世界の人気DJはなぜ数十億円も稼ぐのか? 関係者が語るイベント大規模化とEDMブーム

 米経済誌のフォーブスが先日、「Electronic Cash Kings」と題した“2014年で収入が一番多いDJのランキング”を公開した。収入ランキングはライブ、商品販売、スポンサー契約、音楽のセールス、他ビジネスベンチャーに基づいて計算されたとのこと。出典としてはSongkick、Pollstar、RIAA、マネージャー、プロモーター、弁護士、アーティスト自身などが挙げられている。

 ランキングは、カルヴィン・ハリスが6600万ドル(約68億円)で1位を獲得。2位にはデヴィッド・ゲッタが3000万ドル(約31億円)でランクインし、アヴィーチーとティエストは、それぞれ2800万ドル(約29億円)で3位に入るなど、数十億単位で稼ぐDJが増加し、また近年流行しているEDM系のアーティストが多くみられる。この背景にはどのような業界事情があるのだろうか? ワーナーミュージック・ジャパンのインターナショナル本部マーケティング・グループで、デイヴィッド・ゲッタなどを手がけるプロデューサー小野誠二氏はこう語る。

「フォーブスのランク上位のDJ/プロデューサーは、営業と制作のバランスが良い人、つまりフェスやツアーやパーティでDJプレイをして営業収入で稼ぐ一方、自身で楽曲を発表したり他のアーティストへの楽曲プロデュースを行い印税収入もある人が上位にランクインしています。これは、彼らEDM系のDJを取り巻く環境、すなわちEDMと呼ばれる音楽の、世界におけるマーケットがここ数年で急速に拡大したことに尽きるでしょう。日本での一般的な知名度からすると意外とも思えるカルヴィン・ハリスが2年連続の1位、2位のデヴィッド・ゲッタの倍以上を稼ぎ、かつ昨年の年収の約1.5倍になっている、という結果を見ると、一見楽曲プロデュースも多く派手に活躍しているゲッタより、ハリスは欧米でのステイタスが高くなり、ライブ収入の単価が高額になっていると推測できますね」

 続いて、海外のクラブミュージックに詳しいライターの中西英雄氏は、30万枚のチケットが1時間足らずで完売する米国の『ULTRA MUSIC FESTIVAL』や、入場料のみで約4万円でありながら40万人以上の動員数を記録するベルギーの『Tomorrowland Festival』などを例に挙げ、パーティーの規模が大きくなっている理由についてこう説明する。

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