中山優馬、ソロシングルで新境地へ ダンスやサウンドの大胆変化を分析
また、サウンドについても、これまでにない挑戦が感じられる。中山が過去リリースしてきた曲の多くは、彼の甘く澄んだ歌声を生かすようなメロディーだった。しかし、今回はボーカルにエフェクトをかけ、クラブミュージックのような質感に仕上がっている。一方、同時収録されている「Butterfly」は、まさに中山の得意とする曲といっていいだろう。本人も「最後まで『Get Up!』と『Butterfly』と、どちらをメインにするのか迷った」と言っていたほどだ。
しかし、今回はあえて今までにやったことのない「Get Up!」を選んだ中山。こうした選曲は、この先ソロコンサートが実現したときに、様々な角度からショーを彩れるようにしたいという狙いがあるのではないだろうか。「20歳になって2枚目のソロシングルは音色にもこだわり、アレンジにも力を入れた」とラジオや雑誌で新曲について語る中山の言葉にも気合がみなぎる。
もしかしたら、過去の楽曲のようなテイストのほうが好みだというファンもいるかもしれない。だが、今作『Get Up!』には、変化を恐れずに挑戦しなければ進化がない、そんな彼の覚悟を感じることができるのだ。中山が今まで積み上げてきたもの、そしてアグレッシブに挑んだ新境地の両方を楽しむことができる、アーティスト中山優馬の可能性を感じる1枚だ。
(文=佐藤結衣)