赤い公園・津野、ゲス乙女・川谷、パスピエ・成田…楽曲提供でも光る若手バンドのコンポーザーたち
若手バンドの主要コンポーザーが男性・女性アイドルに楽曲提供するケースが、ここ数年で増えてきた。
例えばSMAPは、サカナクション・山口一郎による「Moment」「Magic Time」や、ドレスコーズ・志磨遼平が作詞、THE BAWDIESのROYが作曲を務めた「I Wanna Be Your Man」、クリープハイプ・尾崎世界観が手がけた「ハロー」といった楽曲を歌っている。山下智久も相対性理論のやくしまるえつこ、永井聖一による「愛、テキサス」や、SEKAI NO OWARIのNakajinが作曲を務めた「パレード」など、若手バンドによる楽曲が目立つ。
女性アイドルへの楽曲提供も活発で、Base Ball Bearの小出祐介はチームしゃちほこ「colors」や、遠藤舞「Today is The Day」、アップアップガールズ(仮)の「Beautiful Dreamer」、東京女子流の「Partition Love」など、多くのアイドルソングを手掛けているほか、アイドルネッサンスのデビューシングル「17歳」は、Base Ball Bearのカバーとなっている。ももいろクローバーZは、相対性理論・やくしまるえつこによる「Z女戦争」を、PASPOはHAWAIIAN6による「妄想のハワイ」を歌うなど、アイドルとバンドマンのコラボは枚挙に暇がない。(参照:エビ中 × 村田有希生、9nine × 石井秀仁……アイドルとロックの名コラボを読み解く)
今回は、JPOPシーンを支えるクリエイターとしても活躍している、大ブレイク寸前の若手バンド・フロントマンを紹介したい。
赤い公園・津野米咲
若手バンドによる男性アイドルへの楽曲提供の中で、随一と呼べるほどのクオリティを誇るのは、赤い公園・津野米咲の作曲による「Joy!!」だろう。現在23歳の彼女は「KANSHAして」や「オリジナル スマイル」ーーつまり90年代のSMAP楽曲を愛聴しており、「Joy!!」はまさにその時代のSMAPを、現在のメンバーを媒介にしてもう一度呼び覚ました一曲だ。また、彼女はほかにも南波志帆「ばらばらバトル」やベイビーレイズ「ビッグ☆スター!」、遠藤舞「MUJINA」など、女性アイドルも手掛けている。クリエイターとして今後、ますます脚光を浴びそうだ。
また、これまで赤い公園の音楽自体は、どこか歌謡ロック的なアプローチが多く見られていたが、9月24日にリリースした『猛烈リトミック』では、リードトラックの「Now on air」で津野のポップ・センスとバンドのポテンシャルが見事に合致。大躍進の予感を感じさせる一曲に仕上がっている。
パスピエ・成田ハネダ
2013年3月にリリースされた、山下智久のシングル『怪・セラ・セラ』を手掛けたのは、新進気鋭のポップバンド・パスピエだ。キーボード・成田ハネダによる、オリエンタルでギミックに富んだ楽曲に、「そこのけ そこのけ モノノ怪~」という、ボーカル・大胡田なつきらしいフレーズが乗った同曲は、「山下の楽曲をパスピエが手掛けている」というよりも「パスピエの楽曲を山下が歌っている」という印象を抱かせるほど、彼らの色が濃く出ている。
バンドはリリースの同年に1stアルバム『演出家出演』を発売してロックシーンで多数の支持を集め、2014年6月にはポピュラリティに富んだ2ndアルバム『幕の内ISM』をリリース。その後はバナナマンの単独ライブ『bananaman live 2014「Love is Gold」』に書き下ろし楽曲を提供したり、株式会社NTTドコモのスマートフォン向け定額制音楽配信サービス『dヒッツ』のCMに起用されるなど、ますます活躍の幅を広げている。