台裏で撮られた秘蔵VTRなどを構成したもので、知られざるメンバーの一面や、大量卒業の裏で起きた出来事のほか、松井珠理奈と松井玲奈という対照的な両エースの姿を描くもの。今回リアルサウンドでは、1期生の松井玲奈と大矢真那にインタビューを実施。AKB48最初の姉妹グループとしての立ち位置の変化や戸惑い、そして活動を通じて流した涙などについて、大いに語ってもらった。
「今は真ん中に立ちたいとは思ってない」(松井)
――作品にはSKE48の6年間がギュッと詰まっています。松井さんと大矢さんが加入した時に目標としていたことと、現状の目標にはどんな差がありますか?
大矢真那(以下:大矢):SKE48の結成当初は、みんな「AKB48を超える」という目標を立てて進んできて。6年経った今は、超えるという目標ではなくて、「一緒にAKB48グループを盛り上げる」という感じになってきたと思います。そして「AKB48グループの中でもSKE48が頭一つ抜けた存在になりたい」という新たな目標を持つようになりました。
松井玲奈(以下:松井):SKE48に入った時は、一つでもポジションを良くすること、真ん中に近づくことを一番の目標にして頑張ってきました。でも、改めて6年を振り返ってみると、今は真ん中に立ちたいとは思ってなくて、逆に「真ん中に立てる子を育てていかなきゃいけないし、そのために自分が一歩引いたり、何かを残していかなければ」と考えるようになっています。
――二人が今の考え方に至ったのは、それぞれどのタイミングですか?
大矢:NMB48が出来たくらいかな……。それまではAKB48とSKE48の2グループだけでしたが、3つ目のNMB48が出来て初めて“AKB48グループ”という名称が付いたので。
松井:2013年4月13日に『SKE48 春コン 2013「変わらないこと。ずっと仲間なこと」』でSKE48が初めて組閣を行った時ですね。それまで、チームSのメンバーとして活動していましたが、この組閣でチームEのリーダーになりました。それまでは同期と一緒だったのが、全員が後輩のチームになったんです。その時に、もともとチームEにいた木本花音ちゃんがセンターをやっている姿を見て、「自分が前に出ることがすべてではないし、ちゃんと支えてあげて、こういう子をもっと育てていかなきゃいけない」と思ったことが始まりだと思います。
「『SKE48にいたから、新しい場所で輝いている』ということがわかる」(大矢)
――組閣といえば、2014年の『AKB48グループ 大組閣祭り~時代は変わる。 だけど、僕らは前しか向かねえ!~』は、木﨑ゆりあさんがAKB48に完全移籍したり、松井玲奈さんが乃木坂46と兼任になったりして、SKE48が一番変動したグループではないかという意見もあります。
松井:あの時は、ただ一人グループのなかで名前を呼ばれなくて、席に残っている自分がどうなってしまうんだろうという不安もありましたし、呼ばれたときは、乃木坂46に移るということより、「SKE48でいられて良かった」という気持ちが大きかったですね。
大矢:兼任のメンバーに関しては、玲奈やちゅり(高柳明音/NMB48・チームNと兼任)たちの負担が2倍になってしまうことへの心配がありました。自分のことだけでも大変なはずなのに、仕事が増えて大丈夫かなと。ゆりあがAKB48に行ったことに関しては、彼女のためになることだと思っています。だから、「良かったね」という素直な気持ちで送り出せたし、SKE48に新しく加わってくれたメンバーについては、私たちができなかったことをやってくれている。例えば(宮澤)佐江さんは、みんなをまとめながら引っ張ってくれて、本当に頼りになる存在です。みんな体に気を付けて頑張ってほしいですね。
松井:AKB48グループは大所帯だから、「変わることが当たり前なんだ」って思っています。これが5人組のアイドルグループなら絶対にありえないことだと思うんですよ。例えば、ももクロ(ももいろクローバーZ)にエビ中(私立恵比須中学)のメンバーが入ることになったらすごい騒動になりますよね(笑)。でも、AKB48グループはそういうこともあり得るグループで、それを自分たちもファンの方も受け入れながら、新しいメンバーでのSKE48を常に作っていかなければいけない。もちろん、それが受け入れられないファンの方もいらっしゃると思うんですけど、私たちはその事実を認めてもらって、より楽しんでもらえるようなグループにしていかないと、SKE48はこの先に続いていきません。いなくなったメンバーのことは大きいですけど、そこは埋めていかなければ前に進めないですし、現状で何をするのが一番なのかをいつも考えながら活動しています。
――今年は乃木坂46、NMB48、HKT48とドキュメンタリー映画の公開ラッシュが続きます。そのなかで『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』ならではの見どころはなんですか?
大矢:ほかのグループの映画はまだ観ていないので比べることはできませんが、この作品では卒業したメンバーにも光を当てていて、「SKE48にいたから、新しい場所で輝いている」ということがわかる内容になっていると思いますし、今のSKE48メンバーには「SKE48でもっともっと頑張りたい」と感じる映画になっていると思います。“SKE48魂”の継承にも注目ですね。
松井:映画では6年という時間を改めて追っていって、私たちの出発点・根源に何があるかを丁寧に切り取っていただいています。振り付けの指導に関しても、牧野アンナ先生にただ厳しくされているだけじゃなくて、その時に先生がどう思っていたかも描かれていて。私たちは先生の気持ちを初めて知ることになったし、どうしてSKE48が今の形になったのかはこの映画を見るとよくわかる。そういう意味では私たち自身も気付かされることが多かったです。
――牧野アンナ先生は準主演というくらい出演されていますよね(笑)。
松井:メンバーより出てるかも(笑)。